『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』の三浦貴大のDNA
中井貴一主演の『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』を見始めて、物語の途中から、主人公の元中年サラリーマンといっしょに、運転士を目指すのが三浦貴大だ。この見たことの無い若い役者に魅せられた。野球で挫折して、嫌々運転士を目指す不貞腐れた感じも、物語の後半の好青年に成長してからの清々しさも見事に演じ分けていた。この若い役者は誰なんだろう?と思って、当時ネットで調べてびっくりした。
今では知らない人もいないと思うが、彼は、三浦友和と山口百恵の息子だ。『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』は、三浦のデビュー作だが、公開当時、彼の両親のことついて全く話題になっていなかったと思う。もし事前に知っていたら、七光りフィルターが否が応でも発動してしまっていただろう。
彼は、東京育ちで成城学園から順天堂大学を卒業した、もうバリバリのお坊ちゃん育ちのはずなのに、彼がガテン系の役を演じると、本物以上にそれらしく見えのだから意味がわからない!彼の芝居には、物語のその役が背負ってきた業や不幸が見えるのだ(陰があるというか、深みがあるというか)。こんなタイプの俳優は少ないと思うが、これこそが、三浦友和のDNAなのかとしみじみ思う。
三浦友和は、奥様の百恵ちゃんの相手役として、東宝でずっと面白くもない二枚目俳優をずっと文句も言わず演じ続けていた。当時は、どちらかというと正直嫌いな役者だった。しかし、 相米慎二の『台風クラブ』のグダグダな高校教師役を演じた友和にしびれた!こんな演技ができる役者だったんだ!と。演技派の役者として完全に地位を確立してしまった今になってしみじみ思うが、三浦友和という役者は、東宝の営業的な理由でダークサイドの面を綺麗な顔で隠し続けていただんだと。『アウトレイジ』や『64 -ロクヨン- 』や『葛城事件』などの映画で、彼のダークサイドの魅力は、もう広く知られてもいるが、たぶん、このダークサイドのDNAが受け継がれたのが大貴なんだと思う。(兄の三浦祐太朗は、全くこのDNAにかけらも感じ慣れないから兄弟でもこうも違うのかと。。。)
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