見出し画像

ITがわかる人と、わからない人は、どうすれば仲良くなれるのか?

世の中には、ITがわかる人と、わからない人がいます。

ITがわかる人にとって、ITがわからない人は理解不能。「なんで?」と思ってしまい、「バカ」の烙印を押してしまいがち。その人の気持ちを理解しようなんて思わない。でも、それが上司だったら、大変です。

私は会社員時代に、社内システムの大規模更新を担当して、1年くらい、IT音痴の人たちと戦ったことがあります。かなり上の立場の人から、無理難題を押し付けられて、「そんなのできないですよ」というと、逆に私のことを無能扱いするような、無茶な人。

最初は、なんてバカな人たちなんだ!? と怒っていましたが、そのうち、本当にわからないんだ、ということが少しだけ理解できたような気がします。

ITがわかるとは、理解ではなく、肌感覚・実感を持つこと

私は、もの心ついたころから半田ゴテとか、モーターとか触っていました。ICはまだ登場しかけたころ。LSIなんて未来の技術!!なんて本で紹介されていた時代。つまり、0/1のビットを手に取って遊んでいた世代です。

コンピューターも4ビットマイコンという、今の電卓くらいの計算しかできないもの。最初のプログラミングはアセンブラという0/1のコードを直接打ち込む感じ。そんな原始的なITを、ハード、ソフトの分け隔てなく触りながら、技術の進化とともに私も成長した感じです。

プログラミングの凄さを感じた少年時代

私がプログラミングで衝撃を受けたのは、再帰呼び出し(リカーシブコール)という手法を使ったとき。図形の塗りつぶし処理を自分で書きました。四角の枠を最初に描いて、その中を塗りつぶす処理。四角の中の1点を指定すると、プログラムが四角の内側を判断しながら、自動的に全部塗りつぶします。

プログラムはわずか数十行。(10行くらいだったかもしれません)

人間にやらせると、とっても面倒な処理なんですが、コンピューターは黙々とやってくれる。しかも、基本ルール(プログラム)は1回書けばOK。たくさんのデータに対して繰り返し、同じルールに従って、終わるまでやってくれる。ちょこっとプログラムを書くだけで、ものすごく働いてくれる。これがITの威力です。

自分の能力が何万倍にも増えた感覚! 一般的にスケーリングと呼ばれる概念ですが、1が10に、10が100に、100が100万に、一気に能力が増す感覚です。

ちなみに、同じプログラムに対して、違うデータを重ね合わせるように投入できるのが再帰呼び出し(リカーシブコール)というプログラミング手法です。ここはわかりにくいので、適当に流してください。w

手に取って遊ばないから、肌感覚が育たない

ITは理解するものではなく、手に取って遊ぶ、失敗して「なぜ?」と思う、そういう実体験から肌感覚として獲得するものだと思います。

だから、教えてわかるものではない。基礎を教えるのはいいけど、結局、自分で遊んで、体験しないと、わからない。自転車に乗るのと同じような感覚かもしれません。単に早く走れるだけじゃない、それまで行けなかったところにも行ける、出来なかったことができる、別次元の世界です。

ITがわかる人は、どういう条件が揃わないとプログラムが正常に動作しないか、どういうときにエラーを起こすか、自然にイメージできます。前提が決まると、結果がすぐにイメージできる。自然にわかるものなんです。

ITがわからない人は、複雑に考えすぎているのでは?

ITの原理は非常にシンプルです。でも、そのシンプルな構造がたくさん集まって、複雑に絡み合っている。分解すればシンプルだけど、全体で見ると複雑。というのが現代のITのいやらしいところかもしれません。

頭はいいのに、ITがわからない人は、ITを複雑なものと思い込んでいるフシがあります。だから、自分が理解できないのが許せない。自分の価値基準で理解できるようにしろと、IT系の人に無理難題を言ってしまうのでは、と思います。

でも、ITの原理は自然法則と同じくらい、変わらない。変えようがない。できないことは、できない、としか言いようがないんです。

じゃあ、ITの原理って、何よ?

ITの原理って、言葉で説明するのは、なかなか難しい。私が重要だと思う概念を並べてみると、

・データとプログラム
・階層構造
・モードとシーケンス
・ブラックボックス化(隠ぺい、抽象化、仮想化)
・例外とエラー処理
・テストとデバッグ
・設定と使い方(前処理、メイン処理、後処理)

このくらい説明していると10時間くらいかかりそうですが、聞きたい人いるかな?w

ITがわからない人のジレンマ

わからないのが悔しい。でも、自分の価値観を変えるつもりはない。なんとかしろ!というのが、ITがわからず、困った人なのでは?

自然法則は変わらない。ITの原理も、同様に変わらない。変えようがない。

だから、自分で体験して、「なんだ、これだけのことか!」と思いながら、慣れるのが一番です。わからないことは、素直に「なんで?わかるように教えて!」と言えば十分です。

専門家は、小学生に教えるつもりで説明することが大切。図に描いて、どこまで納得したか、確認しながら進めるといいでしょう。

お互い対等な立場なら、リスペクトもできそうですが。俺の方がエライ!と言い出すと、ケンカになるので、要注意です。


この記事を書いたのは、
もうそうビズ企画 代表 川原茂樹
https://mousoubiz.com/
https://twitter.com/mousoubiz

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?