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ぽぽら春日部モヤモヤカフェ(2023年4月)

4月1日(土)に、「桜咲くかすかべ」のイベントの一環で開催された「さくらキッズパーク」にモヤモヤカフェが出張しました!

 今年度初めてのモヤモヤカフェは、モヤモヤカフェ史上初の野外開催!桜とまちを楽しむイベント「桜咲くかすかべ」に参加して、青空の下でモヤモヤトークを楽しみました。
 「桜咲くかすかべ」は、毎年春日部駅東口の古利根川公園橋付近で開催しているイベントで、お花見の季節に桜を楽しみながら地域のお店やまちそのものに興味を持ってもらうことを目指しています。開催の前の週は雨も降って凍えるような寒さだったのですが、当日は日差しも出てとても暖かく最高のピクニック日和でした。

 開放的な気分も手伝って、青空トークは予想以上に盛り上がり、本当に心地よい時間を過ごすことができました。これから先も気持ちの良い季節が続きますので、皆さんも晴れの日にはあえて外で誰かとおしゃべりしてみてはいかがでしょうか?座ったことのないベンチにちょっと座ってみるだけでも気分が変わるかもしれませんよ。今回もゲストのトークの一部をご紹介します。スマホ片手に外へ出て、ぜひ青空の下でお読みいただけるとうれしいです!

さくらキッズパーク内での開催の様子

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『人との距離を回復する社会のリハビリ』

1.地域支援モヤモヤ
  【モヤ友】漆瀬竜矢さん(理学療法士)

 私は34年間ずっと春日部で過ごしている生粋の春日部っ子です。理学療法士として訪問リハビリの仕事をしています。今日は理学療法士として働くなかで日々感じていることをお話したいと思っています。
 仕事では「その人(患者さん)の人生をどう輝かせるか」「(輝く)生活ができるようになるか」ということを心がけています。私は在宅医療として患者さんと関わっているので、ご自宅で最期を迎えられる方を何人も担当してきました。本当の最期に、ご自宅でその人らしくお亡くなりになっていくためにはどういった支援が必要になってくるのかを日々考えさせられています。以前はご近所でお隣さんが「大丈夫?」と声をかけてくれたり、気にかけてくれたりという環境があったのに、コロナ禍で一気にそういった関係がなくなってしまい、電球一つ替えるのもお隣さんに頼めないという状況を患者さんからも聞いています。コロナで人との距離がどんどん離れてしまいましたけど、地域の中で誰かを支援していくには私たちみたいな介護職だけでは足りません。日頃隣りにいる人たちの「あれ?今日は体調悪そうだな」とか「最近様子がおかしいな」のような、ちょっと気づける距離間というものがすごく大事だと思っています。コロナが少しずつ落ち着いてきているので、社会のリハビリではないですけど、少しずつ人との距離間が回復していけるような社会になっていったらいいなと感じています。
 理学療法士として働いているなかで感じた疑問が1つありまして、だんだん高齢になっていくと「朝ごはんを作ること」や「朝起きること」が面倒になり、朝ごはんを食べないで「お昼に起きて、お昼ごはんから(一日の食事が)スタートする」という方が意外と多いんです。そうなると、朝起きるリズムが崩れていって、夜遅くまで起きているようになり、その結果また朝遅くまで寝ていて生活リズムを崩すという方がけっこう多いです。ですので、できれば「朝早く起きてご飯を食べる」という習慣をなるべく続けられるような環境を整えていけたらいいなと考えています。そこで、武里の空き物件を借りて、みんなで朝ごはんを食べられるようなおむすび屋さんをやろうかなとも一時期考えたのですが、私には飲食店の経験が全くなかったので今回は断念しました。おむすび屋さんを経営するとなると、理学療法士の仕事を辞めて、そちらで売上を上げていかなければなりません。私がやりたいのはおにぎりを売って儲けることではなく、みんなの生活リズムが崩れないように「朝ごはんを食べる習慣をつくること」です。そうであれば別にお店にしなくても、例えば、どこかの場所を借りてみんなで朝ごはんを持ち寄って「朝ごはんを食べようの会」を始めたりするのもありなのかなと思っています。思いを持ち続け、誰か人の手も借りながらそういう環境をつくっていけたらいいなと考えています。
 (おにぎり屋さんの構想を通じて)武里という場所に興味を持って、何日間か武里のまちをうろうろ歩いてみたんですけど、意外とご高齢の方は駅前よりも武里団地内で過ごしていることが多いと感じました。コロナ禍でやらなくなってしまったらしいのですが、昔は団地内で(食べ物を)持ち寄って「ごはん会」みたいなものを開催していたと記事で見たことがあります。そういう情報も調べながら、私も力になれることがあれば協力していきたいなと思っています。まずは近所の人やお隣の人の様子を気にかけられる関係をまた作っていけるように何かアクションを始めたいと考えています。



『 “小さなチャレンジ”をまちに広げる、大学のチャレンジ』

2.匠のフジダナヒロバからまちをモヤモヤ
  【モヤ友】木下芳郎さん(日本工業大学 建築学科)

 日本工業大学の建築学科にいまして、普段は「建築計画」という分野で「どこに(建物を)建てたらいいのか?」「どれぐらいの広さがいいのか?」といったことを考えたり、研究したりしています。先週は雨で(準備が)大変だったのですが、今日は晴れてこういった場所で話ができるのを楽しみにしてきました。
 6年前に大学に赴任してきて、大学を飛び出して地域の中でいろいろな研究ができるところを探していました。そんなときに春日部市さんに声をかけていただき、春日部駅の東口でまちをちょっと楽しくするための活動ができませんかと話をしました。私の研究室が拠点にしているところは、匠大塚さんの裏の川沿い駐輪場のところで、勝手に「匠のフジダナヒロバ」と名付けています。学生と一緒に地域をうろうろと歩いていたときに見つけたのがこの駐輪場でした。元々はロビンソンというデパートの従業員用の駐輪場だったところです。(見つけた当時は)全然使われていない状態で、よくある緑色のフェンスで囲われ、草も生い茂り、藤も伸び放題になっていました。家具や要らない物が不法投棄されているような暗い場所だったのですが、川沿いで桜も咲いている絶好の花見ポイントでもありました。フェンスを取り払って、ベンチを置いて休憩所みたいにしたら、散歩の途中で高齢者の方々が会話できる場所になると思い、とりあえず絵を描いてみました。さらにキッチンカーを置いたら、ここで商売もできてビジネスにもつながるかもしれないと考え、春日部市のビジネスプランコンテストに応募したところ、面白がってもらえて賞もいただきました。それをお土産に匠大塚さんに「(広場づくりを)やらせてもらえませんか?」と言ったら「いいじゃない」と懐深く言ってくださり、活動がスタートしました。
 まず最初に模型を使って、家具をどんな風に置いたらよいかを地域の方に聞きました。その後、実際にフェンスを引き抜く作業をイベントとしてやったり、大学で作ったベンチを持ち込んで小さいお子さんに色塗りを手伝ってもらったり、居心地を体験してもらうためにプロのギタリストの方に生演奏をしてもらったりして、雰囲気のいい場所ができ上がりました。新聞等にも載ってこの調子でどんどん活動していけるかと思っていたらコロナ禍になり身動きがとれなくなってしまいました。その間は学生たちと「いつかは使ってくれるだろう」と大学内でコツコツと家具を作り続けました。今日(親水広場内に)持ち込んでいる白いイスはまさに2020年に外に出れない学生たちがコツコツ作っていたもので、2年越しにデビューできたので感慨深いものがあります。それ以外にもフジダナヒロバで日工大建築学科の構造分野の箕輪研究室で開発したダンボールの立体折り紙を小さなお子さんと一緒に作るワークショップを開催したりしています。春の季節のよいときには地域の方々が集まれるような場所になってほしいと少しずつ活動を続けています。

立体折り紙のワークショップの様子(フジダナヒロバ)

 ここからは将来の話ですけど、フジダナヒロバのような場所をもっといろいろなところに広げていって、地域の方々や、何か新しいことをやってみたいという方が、小さくチャレンジできるような場所を作りたいです。ちょっと試しにやってみて、そこにたまたま通りかかった空き物件を持ったオーナーさんが通りかかり、「自分の空いているお店でもやってくれ」なんて出会いが地域にポツンポツンとできていく。そして、地域の人たちがまちに出てきていろいろな場所を楽しんだり、地域の外からも人が集まったりして週末はここで一日過ごせるような場所になっていく。(自分たちの活動が)そんな広がりの核になっていきたいなとモヤモヤしています。
 こんな話をしていると、自然と声もかけてもらえるようにもなって、場を整備するためのいろいろな検討の場に参加させてもらったりするのですが、こういう物事は時間がかかるということを感じていますし、最近は開き直って「時間をかけて」やっていくものなんだと思っています。体感的には私みたいな「よそ者」の活動に好意的な目で見てもらえるようになるまで2年半ぐらいかかりました。ドカンと(大きく)やらずにコツコツと継続してやっていくことが大事なのかと思っています。また、「自分たちのやっていることは日常につながっているのか?」ということは特に気をつけていて、自分たちのやっていることを一過性のものとして終わらせないようにしたいと考えています。それが「この場所だけ盛り上がる」ということではなく、波及して「隣近所も面白くなっていく」という活動につながっていくと思っています。
 今はもうチェーン店が同じフォーマットで出店するようなまちづくりは立ち行かなくなってきたので、「この場所」は「こういう人向け」に「こんな業態」のお店というように、地域ならではのオーダーメイドを考えなくてはいけない。でも、それは「やって」みないと分からないと思います。やってみて、うまくいって、生き残った結果として、春日部らしい業態ということになるんじゃないでしょうか。そう思うと、とにかくたくさん失敗できるような場所ができないと、それは生まれないんだろうなと思います。ですから、「小さなチャレンジがいろいろできる」、そして「その場所が豊富にある」ということが、まちの最終的な「豊かさ」やまちの価値を生み出す「原動力」になるんだろうなと思っています。


『地域とつながる合言葉 “モヤっていこうぜ” 』

3.カスカベデビューモヤモヤ
  【モヤ友】高橋良成さん(カスカベ練習生)

 私は春日部市立病院で生まれ、小さい頃は武里団地に住んでいました。小学校に上がるくらいのときに八木崎に引っ越しました。八木崎小学校に通い、豊春中学校に通い、春日部東高校に行って、24時間ずっと春日部にいる生活を送っていました。その後、八王子の大学に入ったことで春日部にいる時間がだんだん短くなってきましたが、春日部に住みながら片道2時間かけて通っていました。就職してから仕事はずっと都内でしています。都内で仕事をしていると、飲みに行くのも、友達と会うのも、何か活動するのも都内になり、それが当たり前だと思っていました。
 それがコロナ禍になるちょっと前の2019年ぐらいに「春日部に居場所をつくりたい」と思うようになりました。私は(専門職ではないのですが)医療や看護、ケアの世界で仕事をしており、「あの先生は良い」とか「あの施設ではこんな取り組みをしている」ということを知っているのですが、じゃあ仮に病気になったときに春日部の(医師や施設等の)ことを全然知らないなと思いました。春日部とつながりをつくらないといけないなと思うきっかけになりました。
 そうしたらコロナ禍になり、都内では飲みに行けないけど埼玉に来れば飲めるという時期もあったので、その頃は川を越えて埼玉で飲んだり、春日部まで戻ってきて飲みに行っていました。すると今まであまり意識していなかった居心地の良さを感じるようになり、どんどん春日部でつながりをつくりたいなと思いました。去年の春ぐらいから豊春の居酒屋を借りて開催している「タマムシカフェ」というコミュニティカフェにもお邪魔させてもらっていて、それがけっこう居心地がいいんです。地域のお年寄りや子連れの方、春日部でケアをやっている方も来ています。
 もう一つ、同じ時期に春日部市の男女共同参画推進審議会というものに参加するようになりました。ジェンダーに興味があったのですが、男女(という括り)だけではなく、いろいろな立場の人が住みやすい春日部にしていくために今もその活動を続けています。46年住んでいていまさらなのですが、ちょっと意識を変えて「カスカベデビュー」ができる場所で、春日部に根付くことがしたいと思っています。
 カスカベデビューを考えたときにモヤモヤと感じることが2つあります。1つ目は、参加したい活動やコミュニティがあっても平日の昼間にやっているものが多くて、なかなか参加できないこと。普段の平日は都内まで仕事に行って、夜に帰ってくる生活なので、(活動に)興味があっても見に行けない。もちろんいろいろな事情があるとは思うんですけど、「春日部に住んでいるけど昼間いない人たち」のために、(たまにでいいので)遅めの時間帯や土日等に活動の入り口を作ってもらいたいなと思います。
 もう1つが、(集まりに)参加してみたいけど壁を感じてしまうこと。去年の4月から今年の1月までの間、私は子どもの福祉の勉強をかじり興味を持っていました。子どものために何かしようというサークルは春日部にもあるのですが、参加対象が家族だったりお母さんだったりで、自分のように独身で、子どもがいなくて、男という立場だと敷居が高く(参加するのに)壁があります。児童養護施設や社会的養護の世界を知ってみると、こういったことは子どもがいる人だけの話ではなく(むしろ子どもがいる人は自分の子どものことをちゃんと考えてあげればよい)、子どもがいない人や余裕のある人たちが「社会の子どもたち」として考えていく必要があると思い直したんです。今はご時世的に異質な人が入ってくると警戒してしまうこともあると思いますが、たまに外の人を入れるような機会や接点をつくってくれるといいなと思っています。
 最後に「ゆるゆるモヤっていこう」という話をします。これは社会的養護の子どもたちについて勉強していたときに「子どもアドボカシー」という活動をしている人たちから教えてもらった言葉です。子どもアドボカシーというのは、子どもたちの話や思いを「ちゃんと」聞いてあげるという活動で、その人たちは児童相談所内にある一時保護施設で子どもたちの話を聞くという活動をしています。子どもたちが思っていることがあっても、ちゃんと聞けていないということはけっこうあると思います。良かれと思ってしていることが実は大人の思いであって、子どもの本当の気持ちやその時の気持ちに沿っていない判断をしてしまう。そこで活動をしている人たちの合言葉が「モヤっていこうぜ」というもので、すごく良いなと思いました。モヤモヤしているというのは、ある意味「決めつけていない状態」です。決めてしまったらそれが答えとなって、その答えにそって物事が動いてしまいます。うまく言えない子どもたちも、なんとかその思いを汲み取りたい大人もみんなモヤモヤしているけど、決めつけないで「モヤモヤしながらいること」がいい。そういう意味で「モヤっていこうぜ」と言っているそうです。自分もこれから春日部の中でいろいろなところに交ぜてもらったり、首を突っ込ませてもらいながら、そしてモヤモヤしながら春日部に根を張っていきたいと思います。


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モヤモヤカフェは、暮らしのなかで感じるちょっとした疑問や悩み、ワクワクするアイデアを、コーヒーなどの飲み物を片手におしゃべりをする場所です。皆さんは「桜梅桃李」という言葉をご存知ですか?桜、梅、桃、季(すもも)それぞれが独自の美しい花を咲かせることから、他人と比べず「自分らしく」という意味でも使われるようです。まちも人も桜梅桃李で成長できるといいですよね。これからもモヤモヤカフェは春日部とそこで活動する個人個人の思いを紡いでいきたいと思います。

参加者にプレゼントしたモヤモヤカフェの缶バッチ

 次回のモヤモヤカフェもぜひ楽しみにしていてください。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


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