『煙が目に染みる』
何気なく考えてみると、サンドイッチっていつ食べるものなのだろう?
大袈裟に水溜まりを避けて見せて、ステップ。
着地した足は小綺麗に揃って。
黒く濁ったアスファルトから目を逸らして、薄い布見たいな深夜の中、揺蕩うコンビニが、それこそ、終電の電車の車窓みたいに見えた。
ぼんやりと棚が見える。
サンドイッチが二つくらい残っている。
迷子の2人みたいに、もたれあって。
いいじゃん、さ。
二つあれば、それは二つなのだから。
1つは、それは1つでしかないという意味から抜け出せない。
なんだか、いい加減な気持ちになる。
自暴自棄とかどうでもいいや、という気持ちから一番遠いところにある、出鱈目な気持ち。
虹色のコーヒーみたいな。
ああ、夜中の空気って、冷たいけれど、芯があって、ずっと噛み切ることができない糸みたいだ。
いつか、深夜を支配する。
口説いたクラスのマドンナの寝顔みたいに。
特別だったものを一つ一つ、乱暴に解いて、皮を厚くして。
こんな時間にそっと家を抜け出しても、罪の意識もないそんな時間にしっぽりと覆われてしまう。
そうしっぽりと、いつか。
せめての抵抗に、前借りとして
タバコでも吸ってみようじゃないか。
深夜は、いつもより少しだけ、法律が緩いんだ。
昨日学校のクラスメイトから貰った一本。
口をきいたこともなかったのに、どうしてカバンの中を見せてくれたんだろう?
カートンのタバコが、不満げに横たわっていた。
ライターもくれた。
彼はきっといいやつだ。
今日だけの深夜が明日のどこかにもある。
オレンジ色の光と煙が目に染みた。
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