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映画「女子高生に殺されたい」のあの結末についてどう思います?【ネタバレあり感想】


私は原作を観たことがないので知ったような口をききたくないのですが、それでも言わせてください。映画「女子高生に殺されたい」のあの結末ってどうなんですか?


文句があるわけじゃないんです。だってめちゃくちゃ面白い映画だったもん。「女子高生に殺されたいってどういうこと?」からはじまり、「誰に殺されたいんだろう?」「キャサリンってどの子?」「どうやってキャサリンに殺されるんだろう?」と、物語が常に私の好奇心の手を引きながら進み続けるから、飽きる暇などなくのめり込んでしまった。そもそも女子高生に殺されるために人生賭ける主人公なんて気持ち悪すぎて視界にすら入れたくないはずなのに、田中圭の顔がかっこよすぎてプラスマイナスゼロ、むしろプラスに傾いて、その性癖さえも美しいものに見えてくる。顔つよすぎだろ。

なによりクライマックスの場面で、念願かなって女子高生に首を絞められる田中圭の恍惚とした表情が最高だった。どうかこのまま死んでほしい、彼の邪魔をしないでほしいとさえ思った。冷静に考えるとなんで異常性癖を応援しないといけないんだよ共感の余地もねえよって感じなんですけど、ここまで田中圭の計画に吸い寄せられるようにこの映画を観ていた私の頭は完全にバグり散らかしていた。この世に生を受けた者のうち、多くは方法を選ぶことなどできず死を迎える。ようやく望みどおりの死を迎える男の姿はさぞ美しいだろう。だからこのままエンディングを迎えてほしかった。でもそうはいかなかった。




残念ながら彼の計画は大島優子たちに阻止されてしまう。万年片思いくんに取り押さえられる田中圭。鳴り響く軽快な笛の音。このあたりから物語がおかしな雰囲気に傾いていった気がするんですけど私だけですかね。片思いくんにそんなに死にたいなら俺が殺してやる的なことを言われた田中圭が「お前じゃダメだ……女子高生じゃなきゃダメだーーー!!!!(迫真)」って叫んだときは思わず声に出して笑ってしまいました。これまで田中圭にかけられていた洗脳が解ける感覚。そうだ、こいつはただの変態だった。そんな変態が思い描き続けた理想の死に方を目前にしながら掴みきることができず、もがき苦しみながら死んでいく様は実に滑稽だった。これってそういうブラックユーモア的なギャグ映画だったのかも?と妙に納得した自分がいたので、このままエンディングを迎えてくれたらよかった。でもそうはいかなかった。




なんと彼は生きていた。代わりに記憶も女子高生に殺されたいという願望も全て失って。異常な性癖が消えてやっときれいな田中圭になって、これから所謂「普通」の人生を歩むのかと思った。しかし大島優子がそれを許さなかった。彼女は田中圭の記憶を蘇らせることが贖罪だと言う。正直、ちょっと何言ってるのかわからない。女子高生に殺されるためには手段を選ばないあのモンスターを、世に放っていいはずがない。それに私が記憶喪失の田中圭ならこう思う。余計なことを思い出させないでくれ!と。
そんな願いもむなしく、彼は女子高生に殺されたい衝動を思い出してしまう……ところでエンドロールが流れる。え。ということは、えぇ??彼の計画がふりだしに戻っただけ、ってこと???




物語はもう終わったのに「これからどうなっちゃうの?」が頭の中から消えてくれなくて気持ち悪い。
本当に何なんだよこの結末。最高かよ。

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