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【中世欧州料理試作】(13)ダリオーラとダリオール

このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。
全部実試作つき&単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「?!!?(なんともいえない味)」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。



中世ヨーロッパ版・カスタードタルト

シュークリームの皮をちょっとだけひっぺがしてカスタードの部分をディップするのが個人的に好きです(唐突の告白)。
今回はスイーツの部類に属するであろう、カスタードタルトのご紹介です。といいましても、中世のカスタードタルトはかなりバリエーションがあるもんでして、名前は似ているけど中身が全然違うという謎な一品でもあります。ちょうど2種類ありますので合わせてご紹介できれば。
あ、現代のカスタードの概念はいったん捨てて下さい(真顔)。

ダリオーラ(中世イタリア版カスタードタルト)

ダリオーラ(15世紀頃・イタリア周辺)

<材料>※分量は割愛します
卵黄・牛乳・砂糖・シナモン・ローズウォーター・パイクラスト(深型)

<作り方>
1.卵黄、牛乳、砂糖、シナモンをボウルに入れ、混ぜ合わせます。
2.パイクラストの中に静かに注ぎ、余熱をかけたオーブンに入れ、10~15分ほど焼きます。
3.中身が固まったのを確認したら、ローズウォーターを入れ、同じ温度ででさらに10~15分ほど焼きます。
4.冷めたらできあがりです。

深き西洋中世の食レシピ総集編(2023/コストマリー事務局)より抜粋

まず見た目が「今とあまり変わらないカスタードタルト」です。カスタードクリームというより現代版エッグタルトorイタリアンプリンに近いかな?という印象です。
材料も現代版カスタードと大差ないので(小麦粉が入ってなかったりローズウォーターが入ってたりはしますが)、この料理系が後世いろいろと改良されていった可能性もあります。南欧方面の料理はけっこう昔の作り方のまま伝統料理などに移行していることも少なくないので、アリといっちゃアリかもしれないですね。
固まればちょっとプルンとした感触の甘めなタルトになります。

ダリオール(中世イングランド版カスタードタルト)

ダリオール(14-15世紀頃 イングランド)

<材料>※分量は割愛します
赤ワイン・ベジタブルスープストック・クローブ(ホール)・メイス(ホール) ・サフラン・バター・(生)クリーム・卵黄・デーツ・イチゴ・パイクラスト 

<作り方>
1.ワイン・スープストック・クローブ・メイス・ジンジャー・サフランをソースパンに入れ、10分ほど弱火で煮込み、冷まします。
2.イチゴとデーツは2㎝前後の角切りにします。
3.2.をパイクラストに敷き詰めるように入れ、200℃で20分ほど焼きます。
4.冷えた1.と生クリーム、卵黄をボウルに入れて混ぜ合わせ、3.に静かに注ぎ入れます。
5.パイ皮でフタをして、200℃のオーブンで20~25分ほど焼いて下さい。
6.十分冷えたらできあがりです。

深き西洋中世の食レシピ総集編(2023/コストマリー事務局)より抜粋

まずセルフツッコミどころが「赤ワインと野菜だしスープってなんやねん(意訳)」ってとこなんですが、大丈夫です。自分でも作ってて途中から脳内バグリましたので(@_@)。
砂糖などの甘味料を使っていないところを見るに「惣菜系のタルト」という位置づけだったのかもしれないです。一般的な料理であればこの組み合わせはよく使いますからね。
ベースのフィリング(タルトの中に入れる具材)が全部しょっぱい系ならまだ分かるんですが、とっても甘いデーツを加えるというのがさらにミソでして、どちらかというと甘じょっぱい系?ただ、現代日本人の味にあうかというと、正直ビミョーかなー?と思います。自分もお試しで食べたらいささかビミョーだったんで(白目)。


同じ「カスタードタルト」と言いましても、地域の違いでここまで振り切った材料と作り方になるのはまた興味深いポイントでもあります。「スイーツ系ならイタリア版・(ちょっと振り切り気味の)惣菜系ならイングランド版」という感じでしょうか。材料費的にはスパイスをめっちゃ使っているイングランド版の方に軍配があがるかと思います(あえて計算はしない派)。

地域毎の好みはそれぞれですので、その点は事前に十分ご理解の上チャレンジされる方はぜひ頑張って頂きたい次第です(どーん)。
味が極端に変わらなければ、さらにアレンジとかでもいいですしね。

最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。


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