妄想の理想の気になるあの子と学園祭



これは僕が高校生の頃のお話です。

この日は学級委員を中心に学園祭の話をすることになった。
・何をするか決める
・実行委員の選出
を決めることになった。

そしてクラスでの出し物は
「お化け屋敷」か「お祭りの縁日」のどちらかになることになった。

どちらかと言えば僕にとっては、どちらでも良かった。

というのは僕が見ていたのは黒板ではなく、
今僕が気になっている○○ちゃんの後ろ姿だ。

同じ方に手を挙げようと考えていたのだった。

そんな彼女が手を挙げたのは。「お祭りの縁日」だった。

僕はそれが周りにバレないように、すぐに真似して手を挙げた。
そして「お祭りの縁日」に決まった。
喜んでいる彼女の姿は可愛かった。

そして次は実行委員を決めることに。
僕は積極的に何かをするようなタイプでもない。


そんな時彼女が実行委員に立候補し手を挙げた。
なぜだか僕は吊られて手を挙げてしまったのだった。

そうして僕は実行委員になってしまった。
彼女と近づけるワクワクとやったことも無いことで不安だった。

チャイムの鐘が鳴り、彼女が僕のとこに来て
「○○君頑張ろうね!宜しくね!」って
笑顔で言われて僕の不安は半減し、楽しさ倍増したのだった。

その日から僕達実行委員8人は(男4女4)
放課後は遅くまで残って話し合いが始まった。


なかなか電話番号を聞けなかった僕は
この実行委員のおかげで電話番号をゲット出来たのだった。
それぞれ役割分担や当日の動きなど決めて
僕と○○ちゃんは買出し班に決まった。

○○ちゃんと一緒に休日を過ごせるんだ。
そう思えば思うほど僕はその日が楽しみで仕方がなかった。

当時、携帯電話を持っているわけではないし
電話番号教えて貰っても、お父さんが出たら。
なんて思ったらまだ出来なかったから
学校で待ち合わせ場所と時間を決めて
休日に買い出しに行くことにした。


そして買い出し当日。

待ち合わせの駄菓子屋に10分も早く着いてしまった。
自転車に座りぼーっとしてたら
「○○くん!」って呼ばれて
呼ばれた方を見たら、いつもは制服だから見間違えたかと思った。
雰囲気の違う彼女に僕は更に好きになった瞬間だった。

お菓子、おもちゃ、BB弾、水風船などを買い
おばあちゃんがソロバン使って計算している間
外にいた女の人が僕を手招きした。
たまにしか見ないがここ駄菓子屋の孫娘だった。

ノースリーブで短パンのカッコイイ系のお姉さんだから
毎回ドキドキしたのを今でも懐かしい記憶だ。

お姉さんから肘でつつかれながら
「なんだ~お前ら付き合ってるのか?」って
からかわれた挙句、片思いがすぐにバレた。

「大したもんじゃないけど、これやるよ!頑張れよ」って
ひそひそっと言われつつ背中をどつかれた。
お姉さんのポケットから出てきた2つのキーホルダーを貰った。

店内に戻ると会計も終わりかけてた。
「私も持つよ!」って言う彼女の優しさは計り知れない。
そして荷物を僕の自転車のカゴに入れてから

そして僕達は暑いからアイスを食べることにした。
「どんなのがいい?」って聞いたけど
「なんでもいいよ」って言われ
苦手なアイスはないことを聞き、僕は店内に戻った。

僕が買ったアイスは、
今はほとんど見なくなったダブルアイス。
ソーダー味のパキッと半分に折るやつだ。
好きな子と半分こして食べてみたかったのだ。

この日はここで別れ
翌日から本格的な準備が始まり、夜遅くまで準備をした。


~学校祭当日~
法被を着て店番をしたりしてた時に偶然カメラ持ってる先生が来て
僕と彼女2人を撮ってくれた。
(この写真はその後、卒業アルバムに小さく載っていたのであった)

交代の時間になり、そのまま僕と彼女は
一緒に校内を回ることになりいろんなとこ回った。
宣伝の為、法被を着たままだったけどデート気分で楽しかった。


学園祭も終わり片付けに明け暮れる。

片付けも一段落して、僕達は一緒に帰ることにした。


そう、僕は勝負に出る。



 僕は彼女に、あの駄菓子屋で貰ったキーホルダーの片一方を渡した。
不思議そうにそれを見ている彼女に

「これは貰ったものだけど、僕のこれとペアなんだ。
僕は○○ちゃんが好きです。僕と付き合ってください。」

少しの沈黙が長く感じた。

「はい!お願いします!ペアなんだぁこれ!」
とニコニコしていた。

この学園祭がなければ今の僕はいない。彼女には感謝でいっぱいだ。


そんな彼女は今、僕の奥さんだ。

今は、夏だけにお祭りの屋台の仕事をしているが。
たまに手伝ってくれる。
たまに来るお客さんで付きあう前であろう2人が来て、
そんなこの記憶が蘇ったときに
僕もあの時みたいにキーホルダーをあげている。
僕の場合は射的でキーホルダーを彼女の為に取ってあげてる時に
女の子の方にひっそりあげている。


このキーホルダーがきっかけって訳では無いけど、
ちょっとしたきっかけにでもなるといいなと思って。。。。


【完】


このお話は前回の「妄想の理想の初デート」の記事の、射的屋のおっちゃんを覚えているでしょうか。

そのおっちゃんの過去のお話。

↓(分からない方はこちらから)







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