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ムーラボ映画のダークホース!!"過ぎた青春"を描く『東京の恋人』

どうも、こんにちは。

映画チア部の(てつ)こと、大矢哲紀です!

元町映画館では、ついに、8月8日から川上奈々美さんが出演する映画『東京の恋人』が公開!!

今回は、本作をすでに観た映画チア部のメンバーと共に、その魅力を紹介していきたいと思います!


『東京の恋人』とは?

東京の恋人1

出典:https://eiga.com/movie/92809/gallery/

『東京の恋人』は、MOOSIC LAB 2019の1作として企画・制作された下社敦郎監督の長編映画。

MOOSIC LABとは、今泉力哉監督(代表作:『愛がなんだ』)や枝優花監督(代表作:『少女邂逅』)、内藤瑛亮監督(代表作:『許された子どもたち』)も携わってきた"音楽と映画の祭典"で、映画監督とアーティストのコラボレーションが魅力的な企画。

近年、青春映画の印象も強かった上映企画の中、本作では日活ロマンポルノ的アプローチで、30代男性と彼の元彼女のノスタルジックな再会が描かれていきます。


"過ぎた青春"映画としての魅力

東京の恋人2

出典:https://eiga.com/movie/92809/gallery/2/

『東京の恋人』の魅力は、なんといっても、作品全体に漂うノスタルジー


まずは、この予告編をご覧ください。


90年代を生きていない僕でさえも、『なんだ!この懐かしさは!!(笑)』とツッコみたくなるほどの郷愁感

時代を感じさせるタイトルロゴや、テロップの使い方、そして、東京60WATTSさんによる楽曲。

劇中でも、懐かしい空気感がエモーショナルな感情を呼び起こし、かつて恋人だった男女の愛しい日々を追想させる物語となっているのです。


叶わなかった夢や、あり得たかもしれないもう一つの人生。


そんなことをも、ふと思い返させる本作は"過ぎた青春"映画とも言えるのです。

20代の僕でさえ、かなり心に刺さったのですから、30代の男性が本作を観ると、突き刺さりすぎて、どうなるかは分かりません。笑


しかし、一方で、本作の下社監督は、こんなことも語っています。

杜甫の詩に「国破れて山河あり」というものがありますが、烈しく愛し合い、予め決められていたようなかつての恋人たちのその後と邂逅を描いてみたらどうなるかと思い作りました。私としては決してノスタルジアに傾くような後ろ向きな姿勢ではなく、それでも人生は続いていくというポジティブな物語だと思っています。(「MOOSIC LAB 2019」公式パンフレットより引用)

この発言からも分かる通り、過去を振り返るようでいて、未来へと繋がるような本作の物語には、むしろ、今後の人生を生きるためのささやかな希望を得られるかもしれません。


不完全さを肯定する物語

東京の恋人3

出典:https://eiga.com/movie/92809/gallery/5/

また、本作には人の不完全さを肯定するような優しい視点が垣間見えます。

結婚し、家庭を築こうとするタイミングで、ふと、元カノと再会することになった30代男性。

その描写は人によって、かなり好き嫌いが分かれるかもしれません。

しかし、劇中に現れる様々な登場人物も含め、一貫して不完全な人々を愛らしく描写している点には、救われる人が多いようにも感じました。

過去の後悔や自身の不完全さを背負いながら、ありふれた生活を営む人々。

そんな姿が、ごく自然に描かれている部分が本作の魅力だと思いました。


では、そんな本作を、映画チア部屈指のピンク映画好き女子は、どう思ったのでしょうか。(笑)


AV界NO.1?川上奈々美の演技力

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出典:https://eiga.com/movie/92809/gallery/

ご紹介の通り、私は女子大生ながらもピンク映画が大好きです。

一般の作品でも性的な描写はよく描かれていますが、そこには性描写を通して、その先に伝えたいもの(愛とか、生命とか)がある場合がほとんどです。

しかし、ピンク映画は、制作の軸が「性描写を描くこと」なので、そこをクリアしちゃえばOK!的な寛容さがあり、突飛な演出や展開が次々飛び出します。

それがもう、矛盾のない丁寧な作品ばかり観てきた私には新鮮で仕方なくて……年齢性別関係なく、シネフィルならピンク映画は無視できません。(沼ですよ!!)

ピンク映画のことばかり話しちゃいましたが、『東京の恋人』はポルノとドラマをうまく融合させた稀代の名作です。

先述の通り、本作は爽やか青春映画でおなじみの「MOOSIC LABによる企画。

ムーラボ独特の上品な瑞々しさは残しつつ、ロマンポルノ的な性描写もあるのが特徴です。

そして、主演はAV女優の川上奈々美さん!彼女が素晴らしい……。

私が過去に見た『つないだ手をはなして』『言えない気持ちに蓋をして』の2作では、未経験の女の子を演じていました。

ピンク映画好きならずとも、経験済女子より未経験女子の方が繊細に描かれるのは想像できるかと思います。

その分、役者さんの演技力も必要になりますが、川上さんは本当にすごい!!

恋愛に不慣れで、何かしたら失敗しそうで、何もしないまま気持ちだけが募っていって、そんな自分がちょっと嫌で……恋愛初心者あるある「揺れ動きっぱなしの心」を見事に表現しきるんです。(『つないだ手をはなして』なんてその痛々しさに目を背けたくなる…うう)

川上さんほどドラマパートの演技力がある女優さんを私は知りません。

そして、本作はロマンポルノ風ですが、純粋なピンク映画ではなく、ストーリーに重きを置いたドラマ作品です。

この作品の主演を川上さんが務めてくれたことに、私たちは感謝しなくてはいけません。

おそらく川上さんでなければこんな傑作にはならなかったでしょう。

また、青春映画の爽やかさ抜群の演技力を誇る女優さんノスタルジックなストーリー、ピンク映画に欠けがちな要素を全て持っている本作は、ロマンポルノ初挑戦に最適な作品だと言えます。(性描写もそんなにヘビーじゃないし!)

この作品をきっかけに、多くの人がピンク沼に落ちますように!

そんなことを願いながら、知り合いみんなに薦めようと思います。


『東京の恋人』がやってくる??

最後にコチラをご覧ください。

なんと、公開初日、8月8日19時30分の回の上映前に、本作に出演した川上奈々美さんと監督・下社敦郎さんの舞台挨拶が決定。

ぜひ、この機会をお見逃しなく!!

(チケット販売は、当日の10時から元町映画館での直接販売となります。お気をつけください。)


執筆:映画チア部 神戸本部 大矢 哲紀、高橋佳乃子

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