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暴風の中、高校生の視線を浴びながら、真っ直ぐな道を歩いていた。

季節は4月、暖かくなってきた頃で、長袖一枚で出かけられるのがこの上なく楽しかった。

オーバーサイズの長袖のポロシャツに、下は、ありえないほどのダメージ加工がされた、布切れ、いや、ジーンズを履いていた。


ショートパンツくらいの丈から足首まで、正面から見ると生地がなく、後ろの生地があるからやっと保たれているようなデザインだ。

きっと、高校生も、「あれ、どうなってるんやろ」と、思っていたはずだ。


高校生に限らず、友人も、「それ、どうなってるん?」と興味津々に顔を傾けていた。


そんな時、ニカッと笑った君が現れて、「オンリーワンやね、今日も」

そう言ったんだ。

「そうやろ?」なんて言って笑顔で返していた私は、その言葉の意味なんてわかっていなくて、ただなんとなく自分は褒められているんだと感じていた。


それから、君は会う度に、「オンリーワン」という言葉と共に、笑顔をくれて、そして、いつのまにか、違う世界へと旅立ってしまった。


あれから9年、あの春、君に出会って貰った言葉が今もまだ、私の胸で生き続けているよ。

9年間の間に、同じオンリーワンという言葉を受け取ったこともあるけれど、その度に、君が一番最初に私の輝きをこの言葉で、表現してくれたときのことを思い出すんだ。


自分と向き合い続ける最中、こんなことを思った。自分が死んだ時、「やっぱりまあやは唯一無二だったよな」「なにもかもがオンリーワンだったよな」って、皆が言ってくれていたら嬉しいな、と。

そんな、自分の生き方の土台にもなっている、オンリーワンという形を、君があまりにも自然と口にするから、気づくのがこんなにも遅くなってしまったよ。



私にとって君は、どんなに暗くても、照らし続ける月のような存在だった。

きっと今もどこかで、輝き続け、誰かを照らしているのだろう。

文字を書くことが生き甲斐です。此処に残す文字が誰かの居場所や希望になればいいなと思っています。心の底から応援してやりたい!と思った時にサポートしてもらえれば光栄です。from moyami.