ウクライナ侵攻を受けて--『インフル病みのペトロフ家』スタッフ・キャストの近況2022/4/4

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、文化は政治の動向(政府ではなく)とどれくらい距離があるべきなのだろうかと考える日々が続いています。先日、元東京国際映画祭プログラミング・ディレクター矢田部吉彦さんの掛け声で実現した「ウクライナ映画上映会」では「カンヌ映画祭がロシア(資本の入っている)映画を排除するらしい」(矢田部さん)という情報もあり、上映後トークでは筑波大学の梶山祐治先生が、ウクライナはもちろん、ロシアの映画監督(文化人・芸術家)の多くも、この戦争によって非常な困難の中にあることをリアルに知らせてくれました。前回に続き、『インフル病みのペトロフ家』のスタッフ・キャストの近況をお知らせします(この投稿は個人名とします)ムヴィオラ・武井みゆき #StandWithUkraine

>>前回3/2(水)投稿の反戦声明はこちら

>>4/15(金)投稿の続報はこちら

主演ペトロワ役 チュルパン・ハマートワの続報です。

前回の投稿でSNSでプーチンを痛烈に批判していたことをお知らせしたハマートワはロシアには戻らないことを決意したようです。AFP電やYoutubeに上がったインタビュー、ゲンロン・上田洋子さんのツイートを紹介します。

作家セリョージャ役のウクライナ人イワン・ドールンの続報です。

イワンはウクライナにとどまっているようです。数日おきにインスタを更新してくれるのでそれで安全が確認できます。

https://www.instagram.com/tv/CaWzRqflGRc/?utm_source=ig_web_copy_link

脇役(「雪むすめ」マリーナの寮の管理人役)で印象を残す女優ユリヤ・アウークはベテラン演劇人であり、侵攻後すぐの2/26に非常に強い反戦メッセージをあげていました(筑波大の梶山先生に教えていただきました)

https://www.youtube.com/watch?v=v63DF4b92BA

ざっとした訳(梶山先生より)「友たちよ、私たちはこれがいかなる軍事作戦でもないということをよく理解し、自覚しなければなりません。これはロシアがウクライナで起こした本物の戦争です。ロシアは主権国家の領土を侵害し、ウクライナに宣戦布告したのです。残念ながら、もう阻止することはできません。私たちにできる唯一のことは、至るところで語ることです。機会があればあらゆるところで、いかなる場合にもこの戦争には屈しないのだと語るのです。私たちは断固反対します。世界は、ロシア国民はこの戦争を支持しておらず、大統領も支持していない、と理解する必要があります。」

セレブレンニコフ監督の続報です。

前回、彼自身の身の安全のために、弁護士がメディアとの接触、並びに政治的発言を禁じている状況とお伝えしたセレブレンニコフ監督は、ついにロシアを離れ、ドイツを拠点にすることを決めたようです。

不当逮捕とも言われた国からの演劇予算横領の容疑で3年の執行猶予中だったセレブレンニコフ監督。今年1月に4年ぶりにパスポートを返却され、観光ビザでの渡航が許されたのですが、監督はすぐドイツに向かい、そこでチェーホフの「黒僧」を演出しています。その後ロシアに戻ってから、ロシアのウクライナ侵攻が起こりました。おそらくはすぐにも国外に脱出したかったと思いますが、横領容疑の裁判がまだ残っていて、それが終わるまでロシアにとどまらずを得なかったようです。ようやく裁判が終わり、晴れて就労ビザも取れるようになったようで、すぐにパリへ向かい、今後はドイツに拠点を構えるようだと記事は伝えています。セレブレンニコフはロシアに戻る気はなさそうです。

ロシアの映画評論家は記事の中で、「プーチンは戦争に反対している芸術家や映画監督を国から“一掃”しようとしているので、ロシア国境はオープンなのだ」と語っています。

新作『チャイコフスキーの妻』を今年のカンヌ映画祭のコンペに出すつもりで仕上げているセレブレンニコフ監督。カンヌはロシア映画排除を発表しましたが、セレブレンニコフのこれまでの反政府的作品から、カンヌも歓迎するだろうと記事は伝えています。

4/23公開『インフル病みのペトロフ家』公式サイト

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