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【中世欧州料理試作】(10)ウサギのグレービーソース添え

このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。
全部実試作つき&単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「?!!?(なんともいえない味)」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。



なぜか日本で人気のあるウサギ肉。

中世ヨーロッパ料理といえば肉がまっさきに挙げられるんですが、どんな肉がいい?といった不定期アンケートでダントツトップ3に挙げられるのがウサギ肉です。
個人的には「なじぇ?(とってもはてなマーク)」って感じなんですが、どこぞのファンタジー作品とかによく登場するんですかね?

日本国内で食用ウサギを使ったお料理を頂ける機会があるとしたら、ちょっと高級なフランス料理店が挙げられます。ラパン(ウサギ→フランス語)のソテーなどでしたら、コース料理のひとつとして取り入れられることはあります。ただ、まぁまぁ高いですけど…けど…(トオイメ)。

某ピーターラ〇ットにも「ウサギのパイ」というのが登場しますが、昔はパイやタルトの具材として使われることが比較的多かったんじゃないかと思います。そんな中、今回ご紹介するお料理はどちらかというとソースの煮込みのようなものでございます。そのままパイの具材に使っても全然いけると思いますが。

グレービーソース
お料理のタイトルにもある「グレービーソース」ですが、現在も西洋料理ではよく使われているソースのひとつです。グレービーというのは肉を煮焼きするときに出る汁(いわゆる肉汁)のことで、お肉のうま味成分に塩や胡椒、バター、小麦粉などの調味料を加えてソース状にしたものとなります。美味くないわけがない(断言)。
とかくハワイではこのグレービーソースを使った肉料理を多くみかけます。ハンバーガーとかもう最の高。書いてておなかすくんですがどうしませう?


現在のグレービーソースは焼いたお肉から出た肉汁にワインやコンソメスープ、バターなどを加えた上で小麦粉を少しずつ加える方法が一般的です。マッシュポテトやフライドポテトに超絶合います(涎)

このウサギ料理的にはどう使っていたかというと、じっくり茹でたお肉のゆで汁に複数のスパイスと砂糖、アーモンドとチキンスープストック(鶏のだし汁のようなもの)を加えた上で最後に小麦粉を少しずつ加えてとろみをつけていくというものです。作り方は現代版とあまり変わらないですが、食材の種類がちょっと違いますね。塩じゃなくて砂糖を使うので甘めテイストな感じにはなります。

材料はお肉とソースの食材のみ

それでは当時の料理指南集ベースの材料をざっくり出してみます。分量は今回もカットします(もし昨年頒布した同人誌をお持ちの方はそちらを参照くださいませ)。

ウサギ肉または鶏モモ肉
アーモンド(粗びきにする)
チキンスープストック
クローブ・ジンジャー・シナモン・砂糖
小麦粉
水(小麦粉を溶く用) 

深き中世西洋中世の食レシピ総集編(2023 コストマリー事務局/同人誌)より

作り方としては、

1.ウサギ肉を一口大に切り、チキンスープストックで茹でる
2.肉を取り出し、残ったゆで汁にスパイス・砂糖・アーモンドを加えて弱火(できればとろ火)で温め、水で溶いた小麦粉を少しずつ加えてなめらかになるまで煮込む
3.ソース状になったら火を止めて、先に皿に盛ったウサギ肉の上にかけるか別添えとして出す

といった流れです。見た感じではシンプルな工程ですが、なんせ煮込むんでそこそこ時間はかかります。ソースは別添えでもいいんですが、個人的にはお肉とまぜまぜして味をしみこませた方が美味ですね。

ウサギ肉の代用として使う「鶏肉」

ご興味があればぜひウサギ肉を使って作って見て下さい!と薦めたいのは山々なんですが、なんせ一般的なスーパーにふつーに置いていることはないものです(ちょっと振り切った精肉店はあるやもですが置いといて)。
自分がゲットする場合は輸入食品屋さんなんですが、大使館や海外の関連施設の方々が御用達にしているところがありまして、そこで入手することが多いです。あとは通販も方法のひとつとして挙げられますね。

まぁ、仮にゲットできたとしてもそこそこお高いお値段になりますので、無難路線を進むのであれば代用品として「鶏モモ肉」を推奨しています。理由は簡単、味や食感が似ているから!(ドーン)

代用食材として使う鶏肉は「ももの部分」が比較的広範囲で使えるのでお勧めです

というのも、以前ウサギ肉と鶏モモ肉の2種類の食べ比べをモニターの方にお願いして、お肉の種類を隠した状態で召し上がって頂いたんですが「どちらも鶏肉」という回答がめちゃめちゃ多かったもんでして、まーそーよねー、という結果だったんです。もちろん、ウサギ肉の方がモチっとした食感で美味しいんですが、お手軽に作るのであれば鶏肉でも全然いいと思います。

歴史料理というのはなかなか想像がつきにくいのと、いかんせん食べられる機会がそうそうないので、ご自身で作るとなると多少の勇気がいるもんですが、食文化も時代と共に変わっていくものですので、ガチガチ再現というよりかはその時代に合わせた作り方・食材の選び方でも問題ないかと思います。完全に近い形の再現ともなるとまー、予算がぐいーんと上がりますし、料理技術もハードルが高くなるので、気軽にお楽しみ頂く感じで歴史料理と接して頂ければ本望でございます。

最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。


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