夏休みに観た映画
実は、雑誌編集者という家業は盛夏に夏休みをとりづらいです。定期刊行物を担当していると必ず入稿と校了があるし、定期刊行物でないものは読書の秋に刊行される場合が多く、秋に発行するには夏場が仕事の佳境になるのです。しかしながら、今年は数日、休みがとれて、そのほとんどを旅行に費やしたので、シアター通いはできず。サブスクで何本か、邦画を観ました。
夜明けのすべて
松村北斗と上白石萌音というと、朝ドラ「カムカムエブリバディ」の稔さんを思い出して悲しくなってしまうのですが、わたしなんかの数万倍、映画に詳しい男子が「上半期でよかった映画」として勧めてくれていたので鑑賞。
多様性とかダイバーシティとかよく言われますが、登場人物のキャラクターが脇役を含めて皆さんそんな設定で、時代を感じました(笑)。
主人公は北斗くん演じる山添さんと捉えたほうが分析はしやすいかな。
山添さんは、二番目の人物・藤沢さんに職場で出会って、最初のうちは苦手でしかたないけど、席が隣どうしで毎日接するうちに認め合っていく。会社の同僚とは不思議なもので、同僚であるうちは否が応でも毎日、顔を合わせねばならなくても、退職したら基本的には付き合いは終わるんですよね……。最初苦手だった人のほうが最後、親しくなってるのもよくある話。この二人も、そんな関係です。藤沢さんは差し入れやプレゼントをするのが好きで、職場にたいやきを差し入れたりするのですが、わたしもそのタイプなので、勝手に親近感を抱きました。ちなみに誕生日プレゼントもあげてばかりで、おかえしはされないタイプです。
桐島、部活やめるってよ
2012年8月公開で、当時、山口淳さん(「ペン」や「GQ」で活躍したライター)が「号泣した」とオススメしてくれた作品。12年前だけあって、いまや芸能界を背負う俳優さんたちの若々しき姿が目白押しに登場します。皆さん、お若い。高校きってのモテ役を演じる東出昌大の校舎裏キスシーンには失笑してしまいました。青春群像劇は、どの登場人物に感情移入するかで感想が違ってくるとよくいわれますが、わたしはこの中に出てくる誰でもないなあ。ミス高校ではないし、部活女子でもないし、恋愛中毒でもないし、映画好きと思われた橋本愛は実はひどい女だし。強いていえば、いかなるときも監督を持ち上げねばならない映画部員の前野朋哉かなあ。
山口淳さんは、この翌年に突然、他界されました。淳さんも、この映画の登場人物にはいないタイプかな。もしかしたら、桐島かもしれません。生きていたら、「夜明けのすべて」はとても好きだったろうと思います。
見出し画像は、いまの会社の近所にある「わかば」のたいやき。常に行列が並んでいますが、実は電話予約可能なことはあまり知られていません。予約でも焼きたてを包んでくれます。