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出張ミニシアター巡り🚄【シネマ尾道】(広島県・尾道市)

こんにちは。映画チア部 大阪支部の(さや)です。

この記事は、現在遂行中の「大阪ミニシアター巡り」企画 特別編です!
大阪や関西に限らず、もっともっと、素敵なミニシアターの魅力を読者の皆さまに知っていただきたいという思いから、
特別編では大阪から飛び出して、各地のご紹介をさせていただきます!

今回は広島県・尾道市にある「シネマ尾道」に伺い、支配人の河本清順さんに貴重なお話を伺うことができました!

映画好きの方ならよくご存知の、映画のまち〈尾道〉🎥
小津安二郎監督『東京物語』(1953)や尾道出身の大林宣彦監督「尾道三部作」;『転校生』(1982)、『時をかける少女』(1983)、『さびしんぼう』(1985)などで有名ですが、現在に至るまで非常に多くの映画が尾道を舞台に撮影されています。

映画のイメージが強い尾道ですが、シネマ尾道は尾道市内で唯一の映画館。
地域の映画文化にとって必要不可欠な存在だと、訪問してしみじみと感じました…
映画はやっぱり映画館で見たい!と私は常々思うのですが、もし町に映画館がなければ……と思うと胸騒ぎがします。。


インタビューでは、
・シネマ尾道のこだわり
・シネマ尾道へ市外から観光として行く時の楽しみ方について
・毎年開催されているワークショップについて
・映画館で映画を見ること・配信で映画を見ることの違いについて
など、たくさんお話を伺いました!

景色もとてもきれいで、たくさんの魅力がある町・尾道。
観光として訪れて見たい方も必見です!
最後には今回私がシネマ尾道で鑑賞した作品と、シネマ尾道での鑑賞体験についての感想を記していますので、ぜひ最後までご一読ください!✨



聞き手:(さや)

チア部:シネマ尾道の建物は以前よりあったものであると記事で拝見しましたが、映画館の内装や映画を上映する環境、また映画作品のセレクトにはどのようなこだわりがありますか?

河本さん:ここの映画館ができたのが2008年なんですが、作るときに地元の大学生に壁に色を塗ってもらったりとか、地元のNPO活動で「尾道空き家再生プロジェクト」っていう、古民家を再生させて尾道の古き良きを残していこうっていう活動があるんですけど、その人たちに尾道の空き家から出てきた廃材を利用してトイレの装飾をしてもらったり、椅子を作ってもらったりとか、できるだけ地域の人たちと一緒に作った映画館っていうのを目指して作りました。

そういったインテリア的な部分だけではなくて、寄付金集めもそれをテーマにしていまして。映画館がこういった小さな町で残っていく方法としては、地域の人たちが自分が作った映画館っていう意識を持ってもらって、他人事ではなく「自分が建てた映画館なんだ」とか、「関わって作った映画館なんだ」って意識を持つことによって映画を身近に感じたりだとか、日々映画を見るっていう文化につながっていくと考えたので、そのような作り方をしました。

上映環境としては、正直シネマ尾道はシネマコンプレックスみたいな4DXやIMAXとか、ハード面では絶対に叶わないので、今ある中古の設備でいかにお客様に快適に映画を見てもらえる環境を作れるかというところで、お年寄りの人が来たら階段で手を引いてあげるとか、なるべく人の手をかけてハード面のマイナス部分を補っています。

作品のセレクトに関してなのですが、やはりこれも地域の尾道の人たちがこういう映画見たいんじゃないかなというのをイメージしながら映画を選んでいます。とはいえ、メジャーな映画とかなんでもいいのかという話ではなくて、私が作品選定を重要にやってるんですけど、1本1本この映画を尾道の人たちに届けたいっていうのを実際に見たり、信頼できる監督さんの新作だからというので上映したり、各世界の映画祭で評価の高い作品をしっかりと尾道の映画館でかけたいと思っていて、一つずつ厳選してセレクトしています。


チア部:自由席にされているのにはどういった理由があるのですか?

河本さん:単純にネットとかで予約するシステムを組むのに、お金がすごいかかってしまうんですね。あれインターネットの無料アプリでどの映画館もやっているわけではなくて、毎月すごい金額のシステム料金を払ってるんですね。でも実際、シネマ尾道の観客層を見ると60歳以上の方が大半を占めているので、予約システムについていけないんですね。というのもあるし、イベントは満席になることもあるんですけど、112席あって、平日はまず満席になることはないので、予約システムの費用をわざわざかけて入れる必要性が全くないんです。それで、予約システムを入れていない=来た人から順番に入っていただく自由席になっています。


チア部:先ほどトイレを使わせていただいたのですが、トイレ空間の装飾がとても素敵だなと思いました。また、個室の壁にもポスターが貼られていて、他で見たことのない空間だなと思いました。

河本さん:よく居酒屋さんとかでやってるんですよね。トイレをしている時っておそらくリラックスしていて、自然と目線は真っ直ぐ見ているので、ついつい読んじゃったりとか、ついつい気がいく方に集中してみちゃったりするっていうのが、私自身ほかのお店とかに行って感じて、「あ、このトイレ空間、映画のいい宣伝の場所になるな」と思って、毎回イベントがある時に、お知らせで必ず貼っています。常に映画の宣伝を空間でしているという理由があります(笑)


お手洗いはきれいなだけでなく、
おしゃれな映画宣伝の空間になっています!


チア部:先ほど見かけて気になったのですが、「交換日記」は地元の方がよく書かれているのですか?

河本さん:交換日記に関しては、旅で来た観光客の方が書くことが多いですね。尾道に来て良かった感想とか、映画を見て良かった感想とか。そうやった自分の「ここに来たよ」っていう足跡を残すために書いてる方が多いなと最近は思います。なのでそういった感想を見るのも楽しいですし、また(上映作品の)リクエストを日記に書いている方もいるので、そういったことも日記上でキャッチボールして「この映画はメジャー作品なので上映できません」とか、「ゆくゆくは上映する予定なんです」とか、そういうのをキャッチボールするツールになっています。

チア部:また後で、私も日記を書かせていただきます!

河本さん:ありがとうございます(笑)ぜひ書いてください。


交換日記は、現在4冊目。
私も書かせていただきました!


チア部:最近は観光客が増えているというお話を耳にしました。先ほどの交換日記も一つだと思うのですが、観光で来られた方はシネマ尾道での映画体験をどのように楽しんでいるのでしょうか?

河本さん:そうですね、観光客の方は映画館で映画を見ることを目掛けて尾道に旅行に来るという方が最近増えているなと思っています。尾道が面白いのが、単純に町に映画館があって映画を見て自分の町に帰る、ではなくて、町全体で楽しめる場所なんですね。どういうことかというと、駅前とか映画館の周りで海がすぐそばにあって、とても綺麗な景色が見えたりとか、あと尾道はこれっていう名物はラーメンとかくらいしかないですけど、どこの飲食店も食べ物が美味しいんですね。そういった食とか、景色を見る観光を一気に周りでできるっていう町も、実は日本全国あるようで無いんですね。

なので町全体が私は「シネコン」みたいだと思っていて、シネコンって行くと食べ物だったり、映画を見たり、ショッピングだったり…何か必ず満たされるものがある場所で、かつエンターテインメントな場所なんですけど、尾道の町全体もそれと似ていて。きれいな景色を見るって老若男女みんな好きなので、そういうのも楽しめるし、食も楽しめるし、映画館もあるというような町なので。そういった付加価値を楽しみに来ている観光客が多いかなという風に思っています。


シネマ尾道から歩いて20分ほどのところから。
シネマ尾道は限りなく海に近い場所に位置しています🚢


チア部:「子ども映画ワークショップ」に参加する子どもたちは、地元の方が多いですか?

河本さん:そうですね…インターネットで情報を出しているので、全国からの募集も実はあるんですよね。ただ、定員の枠が小さいということもあったり、できれば地元の子たちに参加してもらいたいなという思いで開催しているので、基本的には地元の子どもたちを参加者としていつもやっています。

オープンして毎年いろんなワークショップをやっていて、監督さんと尾道で短編映画を撮るというワークショップをやったり、またオープンした当初は単純に映写室を子どもたちが見学するワークショップだったりとか、映画館の館内を探検してみるというワークショップだったりとか。そういった小さなものから大きなものまでいろいろやってきたんですが、映画館が発信してワークショップをするというのは珍しいと言われているんですがやはり地域で、尾道という地方で映画館をやるっていうことは、地域の映画文化を育てていくっていう場所であったり、そういった一つの発信拠点にならないといけないなという風に常々感じているので、そういった意味でも、地域の子どもたちにいかに映画を楽しんでもらえるか、映画館っていう場所がどういう場所なのかとか、そういったことを知ってもらうための活動を続けるのも、地方の尾道という場所の映画館がやっていく役目なのかなと思って続けています。


チア部:長年続けてこられた中で、ワークショップの開催がシネマ尾道に新しい風をもたらしていると感じることはありますか?

河本さん:そうですね…ワークショップに参加した子たちが直接的に映画業界に興味を持つとか、そういうことは無いんですけど、何かのきっかけになっているなというのは感じますね。制作ワークショップに参加した子たちが、今まで全く興味がなかったけど、女優になりたいと言い始めて、お父さんお母さんがびっくりしていたりとか。実際にそっちの方に目指しているというわけではないけど、やっぱり夢が広がる一つのきっかけにワークショップがなっているなと。また、尾道市と一緒にワークショップをすることが最近増えていて、市が「映画の町」っていう町に推進していきたいっていうところの助けにもなっているなと感じたり。

ワークショップに参加してくれる監督さんとか、講師になる方がものすごく普段の映画製作とは違う勉強とか学びになっているという話をされるんですよ。そういったところもまた監督さんたちの次の映画製作の何かの糧になっているんじゃないかと思うので、いろんな形でいろんな影響を与えているのかなという風に思っています。


子ども映画ワークショップに参加した子どもたちの制作物
が館内に飾られています📝


チア部:2016年ごろまで高校生を対象としたワークショップ(ポスター・チラシ作り、映画人との対談)が行われていましたが、今後中高生向けのワークショップを行う予定はありますか?

河本さん:今のところ予定はないですが、やりたいと思っています。過去なぜやっていたかと言うと、年に1回中学生が学校の授業の一環でインターンシップに来ていて、それに合わせてワークショップをやっていたんですよ。だから中学生のワークショップは毎年やっていたんですが、高校生も…うちボランティアスタッフさんを起用しているんですけど、高校生の子がこの頃の代までボランティアスタッフの人員としてずっと誰かがいたんですね。そういうのもあってワークショップがやりやすかったところもあるんですが、そういった高校生たちも卒業したので、ちょっとそれが今途絶えているんですが、今後もやってみたいなと思うし、小学生とは全く違って、同じ『東京物語』とかを見ても大人と同じ感性で見ているので、一緒にやっていてそういったところもすごく勉強になるし…なので、中学生・高校生のワークショップも今後また続けていけたらなという風に思っています。


チア部:コロナ禍でやむを得ず休館されていた時に、配信で映画をみる人が増えたと言われていますが、シネマ尾道では「小さい画面では満足できない」「映画館で見るのを楽しみにしていた」といった声があったとの記事を拝見しました。映画館、シネマ尾道ならではの映画体験について、河本さんはどのようにお考えですか?

河本さん:映画館で見ることと小さな画面で映画を見ることと何が違うかと言うと、誰かと一緒に映画を見る体験が出来るかどうかだと思うんですね。小さな画面や配信でも、映画を見ることは出来て、感動もするし内容も知ることが出来るんですけど、大きな画面で映すと「こんな小さな表情をしていたんだ」とか、見えていないところが実はすごくあって、ヒヤッとするんですね、大きな画面で同じ映画を見た時に。これって作っている人たちの表現したいことの100%を小さな画面では私たちは見ずに、映画を見た気になっているんだなと思って。言ってみたら映画を7割ぐらいしか見ていない、見た気になっているんですね。

それはすごく、作り手の人たちにとってかわいそうなことをしているなと思っていて、全く違うんですね、本当に。だから小さな画面でも内容を知ることは出来るし、情報を得ることは出来るんですけど、表現っていうところまで100%、私たちは受け取ることは不可能なので、そういったところが映画館で見ることとサブスクで小さな画面、パソコンで見ることと情報量が全く違うというのが一つあります。それと、誰かと映画を見るという「体験」が出来るか出来ないかという違いがあります。

今、音に関してはイヤホンとかの音がすごく良くなってるので、それはもう時代と共に追い越されている部分ではあるかなと思うんですが、やっぱり情報量が違うというのと、「体験」出来るか出来ないかっていうところの違いが大きくあるんじゃないかと思います。

そういった意味でも、小さな画面で見ることもサブスクの配信で見ることも出来るけれども、大きな映画館の画面で見る方が作り手にとっても良いし、見る人にとっても良いし、もちろん映画館をやってる人たちにとっても良いので、全ての人たちにとって良いことづくしだし、望みが叶えられているなという風に思うんですね。

また、映画館の面白いところが、時間的な制約を映画館の方からしているという。自分が映画に合わせてわざわざ見にいくというのと、自分が好きな時に見るって全然違うと思うので。集中力も違うし、その時にしか見られないっていう緊張感の中で、わざわざ時間を作って、それに合わせて電車に乗って来るっていう行為って、それはサブスクとか配信とは真逆の行為だと思うんですね。そういった行為ができるかどうかっていう。サブスクで見るのが悪いのではなくて、制約がある中で映画を見ることが出来ないのが、配信なのかなという風に思います。

なので、トータルで考えても、自由に自分の好きな時間に映画を見るっていうのはそれ自体は時代と共に…私も昨日の夜まさにサブスクで映画を見ていたんですけど、そういった昔の映画を今すぐ簡単に見られるのってすごく良いと思うんですね。映画館でも昔の映画ってなかなかかからないと思うので、そういったところはすごく便利だなと思うし、大いにそういったテクノロジーを活用すべきだなと私はすごく思っているんですが、やっぱり映画館で見るのとは圧倒的に情報量が違うし、制約の中で見るっていう、それ自体が豊かで面白いと思うんですね。わざわざ映画に合わせて自分が行動するってとても豊かな行動だと私は思うので、映画館で映画を見るというのは人間にとってすごく幸せな体験なんじゃないかと思うし、映画にとってもすごく幸せなことなんじゃないかと思うし…もちろん作ってる人たちにとっても幸せなことなんじゃないかと思って…良いことづくしだと思うので(笑)。何か欠けるとやっぱり映画館で映画を見るっていうことが良さが損なわれてしまうので、総合的に見ても映画館っていう場所で映画を見るっていうことがやっぱり全ての人にとって幸福なんじゃないかという風に思います。

チア部:今お話を聞いて、私もすごくハッとしました…。今日大阪から出てきたのですが、確かに、映画を見るために時間を合わせて電車に乗って…映画を見た後には何を食べようとか、その1日を映画を中心に自然と考えていて…。

河本さん:映画合わせでね(笑)

チア部:はい(笑)私は映画館が好きなので、映画館に見に行くことが多くて当たり前になっていました。だから今、配信で見るのとは違うことをしているんだと気がつきました。

河本さん:それって不便だと思う人もいるかもしれないけど、私はすごいそれが幸せで、豊かな行動なんじゃないかと思いますね。それはなかなか出来ることじゃないので…なんかそういった行動をする、人間の行動パターンもありなんじゃないかなという風に思います。


チア部:では最後の質問になるのですが、2020年8月に受けられていた取材ではこれからについて、「新しい映画上映、映画鑑賞のスタイルを模索していきたい」「映画館という枠を超えて地域とコラボレーションをしながらやっていけたら」とおっしゃっていましたが、この2年間で新たに始められたこと、始めようと模索していることなどあれば教えていただきたいです。

河本さん:そうですね…2020年の8月ってまさに大変だったコロナの時期だと思うんですけど、やはりこう映画館で映画を見ることの形が変わらないといけなくなった時期だと思うんですね。実際にミニシアター、映画館はシネコンと何が違うか。(ミニシアターの)良さをお客さんが感じている部分は、作り手の映画関係者の人が来て、すごく近い距離で交流ができるということ。それはシネコンでは全く無い、ミニシアターの出来ることなんですね。

それがコロナで、感染対策と称して、東京から作り手さんも出られなくなったり、地方の映画館に舞台挨拶に回れなくなった時期なので、必然的にリモートでトークショーをするという、映画ファンにとってはちょっとがっかり、残念な感じだったころだと思うので…ただそれをやった時に、最初にやった時は「ああこれは交流ができなくて、本当にミニシアター自体の存在意義が薄れていくんじゃないかな」という風に思ったし、リモートトークは大変だなとか思ったりするんですが、やっぱりこういう形もありかなという風に思ったんですね。というのも、忙しい俳優さんとか監督さんとかが、東京にいてもその時間だけ作ればいいから、トークショーがすごくやりやすくなったんですね。それはすごく忙しい監督さんたちにとってはやりやすくなったんじゃないかなと思うし、「リモートでもいいからこういう話を聞きたい」という方も少なからずいるので、そういったところはすごく良かったんじゃないかなと思いました。

これからもマスクをしたり、コロナの状況は何年も続いていくと思うので、そういったこともやりつつ、最近だとリアルのトークショーも出来るようになったので、リアルもやりつつというので、二つ同時進行しながらハイブリッドでやっていくというのがコロナ以降の新しい映画館の形なのかなという風に思いました。

これからやっていきたいことだったり、新しい取り組みとしては、コロナ以降にグッズのネット販売を始めました。それまでは尾道に来て、映画館でグッズを買って欲しいから、あえてネット販売していなかったところもあるんですけど、尾道の人気が高まりすぎて、うちのグッズが映画館のグッズじゃなくて、尾道のお土産として一般的に捉えられているなというのに気づき始めて…「あ、これはもう商売にするしかない」と思って、ネット販売を始めました。というのと、資金的に2020年の5月くらいに休業したので、映画館としてはちょっと資金面で大変だったので、それで収益を上げなければいけないというその二つの面でネット販売を始めました。今も時々売り上げがあって、コロナで思いついたことだけれど、尾道という町がコロナとは関係なく変化、進化してるところにこの映画館が合わせていったところの結果なので、時代やニーズに合わせた映画館になっていかないといけないんじゃないかなという風に考えたことでもあります。

チア部:配信という選択もあるけど、なぜ映画館で映画を見たくなるんだろうという疑問を常に持っていたので、その一部が今日お話を聞いてわかった気がします!

河本さん:そうですよね、都会の方の映画館の役割と、尾道みたいな小さな町の映画館の役割って全然違うんですよね。都会の方ってとにかく最新の「映画」を宣伝する、映画を見る人にたくさん来てもらうというのが、映画業界にとって役割なんですよね。東京から公開されて、まだまだ映画が新鮮なのでそういった役割があるんですけど、地方になると東京で公開されて2ヶ月遅れとか、なんだったら地方によっては3ヶ月以上遅れて上映なので、映画の鮮度がすごい落ちて、東京ではもう次の映画の話題に、いろんな映画が次々に公開されているんですよね。

そういった意味では、映画というものが2、3ヶ月したら、大体地方の人たちもネットとかの評判を見られる時代になっているんですよね。だからわざわざ映画館が映画を発信しなくても、もうお客さんの方が誰が出てるとか、どこで撮られたとか詳しく知っているという(笑)なので地方の映画館はそこまで「映画」の宣伝をする必要性が今なくなっているなっていうのを感じていて。

じゃあ地方の映画館が何をやっているかと言うと、東京とかは割と東京全域や日本全体の映画っていう役割なんですけど、やっぱり地域でいかに映画を見てもらうかっていうのを各映画館がやっていかないといけないなと思っていて。そういったサブスクの時代になっているっていうのもあるし、やっぱり映画っていうものがまちづくりだったり、その町にとって活性化する一つのツールになっていったりとか、そういったところは東京や都市部と違っていて…まちづくりの一環で映画を誘致する地方とかもあったりするので、映画っていう捉え方が全然違うんですよね。

そういったことも踏まえながら、映画館っていう場所をいかに小さな町の収益があまりない中でやっていかないといけないっていうことを考えないといけないので、頭のチャンネルが都会の映画館と地方の映画館は全然違うなと思います。単純に映画を見てもらうことだけではなくて、まちづくりとか、町についても色々と考えながら、変化も見ながら、柔軟にやっていかないといけないので、実は結構忙しいんですよね(笑)地方の映画館の支配人さんたちは、人数は少なくやってるけど、みなさん忙しそうです。東京は東京で、「映画」をいち早くやっぱり日本全体に宣伝しないといけないという役割があるので、それはそれで忙しいですよね(笑)各地方で支配人さんの仕事というか、目指すところ、目的みたいなものが、映画館の役割みたいなものが全然違うという風に感じています。

館内にはシネマ尾道に来られた監督や俳優さんなどのサインがたくさん飾られています。
今回お話を伺った、シネマ尾道支配人の河本清順さん。


ここから先は、今回私がシネマ尾道で体験した映画体験を綴っています📝


作品:『犬も食わねどチャーリーは笑う』(2022)

田村裕次郎(香取慎吾)と田村日和(岸井ゆきの)の夫婦の関係性について、ブラックコメディに描かれた作品です。〈旦那デスノート〉に綴られる妻たちの旦那への鬱憤は笑いあり共感あり……夫婦のかたちが問われている作品です。(語彙力に限界があるので、詳しいあらすじはぜひ公式サイトをご覧ください…)

さて、この作品をシネマ尾道で鑑賞して感動したのが、シネマ尾道のスクリーン空間。視界に入ってくる光が、映像の光だけで、本当に真っ暗なんです。
シネマ尾道の座席は両端に通路があるので、真ん中あたりの座席で見ると足元灯が近くに無く、映画に集中できます。
また、自由席なのも個人的には嬉しい…!インタビューではシステムの導入の必要性がないためとお話くださりましたが、自由席だと前に座っている方の真後ろを避けることができて、前の方の頭が気にならないので、低座高の私には非常に嬉しかったです。
椅子も座り心地が良く、周りを気にせず映画に没頭していたので、映画のシーンを見て思わずクスッと笑ってしまいました。最高の映画体験でした。

また、これは上映前なのですが、支配人の河本さんが直接、上映前のアナウンスをしてくださりました。なかなか支配人さんが上映前に劇場でご挨拶してくださる機会には出会わなかったので、とても新鮮でした。
これも「人の手」をかけたシネマ尾道ならではの魅力だと感じました!

【映画を見た後は…】

尾道の景色を楽しむも良し、美味しいものを食べるも良し。もちろん両方楽しんだのですが、私は最後に「おのみち映画資料館」へ行ってきました!
皆さまもぜひ、尾道でいろいろな楽しみ方を見つけてください🌟

おのみち映画資料館の入口。映写機は実際に映画館で使われていたもので、とても風情があります。


シネマ尾道 公式ホームページはこちら🔽


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