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サイバーパンク:エッジランナーズの面白さを語る。

め~め~。

「サイバーパンク 2077」を原作としたアニメ「サイバーパンク:エッジランナーズ」は、圧倒的な面白さによって、ゲームの売り上げや接続数まで一気に跳ね上げた作品となっています。

ゲームの方を全く知らなくても楽しむことのできる本作品ですが、いったい、どういうところが面白いのか、本作品を気に入った人が深堀していくために、興味を広げられるような作品も紹介しつつ、語ってみたいと思います。

まずは見るべきかを知りたいという方は、以下にさっくり解説をした記事がありますので、参考にしてみてください。

原作の前日談だが、関係なし

まず、極々簡単にゲーム「サイバーパンク2077」についてふれておきたいと思います。

「サイバーパンク」そのものはTRPG が基となっており、それを、「ウィッチャー」シリーズで人気を博していたポーランドのゲーム会社CDプロジェクトレッドが、満を持して手掛けた超大型タイトルとなっていました。

「ウィッチャー」シリーズで人気のゲーム会社だっただけに、発売前の段階から話題になっていた作品でしたが、作品が公開されてからの、いわゆるバグによる不具合が多発し、返金騒ぎ等が発生した作品でもありました。

それを、2022年になって「天元突破グレンラガン」の今石監督が、アニメ化したのが本作品となっています。

サイバーパンクを扱った作品というのは無数にあるのですが、サイバーパンクというゲームそのものが、80年代の日本がバブルによって急速に世界に影響を与えていた時代につくられたものであり、ゲームにしてもアニメにしても、その影響が強くでているのが面白いところです。

ブレードランナー

フィリップ・K・ディックの代表作の一つといえば「アンドロイドは、電気羊の夢を見るのか」が有名であり、ハリソン・フォードが主演を務めた「ブレードランナー」は、サイバーパンクな未来を映像で見せたという点においても重要な作品となっています。

近年においては、「ブレードランナー2049」として、ライアン・ゴズリング主演でリメイクされたりもしていまして、サイバーパンクな世界というのは、魅力のある設定となっています。

アニメをみている中でも、ブレードランナーを思い出せるような表現がでてきたりしますし、そもそも、サイバーパンク2077の原点にあるのは、そのあたりなのだから、この時代の作品が好きな人であれば、それだけで餌食になってしまうのはやむえないところでしょう。

ネオンが光る退廃的な世界。

手塚治虫的ではない未来といいましょうか、明るくない未来というのも面白いものですし、エッジランナーズの世界観が気に入った人であれば、ブレードランナーをみて損はないところかと思います。

ちなみに、これらがつくられた時代、日本企業に対して、世界が潜在的に恐怖していたということもありまして、サイバーパンクにおいての巨大企業の名前がアラサカという日本的なネーミングなのもその影響となっています。

そして、キャラクター的にも、作品におけるハッキング等の技術面などのアプローチが気に入った方にみてもらいたいものもあります。

攻殻機動隊

「サイバーパンク」を見ている人は、だいたい知っているかもしれませんが、やはり、士郎正宗原作「攻殻機動隊」を外すわけにはいかないでしょうし、エッジランナーズをみた人であれば、何度となくフラッシュバックしたことでしょう。

2話において、爆発的な魅力を発揮するヒロインであるルーシー。

彼女の見た目は、攻殻機動隊における草薙素子に似ています。

攻殻機動隊においては、電脳戦というのも見どころとなっていまして、エッジランナーズのハッキング云々というところに魅力を感じたりした人は、間違いなくオススメの作品となっています。

(ちなみに、サイバーパンクの世界においては、オールド・ネットと呼ばれるものも存在しており、ネットワークの概念そのもののイメージが異なっていたりします)

押井守の映画版もいいのですが、テレビシリーズ版である「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」を特におススメします。

また、エッジランナーズにおけるルーシーは、子供を隔離して育てる施設において特別な教育を受けているという設定もでてきます。

近年であれば「約束のネバーランド」の孤児院ようなところであり、「ようこそ実力至上主義の教室へ」でいえば、ホワイトルームの子供たちといったところでしょうか。

スパイ&ファミリーで人気のキャラクターであるアーニャも、超能力を開花させるような施設で特別な環境下におかれていたことを匂わせていますし、この手の設定は時々あったりします。

エッジランナーズにおいては、そんな不幸な生い立ちのルーシーと、主人公のデイヴィットが惹かれ合うロマンスと、悲劇というところも見どころとなっています。

天元突破グレンラガン

あと、近年では「プロメア」を劇場公開したトリガーというアニメ制作会社の存在は、これからもっと注目されることでしょう。

もともとは、アニメ制作会社ガイナックスにいたメンバーが独立した会社となっておりまして、今石洋之監督が在籍時代につくった「天元突破グレンラガン」は、圧倒的なスケールと、少年が大人になっていくことへの喪失と成長を荒々しいタッチで描ききった作品となっています。

今石監督といえば、「キルラキル」でもそうでしたが、迫力のある構図と演出です。

エッジランナーズでも、それはいかんなく発揮されていまして、物語の構造上、カーチェイスが圧倒的に多いのですが、構図がうまこともあって、まったく飽きることがありません

後半になればなるほど、バトルが激しさを増してくるのですが、演出のアイデアがいくつあるんだというほど、卓越した面白さを発揮しています。

今石監督の過去作品を追うだけでも、エッジランナーズにはまった人は価値があるのは間違いありません。

さて、では、そろそろ内容のほうにもうつっていきたいと思います。

ただし、なるべくネタバレはせず、面白さを感じた部分については、興味が拡大しそうな作品の紹介を行っていきます。

サイバーサイコシス

エッジランナーズにおいて、サイバーパンクたちの恐ろしい運命を示したものとして、サイバーサイコシスというものがあります。

インプラントと呼ばれる機械を体にいれることにより、強力な力を手に入れるかわりに、人間性を喪失としていくという設定になっているのが、本作品の儚さに一役買っているところです。

1日に2回から多くて、3回使用するのが限度と言われている、軍用の特別なサンデヴィスタンと呼ばれる装置を装着した主人公デイヴィット。

第一話において、彼はひたすらどん底へと落ちていきます。

それは、お金が無ければどんどん貧困層におちていくという未来の現実を見事に描いており、現代においてもそんな転落は、普通に存在するものだったりするから恐ろしいところです。

母親の願いの為に生きてきたデイヴィットは、事故に巻き込まれて母親を亡くし、そのまま転落していく。

この追いつめられ方は、まさに、神話的な構造に近いつくりとなっています。

というのも、実は本作品は、デイヴィット・マルチネスという伝説の男の物語でもあるからです。

英雄というのは、物語の構造として必ずどん底を経験する必要があります。

そうして、地獄を抜けることでヒーローになるというのが王道となっており、1話においては、この下地を見事につくって、かつ、サイバーパンクな世界の過酷な実態も描いているところが素晴らしいです。

サイバーサイコシスという状態が、エッジランナーズたちの終わりを意味するわけですが、その表現の仕方が非常に秀逸だったりします。

目の前は真実か。

アニメを始めてみるときにはあまり気にならないのですが、実は物語が始まった瞬間からサイバーサイコシスになった人物が登場してきます。

次にサイコシスがでてくるのは4話となっておりまして、ドラム缶にむかってお小水をだしている男が、この作品の流れを一瞬でかえてしまいます。

サイコシスになっている人物は、目の描写がおかしくなっています。

人間性が失われているということを、その表現で表しているのも面白い試みです。

そして、主人公サイドのキャラクターが、サイコシスの症状がでてきたときの表現が実に巧みとなっています。

それは、まるで認知症によって頭がどうにかなってしまったかのように描かれているところが面白いです。

最近の映画でいえば、アンソニー・ホプキンズ主演「ファーザー」が必見となっています。

自分が今どこにいるのか、どうなっているのかわからないという状態を、周りの人間ではなく、認知症になっている本人の視点で描いているというところが恐ろしくも、面白い作品となっています。

ふと気づくと娘と思っていた人物が、娘ではなくなっていたり、見も知らない男が一緒に住んでいて「僕は、君の娘の旦那だ」と言い張ったり。
観客としてみている我々も何が現実で、何が妄想なのかわからなくなってきます。

また、死んでしまった後に恋人と過ごした家にずっといつづけるゴーストの視点で描いた作品「ア・ゴースト・ストーリー」もまた、同様の表現があったりします。

部屋をまたいだ瞬間、時間がとんで、知らない移民の家族が住んでいたりして、訳が分からなくなって怒り出したりします。

エッジランナーズにおいては、サイバーサイコシスになった仲間が、過去や抽象的な世界にとんだりしながら、悲劇を拡大していく表現があったりして、表現力の高さにぞっとするところです。

本人からすれば、何もおかしいことはしていないのに、見えているセカイが違っている

外部からみていたサイコシスが、自分自身におとずれるときの恐怖。

そして、主人公もまた、その状態になることへの恐れと、克服を描いているところは、他の作品と一線を画するところといえるでしょう。

高みを目指して、派手にくたばれ

「サイバーパンク:エッジランナーズ」は、滅びの美学というものを体現している作品でもあります。

詳しくは作品をみてもらえればと思いますが、肉片が飛び散り、何が起きるかわからない本作品は、どこまでいっても生よりも、死を鮮烈に描きます。

人間がどこで生き、どこで死ぬべきかということを考えさせられる作品でもあります。

本編の面白さはぜひ作品をみてもらえればわかりますが、ゲームとの相乗効果も最後に書いておきたいと思います。

冒頭においても、アニメ「サイバーパンク:エッジランナーズ」は単体で面白く、前日談ということにはなっていますが、まったくゲームをやったことがなくても問題ないつくりとなっている点は既に述べております。

しかしながら、ゲームをやるともっと楽しむことができるのも、ポイントです。

そもそも、アニメの舞台は、ゲーム「サイバーパンク2077」の世界そのものであり、ゲームをプレイすると、キャラクターたちが存在していた聖地を巡礼することが簡単にできるのです。

なんかみたことあるな、と思ったら、アニメでみた場所だったりするので、アニメをみた後でゲームをやってもよし、ゲームをやってからアニメをみてもよし、といったつくりになっているのは、美味しすぎるところです。

特に、相手からの連絡があったときの着信音はアニメとゲームも同じなので、奇妙な感覚に襲われることになります。

また、ゲームでの依頼(クエスト)をこなすとわかるのですが、アニメでやっている事柄も、ゲームの中では大なり小なり行っていることであり、決して彼らの物語が、アニメだけで行われる特別なものではないという気がしてくるところも不思議です。

アダム・スマッシャーという敵がでてくるのですが、ゲームでは倒すことができる敵として現れますので、アニメでの怒りをぶつけることも可能だったりします。

実は、オープンワールド系のゲームと、アニメというのは相性がいいのではないかと思ったりしました。

ゲームのアニメ化というのは腐るほどあるわけですが、自由度の高いオープンワールドのゲームであれば、まさに、観光気分でその世界に浸れる点も、サイバーパンクの面白さのゲームの売り上げに貢献している要因の一つと思われます。

あと、ゲームをするとお得なのが、ルーシーがハッキングをしかけたりしているときに、コード表のようなものがでてくるのですが、何をやっているかがわかる気がするところです。

いかにルーシーが凄腕なのかを追体験できるのです。

他のキャラクターも素晴らしく、2回3回見直すにつれて、仲間たちへの愛着が強くなっていきますので、寂しくなったらゲームの世界を回遊するのもいいでしょう。

レベッカなんかは、アニメ制作会社であるトリガーも、絶対に譲れないキャラクターだったといいます。

海外の作品ですので、子供にみえるキャラクターの扱いというのは大変難しいそうですが、レベッカという実に気持ちのいいキャラクターは、多くの人が好意的にみえることでしょう。

あとゲームのつながりで言えば、依頼を流してくれるフィクサーである、ワカコなんかも、アニメでこっそりでてきますし、

アニメを単体でみても面白いのに、ゲームをやるとますます面白いとは、どこまでもエッジを超えた作品となっています。

以上、アニメ「サイバーパンク:エッジランナーズ」の面白さを語る。でした!


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