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惠愛由さんインタビュー🪴「ここにいるよって私から手を振る」

こんにちは。映画チア部大阪支部卒業生の(チコ)です。
昨年末偶然出会ってしまったバンドBROTHER SUN SISTER MOON。大衝撃!一目惚れ!
色々調べているとメンバーの惠愛由さんは音楽だけでなく映画や文学も好きな模様。なんとあたしたちが昨年上映企画をした映画『オール・ディス・パニック』までご覧になっている…!音楽以外のことも聞いてみたい!ということで今回インタビューさせていただきました!
(このインタビューの数日後、ヌーヴォでの自主配給企画『ハム・オン・ライ』も観に来てくださいました😭嬉しい…)

いつ頃から音楽が好きになりましたか?

小学生の頃かなあ。 お母さんが音楽好き、という環境だったから自然に音楽に触れていたと思う。 能動的に聴き出したのは小学校2~3年生の時、今バンドを一緒にやっている2つ上の兄が母が借りてきてくれたビートルズにハマっていたのを一緒に聴き出した頃から。TSUTAYA でとにかくディグしていました。

TSUTAYA、今どんどん減ってきていますよね。

だよね。大学の近くにあったTSUTAYAもなくなっちゃった。でもやっぱりモノとして持つってことの喜びとか、TSUTAYAで棚別に探す楽しみ、そういうのがなくなるのはさびしいよね。レコード屋に行ってもサブスクで先に聴いて買うかどうかを決めちゃったり。 自分でそれやりながらさびしいことしてるな〜って思ったりします。

これは他のチア部部員からの質問なんですけど...先ほどお話に出た2つ上のお兄さんと喧嘩したりはしますか?バンドをやっていて嫌になることはないんですか?

(爆笑)
嫌になること、もちろんある!それは他人とバンドをしていたとしても必ずあることだし、みんなきっといろんな人間関係と対峙しながら活動していると思う。 だけどやっぱり兄妹でバンドをやる、というのはあんまりないよね。他の人だったら感じないストレスもあるだろうし、逆に他の人に抱くことのない安心感や信頼関係もあるから一長一短。 小さい喧嘩もあるけど、お互いそこはコントロールしようとまだまだ訓練中かなあ。ただ基本的にはすごく仲は良いんじゃないかと思ってます。

最近よく聴いている音楽はありますか?

友だちに教えてもらってよく聴いているのがNatalie Bergmanの『Keep Those Teardrops from Falling』というEP。ゴスペルっぽい要素がありながらも絶妙に現代的なの。あとはSupersport!とか。

好きな映画を教えてください。

いろいろ好きだけど、人生で1番大事!みたいに思っている映画が意外なことにラブコメだよ。 メグ・ライアンが好きなこともあって『ユー・ガット・メール』が大好き。母親が好きな映画で、小さい頃から家でしょっちゅう流れていたんだよね。高校生くらいのときにあらためて見返してみたらなぜかとても響いてしまって。たぶん50回以上は見ています(笑)。途中までは回数数えてたの。そのときで既に44回。

えー!すごい!

疲れたときにいつも見ているんです。メグ・ライアンの役に自分を重ねちゃう部分がある かも。トム・ハンクスも好きだからその2人の組み合わせだけでも最高!難しいことを排して考えたら1番好きな映画です。でも、いろいろ他にもあるよ。『パリ、テキサス』も人生の中で大事だと思える映画だし...。映画に限らず、1番好きなの何?ってよく聞かれるけど、その時々で変わるよね。

映画館にはよく行きますか?

見に行きたいものがあれば行きますが、コロナの影響でだいぶ減ってしまって...。『フレンチ・ディスパッチ』は行った!だけど『ユンヒへ』は逃しちゃった...。そういえば 『オール・ディス・パニック』はみなみ会館で見たの。

あたしも実はそのときに初めて見ました!

そうなんだ!あの映画を見た後、どこかでDVDとか手に入らないかなあと思って探しま くったけどなかったなあ...。

アメリカでも出てないみたいです。

出たら是非と思ってるんですけど。

バンドの結成はコロナ前だと思うのですが、コロナ禍によって制作のモチベーションは変わりましたか?

私たちのバンドはちょっと特殊なところがあって、17年夏結成だけど20年の春まで何もリリースせずにいて。コロナ禍に入ってからバンドが実際に動き出した、という感じなんです。コロナ禍に突入してからのほうがすごく精力的に色んなことをするようになったので、あまりコロナをマイナスには捉えていません。イベント等のチャンスが来た時にそれが急になくなってしまう、みたいなことが沢山あったし、そういうのでいちいち「なんてバッドタイミングなんだ!」と落ち込んでしまうことは多かったけど...。2020年のタイミングでバンドが波に乗ったというタイミングを、なんだかんだベストだと思ってます。

チア部もコロナ禍に入ってからどうすればミニシアターを盛り上げられるかな?と考えるようになったので同じような感じでした。

うんうん!精力的にやっていけるようになった?

ちょっとずつではありましたがそうですね。
では、音楽のこと以外では何をしていることが多いでしょうか?

空いている時間は映画かドラマを見ていることが多いです。常に何か見ている気がする。 もしくは読書。

最近良いと思ったドラマはありましたか?

いろいろあったよ!私は好きな作品を何回も見るタイプだから最近は繰り返し同じものを見ていることが多いです。新しく見てよかった作品はNetflixの『メイドの手帖』かな。『セックス・エデュケーション』が刺さる人には刺さると思う。もう少しヘビーだけど、 繊細なドラマで「すごい!」と思ったなあ。もうひとつ、U-NEXTの『ベティ/スケート・ キッチン』も。一気に見ちゃった!韓国ドラマの『その年、私たちは』もヒットだったな〜。『ユーフォリア/EUPHORIA』もおすすめ。

本では何がお好きでしょうか?併せて大学生や20代におすすめできる作品があれば教えてほしいです。

私が大学3年生か4年生のときに何かを見出してた作品はサリンジャーの『フラニーとズーイ』。大学生くらいのときに読むと1番ハマるんじゃないかな?と勝手に思っています。カート・ヴォネガットもおすすめだよ。私が最初に読んだのは『タイタンの妖女』という長編です。あとはミランダ・ジュライとか。大学院ではジェンダー論を交えた文学批評をしていたんだけど、修士論文でジュライの作品についていろいろ考えたよ。

10代、大学生だった頃に何か1つのことに対して深く悩んでしまったことはありましたか?

高校生から大学生に移り変わるときは、自分が思う自分像、自分から見た自分というもの と、他者から眼差される自分というもののギャップを埋めたかったんです。ギャップがあるとそれに対してもやもやしていたし、他者に対して私のことを分かってほしい、「私は 本当はこうじゃないんだよ」っていう葛藤がありました。自分の思っている自分像を他人に見てほしかった。段々とそのギャップを擦り合わせる必要はないとわかるようになって今はそういう葛藤はなくなったと思う。少なくとも以前よりも気にしなくなったよ。

それは何かきっかけがあって良くなったのでしょうか?

なんだろう...。沢山の人と出会う中で、ものごとに対する見方や焦点の当て方は一人一人 全然違うんだ!ということを実感していった、というのがあるかも。自分の多面性を昔は受け入れられなかったけど、他者から見た「予想もしない自分像」をべつにマイナスに捉える必要はないんだ!と思えるようになったというか。今はそういうのも、ふーん、おもしろい!と思ってる。

そんなときに支えになった音楽や映画といった作品はありますか?

なんだろう〜(笑)。あ!それこそ、『ユー・ガット・メール』のね、メグ・ライアンの役が最終的にはトム・ハンクスと結ばれるけど、最初は別のボーイフレンドがいるでしょ?彼女はトム・ハンクスに見せる顔とボーイフレンドに見せる顔が全然違う。彼女も自分の多面性を同時に表現してるというか、ちょっと持て余してるんだなって今思ったよ (笑)。でも別にどちらの顔も彼女の顔であって、嘘をついているわけじゃないでしょ?あ、『フランシス・ハ』にも何か安らぎを感じてたかも。自分にとって大事な映画!

グレタ!

そう!グレタ・ガーウィグ大好きです。『フランシス・ハ』にも好きな台詞があって。 “your person in this life” という言葉をフランシスが使うんだけど、それは「人生における運命の人」みたいな意味で、別にジェンダーとかロマンティックな関係かどうかっていうのは関係なくて。どういう相手であってもいいんだよな、っていう。

これからバンドで挑戦してみたいことはありますか?

海外に行きたい!コロナのせいで足止めくらってばっかりだから。私たちは元々国内でどう活動するかっていうのはあまり考えていなかったんだよね。海外のことを考えていたけれど、簡単に行けなくなってしまってアプローチが難しくなった。フラストレーションが ずっとあったから、ライブや音源制作が海外でできたら嬉しいな。

愛由さんは音楽活動だけでなく、ポッドキャストや執筆活動もされていますが、同じように何かクリエイティブなことをしたいと思っている学生にアドバイスを頂けると嬉しいです。

そんなそんな、って感じですが、やりたいことを口に出すことは本っっっ当に大事!「こういうことが好きなんだ」とか「こんなことを考えてる」とか。人とのつながりはまず自分がリーチアウトしないと生まれないっていうのはずっと感じていて。高校生くらいのと きから母親に言われていたというのもあるんだけど。自分が思うよりほんのちょっと多めに頑張ってみる、ほんのちょっと無理して踏み出すってこと。 例えば文章を書きたい、だったら自分はこんな文章を書きます、というのを見せていかないとだよね。あとは、同じような趣味の人とつながりたい、あるいは政治に対して思うことを分かち合いたい、とかそういうときも、まずは自分が何を考えているのかを誰かが見えるところに置かないといけない。ここにいるよって私から手を振る、それを胸に刻んでやっていたら意外と沢山の人が見てくれる。これだけは「ガチ!」って思うから、やりたいことを見せていこう、口に出していこう、っていうのが今の私の等身大のアドバイス!私もそれを頑張ってるよ。


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