見出し画像

【#92】長野県議会議員選挙 塩尻市選挙区レポート(2023 4.9)

 この選挙、全国的には長野県議選で最も注目された選挙だったかもしれません。 “あの事件”“あの議員” が選挙に不出馬となったコトまでは知っている方も多いかと思いますが、それを受けて大慌てで自民党が選んだ候補が別の混乱を生んでしまうという、カオスを重ねに重ねたような選挙がどのような結末を迎えたか、レポートして参ります。

 なお、この記事を含めた「長野県議選レポート」12本を1本あたり県議選の基本価格¥200で購入できるマガジンを販売していますので、是非ご購入を検討いただきたく存じます。



◆概要

  • 塩尻市のみでひとつの選挙区となっている

  • 有権者数:54,293人

  • 市長:百瀬敬(1期) 5期務めた現職市長の後継候補として立候補し昨年の市長選で当選。 偏りの少ない、バランス型の市政運営を継続している

  • 衆議院は長野4区に属し、後藤茂之(自民 7期)氏を選出


◆立候補者(定数2/4名)

柴田 憲子 (68) 共産  新 団体職員
続木 幹夫 (65) 無所属 現 3期目を目指す(改み)
社民推薦
丸山 寿子 (64) 無所属 新 前市議
 立憲推薦
都筑 文男 (69) 自民  新 歯科医師
公明推薦

※末尾に所属会派を記入
(自):自民党県議団
(共):共産党県議団
(改み):改革・創造みらい(立憲社民系)
(県公):県民クラブ・公明(公明系)

 現職1名、新人3名が立候補。 現職は立憲社民系会派の1名のみで残りは新人です。 ・・・もう1名の現職は、もうお分かりですよね。

◆前回(2019年)の選挙結果

[当]丸山 大輔 (44) 自民  現 10,863票
[当]続木 幹夫 (61) 無所属 元   7,764票

 -------------------------------------
[落]備前 光正 (56)  共産  現   6,390票

投票率:46.09%

 前回改選前は自民と、共産。 前々回に共産候補が民主公認の続木候補に競り勝っていましたが、前回は無所属で出馬した続木候補が備前候補にリベンジを果たしました。 そして、トップ当選したのが、、、

 自民党現職の丸山大輔氏でした。 2021年に妻が殺害されてしまい、犯人が見つからないまま1年が過ぎ、インタビューに “遺影と共に” 答えており、県議選に3期目を目指して立候補を表明していましたが、

 なんと丸山議員本人が殺害容疑で逮捕されました。 事件発覚当時から丸山容疑者は犯行時刻に「議員会館にいた」と証言していましたが、防犯カメラにナンバープレートを不自然に折り曲げた、本人が運転する車が幹線を避けて自宅方面に向かう姿が撮影されており、アリバイは崩れ逮捕に至りました。

 その後、起訴され自民党から除名処分を受けるも議員辞職はせず、

 月813,000円報酬と約197万円の期末手当を貰い続け、任期満了で失職するまで「議員」の座に居座ったのでした。
 今回の選挙はこの前代未聞の大事件を受けて行われる選挙で、自民党も1月に何とか公認候補を用意し選挙に挑みましたが、よほど成り手がいなかったのでしょうか、「つづくふみお」さんという、現職の「つづきみきお」さんと大変よく似た名前の候補が出てきてしまったのです。

「つづ と つづ」「ふみ と みき

 ただでさえ大混乱の選挙に拍車をかける情勢となってしまったのでした。

 それでは、すったもんだの選挙模様を見ていきましょう。


◆柴田 憲子(しばた のりこ)候補

 柴田候補は松本市(旧四賀村)出身。 国立がんセンター勤務から国立松本病院看護婦長、塩尻共立病院総看護師長などを歴任した看護師として44年間医療現場の最前線にいた方。 今回共産党公認候補として初の選挙戦に挑みます。

 塩尻市における共産党候補の事務所といえばココ、「日本共産党塩尻市委員会」で御座います。 コチラで演説日程を伺いまして、日を改めて演説場所に向かいます。

 朝8時半、JR広丘駅に向かって演説する柴田候補。 駅の近くには長野県を代表する企業「セイコーエプソン」の事業所があり、そちらの従業員が出勤するタイミングを狙ったようです。

 看護師歴44年の長さと共産党の主張が組み合わさって「命と暮らしを守る」コトを何度も何度も訴えていましたが、左手を見て分かる通り、時折原稿(カンペ)を見ながらの喋りでした。

 飯田・下伊那郡選挙区の共産党候補ほど “原稿ガン見” ではありませんでしたが、要所要所で原稿に目を落としてしまう所作を見ると興ざめしてしまいます。 たかが5分程度の演説です、要点を覚えて喋るコトは出来ないモノでしょうか。
 ただでさえ共産党の候補は丁寧な話し方を心がけるあまり感情が言葉に乗っていないように感じる場合が多々あります。 だから尚更、原稿を持たずに話す程度のスキルは持ち合わせていただきたいものですが・・・

 支持者やスタッフが柴田候補と一緒に駅の向かいの歩道に立って手を振ったりしていましたが、先程書いたようにこの場所で演説するターゲットは駅から降りてくる人のハズ。 通勤するクルマの運転手に顔見せするためならイイのですが、この場所で演説するのなら駅出口か横断歩道辺りでビラを配るなどの運動が必要だったハズです。 どうもやり方が、チグハグでした。

(クリックやタップで拡大してご覧ください)

 選挙公報はコチラ。 公報でも国政の問題を多く取り上げがちな共産党候補において柴田候補は地域の問題を多く取り上げているように感じます。
 主張は間違っていないし「命と暮らしを守る」コトは政治の基本中の基本。 ただ、それを伝える「技術」が足りない共産党候補が多くて、勿体ない・・・ どうしても話し方が志位さんや小池さんに似てしまいがちな候補が多いですが、

 是非タムトモさんの演説を見て “言葉に感情を乗せる” 技術を身につけていただきたいものです。

 と、いう感じで、共産候補が他候補に比べて一枚劣るのは選挙期間中から明らかでした。 2019年までは民主党候補(続木氏)を上回る票を獲って議席を持っていたコトも有った共産党ですが、党勢は明らかに衰えていました。

 それでは残り3候補で2議席を争うであろう中で、各候補者がどう戦ったのか、そちらは有料部分で御紹介します。

 

ここから先は

4,767字 / 19画像
この記事のみ ¥ 300

もし宜しければサポートをいただけると大変嬉しいです! いただいたサポートは今後の取材費として使わせていただきます。