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タイムマシンに乗って

映画「夏への扉 キミのいる未来へ」

いいタイトルです。夏への扉。
ロバート・ハイラインのSF小説と同じタイトルだなあと思いつつ見始めたら、猫の名前はピートだし、ピートはいつも夏への扉を探しているし、飼い主は冷凍冬眠機に入れられて未来へ送られるし、未来からタイムマシンで戻ってくるし、どこまでもよく似ている。鑑賞後に確認したら、そのまま、ハイラインの小説の映像化でした。意外にも、この作品が初めての実写化。

時は1995年。
主人公のロボット研究者、高倉宗一郎は、コールドスリープさせられて、30年後の2025年に目を覚まします。
宗一郎には、幼い頃からいつもそばに璃子という少女がいました。でも、2025年の世界に、璃子はいない。そこで、宗一郎は「過去の時間に置いてきてしまった璃子を助ける」ことを目的に、行動を開始します。
璃子にもう一度会いたい。そのために数々の困難に立ち向かい、開発間際のタイムマシンに乗って元の時間に戻り、目的達成のために奮闘します。時空移動を織り込みながらも、根本的にはかなりピュアな「ラブストーリー」です。
宗一郎を山﨑賢人さん、璃子を 清原果耶さんと、話題の人気俳優が演じているし、おうちでカップルが「Netflix and chill」(もはや死語?)するのにぴったりな作品と思いました。事実、Netflixで高い視聴数を得ているようです。
だって、未来と過去にいき分かれた人が、タイムマシン(しかも人を乗せて動かしたことない危険な初動の機械)に乗って、探しにきてくれるなんて、たまらなくロマンティックではありませんか。

冷凍保存中

宗一郎というキャラクターは、かぎりなくピュアでなにごとも疑わない化学者のイメージなのですが、ところどころに彼に似つかわしくない(例えば、社長秘書に「ずいぶん手慣れてるんですね」と嫌味を言ったりする)セリフが突然あるのだけがしっくりきませんでした。主人公のすべてがストーリーそのものなので正確に積み重ねていかなくてはなりませんが、一方でストーリーは進行していかねばならず、セリフ作成はいかに繊細で難しい作業か、身にしみます。山﨑賢人さんが演じた日本版「グッドドクター」でのピュアなキャラクター設定が完ぺきだったせいかもしれません。

登場人物は1995年と2025年を行き来するのですが、1995年の時点でコールドスリープ機を使って客を未来へ送るビジネスがすでに存在し、2025年にはプラズマ蓄電池搭載のアンドロイドが社会の一員として活動していました。
プラズマ蓄電池はなんでも充電しなくてよくなる半永久バッテリー。タクシーは無人の自動運転です。
2025年まであと3年。こんなテクノロジーが流通していたらと想像すると、期待以上に恐怖が上回ります。

見出し画像は、夏の間、我が家の冷凍庫にいつも備える常備アイス。
期間限定のレモン味パピコが売り出されると、それは夏への扉です。






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