身内への優しさにも限度がある。映画「ヴィジット」
公 開:2015年
監 督: M・ナイト・シャマラン
上映時間:94分
ジャンル:スリラー/ホラー
見どころ:突然始まる、鬼ごっこ
おじいちゃんやおばあちゃんは、孫のことを、基本は大歓迎します。
偏屈な人も中にはいるかもしれませんが、身内への無条件の愛情というものは、大なり小なりあるものでして、おこずかいをもらってみたり、どこかに連れていってもらったり、おもちゃを買ってもらったりと、大人になるといかに無条件で色々としてくれていたかがわかるものです。
さて、M・ナイト・シャマラン監督により映画「ヴィジット」は、そんな、祖父母がもっている絶対的な愛情が、実は恐ろしいものかもしれない、という油断している点を狙ってくる映画となっています。
目に入れても痛くないのが孫と言われておりまして、孫は孫で、それなりにお行儀よくするものです。
「ヴィジット」では、娘が若い頃に家を飛び出したあと、その両親が彼女を見つけ出し、孫と会わせて欲しい、という話から始まります。
そして、姉と弟の二人だけで、祖父母と一緒に数日間を過ごす、というのが主な内容となっています。
子供たちも、母親と祖父母の仲を心配しており、和解させるための万能薬として、動画撮影をしながら過ごそうとします。
動画撮影をする姉と、ラップが大好きな弟。
田舎に住んでいるおじいちゃんおばあちゃんは、そんな二人をどう思うんだろうとハラハラするのですが、もっとヤバイことが起こります。
映画「パラノーマル・アクティビティ」のジェイソン・ブラムとコラボしているだけあって、シャマランの巧みな演出と絶妙な映像が、見てはいけないものを見せてきます。
なんか、祖父母の様子がおかしいけど、「老人になるとそうなってしまうのよ」と、すごくありそうな説明をされます。
たしかに、人間そんなものかな、と優しい気持ちでみるのですが、そのうち見てみぬふりができなくなってところに、演出の巧みさを感じるところです。
最後には、姉弟の二人ともちゃんと成長しており、親から離れると子供って大人になるのだな、なんて思ったりするあたりの脚本の巧みさも魅力です。
とはいえ、優しさって、時に怖いのです。
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