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私と、NIKEと、日本と、世界と、


 NIKEというと、小学校時代にバスケをしてた私にとっては憧れのブランドでした。 所属していたミニバスケットチームは方針として、いわゆるNIKEが出してるようなバスケットシューズ(バッシュ)の使用を禁止していて、

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 コンバースのハイカットスニーカーを履くコトがルールでした。(我が家は貧乏だったのでコンバースすら買えず同デザインの安物を履いてましたが・・・) ただ、貰ったりして “たまたま手に入った” 場合はNIKEとかのバッシュの使用が認められていて、チームメイトが「親戚から貰った」とかでNIKEのバッシュを履いていたのが羨ましくて・・・ 羨ましすぎて家に何故か一足有ったNIKEのテニスシューズを無理矢理履いて試合に出たりしました。 おかげで床が滑って止まれなくなるし、ローカットデザインだったから足を捻って痛めたりと散々で、監督に怒られたのはイイ想い出です。

 そんなNIKEの企業CMが、世間を騒がせています。

 「You Can't Stop Us」をテーマに人種問題とスポーツを絡めたCMですが、これに右寄り、ネトウヨの皆様が反発し、それに対するカウンターも出てきてTwitter等で大騒ぎになっています。 この件について想うコトを書き遺しておきます。

◆シンプルに捉えるべきコト

 まず大前提として捉えなければイケないのが、このCMが「NIKE」というアメリカを中心に全世界に展開している企業のCMで有り、政府広報やACジャパンのような公的なCMでは無いというコト。

 ACジャパンのCMが怖いから抗議する、といったものとは別だというコトです。 勿論、企業CMの内容が不適切だと抗議するコト全てを否定するワケでは有りません。 が、NIKEはグローバル企業で有り、日本のためだけに企業活動しているワケでは有りません。 NIKEにとって日本は世界の中の、いちマーケットにすぎません。 世界に対してNIKEという企業の意識姿勢アピールしたに過ぎないのです。

 そもそもNIKEという企業が、こういうCMを作ったのは今に始まったコトじゃないでしょ? このCMの中にテニスの大坂なおみ選手が出てくるようにNIKEは人種問題性差別問題を積極的に取り上げてマイノリティーを支援する企業です。

 昨年の時点で、こういったCMを作っているワケです。 この時にも騒ぎにはなりましたが、今回の騒動に対して、このCMからの流れを含めて批判する人はTwitterを見る限り、ほぼゼロです。 そして、

 今回のCMが、7月に出たこのCMの日本版だと理解している人も、ほぼゼロ。 ネトウヨの皆様はその瞬間、瞬間で怒ってばっかりでそれが線として繋がらない。 ただ目の前の事案にポジショントークするばかりです。 
 そして今回、ネトウヨを拗らせすぎて己のアイデンティティを見失ってしまった方がいます。

◆自分自身を見失った、パフォーマー

 皆様は、この方を知っていますか?

 この方は「ゴンゾー」さんという日本人のパフォーマーです。 タンバリンを自由自在に操る芸で日本を飛び出し、2015年にオーディション番組「Got Talent」のアジア版に出演。 2019年には本家イギリス版(スーザン・ボイルを発掘したコトで知られる)の「Got Talent」に出演を果たして海外で名が知れた方です。
 が、この方、何故か、ネトウヨなのですよ。 で、今回の件で何を言っているかというと・・・

 ハイ、非常に残念なコトを仰っておられます。 確かに思想は自由です。 己の思想を語るのはアリだし、違う意見に対して批判をするのは(今、私がこの記事を書いているように)アリでしょう。 ただ彼が残念なのは、思想を主張したいがために己の芸風、そして己の存在意義を見失っているコトです。
 彼が海外でウケた理由。 それは、日本人の、変な格好をした、デブが、タンバリンを自由自在に叩くというミスマッチっぷり、ですよね? 彼自身が自分が持つ希少性(=マイノリティー)をデフォルメしたコトがウケた理由であるハズです。 つまり(先に書いておきますがどちらの立場も中傷しているワケではありません)、彼がイギリスでウケたコトとCMの中の女性がサッカーの腕を上げたコトは全く一緒ではないでしょうか? それなのに論客ぶってこのCMを批判するのは、彼自身の芸を批判するのと同じであり、批判は筋違いです。 世界に出たから愛国心に目覚めてネトウヨ化したのかもしれませんが、まず主語「国」から「私」にするコトをお勧めします。 主語が大きすぎる人は、どんなに芸が素晴らしくても、ダサいです。

◆原因は、「世界地図」問題?

 ・・・それにしても、どうしてネトウヨ、そしてパヨクや一部リベラルの皆様は、主語を「国」という大きすぎるものにしてしまうのでしょうか?

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 頭の中の世界地図が、きっとこうなってるんでしょうね。 日本が世界の真ん中に位置しているとでも思っているのでしょうか。 もちろん地球は球状であり中心もへったくれもないのですが、

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 世界で一般的に使われている世界地図は、コレですよ? これを見れば何故イギリスのグリニッジ天文台標準時になっているか、何故日本が(オーストラリアの一部に続いて)ボジョレーヌーボーを世界のどこよりも早く味わうコトが出来るのか、そして、何故日本が「ライジング・サン」「極東」と言われているかが分かると思います。 世界の認識では日本は、端っこなのです。 反日とかどうこうじゃなく、これは事実です。 先日の「アメリカ大統領選を経て、私たちが、やるべきコト」にも書きましたが、日本人は世界的に見ればマイノリティーであるというコトを自覚すべきです。 それは、愛国心を持つコトとは全く別の話です。

◆ひと呼吸おいて、考えるべきコト

 かといってこのCMを全面的に支持する前に、一度立ち止まってほしい。

 このように短絡的に捉えて喜ぶのも、これまたポジショントークになっちゃうのですよ。

 例えばこの記事、渋谷の商業施設「RAYARD MIYASHITA PARK」が今年7月にOPENするまでの顛末を書いた記事です。 この施設、元々は「宮下公園」という公共施設だったのですが、2009年に渋谷区とナイキがネーミングライツで合意し「宮下ナイキパーク」となり、再開発を進めるにあたって公園内に住んでいたホームレス強制排除したという歴史が有ります。 ただその後、ホームレス強制排除という手段が企業イメージに反するとしてナイキはネーミングライツを途中解約し手を引いて、現在の商業施設にはナイキではなく三井不動産が関わっています。 ただ、“宮下ナイキパーク開発の際にホームレスを強制排除した” という事案だけが独り歩きし、Twitter内でも「ホームレスを排除したナイキは許さん!」という声も有ります。 なので今回の企業CMに賛成するのであれば、そういった反対意見にもしっかりと説明できるような知識も必要ではないでしょうか。

◆最後に、

 そもそもナイキは、積極的に人種問題や性差別問題を取り上げていますが、見方を変えれば(ものスゴく悪い言い方をすれば)、長い歴史を経ても解決できていないセンシティブな問題を「スポーツ」という、主語が大きくて畑違いなワードで無理矢理まとめて企業イメージに利用している、という捉え方も出来たりします。 「スポーツに政治を持ち込むな!」なんて極端なコトは言いませんが、やはり「スポーツ」と「政治」は違うジャンルです。 私はこのCMを、基本的には賛成ですが、諸手を挙げてバカ丸出しで賛成するのは、また違うと思うのです。
 決してポジショントークをせず、主語を「私」という小さなものにした上で捉えるコトが、この事案も必要だと感じた次第です。


 そして、私が最も言いたいのは、

 と、いうコトです(笑)  まだこの年齢になっても、NIKEのバッシュへの憧れは残っているのですよ、ハイ・・・


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