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弾む冷静さ

酒に飲まれているときこそ、私の頭は冷静な言葉で道筋立てられている。

そして、高熱が出た時ほど、冷静に自分を3Dプリンタにかけることができるのだ。


弱っている時に差し出される手を、丁寧に退け、丁寧な口調で、「大丈夫」と放つことができる。

逆に浮き足だっている時というのは、酒や熱という温度を帯びていない時である。自分の言葉から煙が上がる、次の言葉を紡ぐ瞬間、言葉と言葉が擦れて熱を帯びていく。

そして、そのうち、酒を服用しなければ、相手が耐えられなくなっていくのだ。暑くて、熱くて、一刻も早く酒の力を借りたい、と。


そんな時、私はどこからともなく、見知らぬ人間を差し出す。「どうぞ」

どうぞ、ご自由に。


ご自由に、同じものを服用した、同じ熱さの人間と交わり合ってみてください。

私は、ほら、まだ次から次へと紡ぐ作業で大変なんだ。


そして、ほら、熱が出てしまって冷静さを取り戻した時、君たちのよくあるストーリーを目にするとなると、あまりにも自分が可哀想だから。

だから、上から恋人繋ぎをしながら帰路に着く二人を眺めるのだ。


煙を吐きながら、
世の中の熱さを感じる。

瞬間的な"遊び"を見下ろし、
昼間にあの二人の元に飛び込む言葉はいったいどんなものなのだろうと想像した。


文字を書くことが生き甲斐です。此処に残す文字が誰かの居場所や希望になればいいなと思っています。心の底から応援してやりたい!と思った時にサポートしてもらえれば光栄です。from moyami.