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【#93】長野県・小谷村長選挙レポート(2023 4.23)


「地獄の中でも、より “マシ” な地獄を選ぶのが、選挙」

 選挙を追いかけ続けるフリーランスライターの畠山理仁さんが常々述べられている言葉です。 しかし私は、この “マシ” というマイナス要素の強い言葉に違和感を持っていて、そんな言葉じゃ選挙に行く人は増えないし候補者や現状の政治について理解しようとしないだろうと思っています。
 だから私は、大意は畠山さんの言葉と同じなのですが、

「少しでも “希望” が見いだせる候補を見つけて投票しよう」

 と訴えてきたつもりですし、実際にその視点で選挙を取材し、より希望が見いだせる候補を自分なりに見つけてきたつもりです。

 が、この小谷村長選に、私の言葉は通用しなかった。
 そこで広がっていたのは畠山さんの言う「より “マシ” な地獄」を見つける選挙でした。 まだまだ修行が足りないのでしょうか・・・

 いや、そんなコトは無い! きっとこの選挙が特殊なんだ!! という強がりのキモチを保ちながら、なんとか書き進めていきます。
 一体、何が地獄なのか・・・ 頑張ってレポートしますので、どうか読んでいただきたく存じます。



◆概要

(小谷村役場)
  • 面積:267.91㎢(長野県 第13/77位)※面積の8割が森林

  • 人口:2,671人(長野県 第64位)※2023年4月28日現在

  • 人口密度:9.96人/㎢(長野県 第71位)※2023年4月28日現在

  • 平均年齢:53.35歳(長野県 第50位)※2020年現在

  • 衆議院は長野2区に属し、

    • 下条みつ(立憲 5期)氏を選出 務台俊介(自民 4期)氏が比例復活


◆立候補者

野崎 由紀子 (59) 無所属 新 会社経営・通訳
中村 義明  (61) 無所属 現 2期目を目指す
猪股 充拡  (55) 無所属 新 元村議

 小谷村のような小さな自治体において “2期目を目指す現職” というのは基本的に盤石で、対抗馬が1人立つか立たないかで無投票になるコトも珍しくありません。 そんな傾向の中、新人が2候補立つというのは “何かある” というのが私の見立て方です。 そして、それは今回も当たってしまいました・・・

◆前回(2019年)の選挙結果

[当]中村 義明 (57) 無所属 新 1,066票
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[落]荻沢 隆  (65)  無所属 新    743票
[落]西沢 盛人 (61)  無所属 新   96票

投票率:79.57%

 前回は2期務めた現職が退任し新人3名の争いになり、村の郵便局長だった中村候補が初当選を果たしました。 今回も候補が3名の選挙、どのような結果になるでしょうか。


◆POINT

①雅子皇后の元同僚が村長選に立候補!

 そもそもこの選挙を見に行こうと決めたキッカケは、今回立候補する野崎候補が元外務官僚で同期に雅子皇后がいらっしゃるという記事が週刊新潮に載っていると知ったコトでした。

 見ての通り北西の端に位置し北隣は新潟県糸魚川市。 統一地方選の中、近隣自治体で選挙は行われておらず、効率を考えたら参政党が候補を立てた(当選)軽井沢町議選を中心に南佐久郡を取材した方が取材数も稼げるのですが、全国誌に載った知名度があれば記事を書けば読んでくれるかもしれないという考えからでした。
 当然ながら誌面からこの選挙を知ると、皇后というフィルターを通して見てしまうので、さぞ高貴な方が出馬されたのだろうな、見てみたいな、という軽いキモチで行くコトにしたのです。

 ところが、小谷村も選挙公報を出さない自治体でして、手元に有る情報が「野崎候補は皇后の元同僚」だけしか無かったため、図書館で新聞等を見て調べるコトにしました。 そのため数時間そこに留まるので取材に時間がかかってしまったのですが、やはり地方紙はネットより細かい情報が見つかるものです。
 調べてみると、この選挙、皇族のニオイは一切無し! 恐ろしくドロドロした人間模様が絡み合っており、野崎候補も現職も、そして第三の候補も、みなさま何かしらの(しかも結構デカい) 欠点を持っていたのです。
 果たして現地で見たものとは・・・ 有料部分で御確認いただきたいと思います。


②現職と野崎候補の、浅からぬ因縁

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