外国人自転車乗りに"asshole"と言われて考えたこと。

 自転車に関する記事です。
 私はオートバイ乗りなんですが、先日片側三車線道路の一番左車線のど真ん中をガムシャラに走っているロード乗りがいたから、追い越す際に「追い越すよ」という意思表示と注意喚起にピッとクラクションを鳴らしたら、次の信号待ちで腕を掴まれていきなりユーアスホールと。無視してたら水をかけられ、彼は信号無視してそのままどっか行っちゃいました。

 そんなことがあったので、ちょっと書きたくなった。そんな記事です。
 法律を自分に都合のいい部分だけ切り取って勝手に解釈する人達にはほとほとうんざりしています。

長文を読むのが面倒くさい人むけに結論だけ書くと
「複数車線があったって、車道の殆どは車両通行帯の定めがある道路じゃねーから、自転車は(道路工事など何らかの事情でやむを得ない場合を除いて)おとなしく一番左車線の左側端を走行すべきだし、ケンカしないでお互い譲り合って穏やかに日々を過ごそうぜ」って内容です。
 疑問がある人や文句がある人は、以下の文章を読んでください。
 読んだうえで分からないことや理解できないことがある場合は、まずは自分で調べてみてください。

 以下、本文。(分かりやすさ重視で書いているので、厳密に法律通りの言葉ではないですが、揚げ足取りはやめてくださいね。)

 道路交通法を読むと、自転車を含む「軽車両」は、車両通行帯の定めがない車道については、「車道の左側端」を走行する義務がある。(ちなみに原付や自動車は「車道の左寄り」を走行する義務がある。左端を軽車両、左よりを原付や自動車が走る。これがキープレフトというやつである。)
 一方、車両通行帯の定めがある車道では、軽車両は「一番左の車線」を通行する義務がある。

つまり車両通行帯の定めがある車道ならば、自転車は車道の左側端を走行する義務はない。

 ここまでは知っている人も多いと思う。そして車両通行帯とは何ぞやという疑問が当然湧くはずだが、ざっと調べた程度では「複数の車線がある道路では、それぞれの車線は車両通行帯なんじゃよ」という答えくらいしか出てこない。「ということは、片側一車線の道路や一方通行などの道路以外は、すべて車両通行帯なのか」と勘違いしても仕方ない。

 しかし実のところ、車両通行帯というのは、おもに進行方向を特定する必要がある交叉点付近の白い実線や黄線部分、バス専用車線など、指定通行区分の定めが必要な場所のみ、特別に公安委員会が設置するものなのだ。それ以外の車道については一般的にはほぼ全ての車道が、単なる白線で車線を区切られただけの道路に過ぎず、車両通行帯ではない。
 車両通行帯以外の部分は、白線は車両通行帯を示すものではなく、「車線境界線」といわれるもので、これは「単に車線を分けるために線を引いただけですよ~」ってだけなのだ。このへんはしっかり法律が決まってるので嘘だと思うならよーく調べてほしい。
 どこが車両通行帯になっているかどうかは、公安委員会次第なのだ。
 なんなら警察すら把握できていなくて、右折車線から直進した車両を通行区分違反で取り締まっていたら、実は公安委員会の車両通行帯の規定ではその車線は直進と右折ができることになっていたことが後で発覚し、取り締まりを取り消したなんて例もあるくらいだ。

 必ずしも『複数車線がある』=『車両通行帯』=『自転車が一番左車線のど真ん中を走ってもいい』ではない。

 さらにタチの悪いことに、その道路が車両通行帯か車線境界線かを外見で見分けることは不可能だ。車両通行帯を示すための線の引き方と、車線境界線の線の引き方のルールが全く同じだからだ。おまけに、駐車禁止や一時停止などのような、標識で示されてもいない。
 つまり、警察や公安委員会にでも問い合わせないことには、その特定の場所が、車両通行帯の定めがあるかどうかは分からないのだ。

 つまり、片側一車線だろうと、複数車線がある道路だろうと、中央線のない対面走行の道路だろうと、殆どの車道については、自転車は一番左車線の左側端を走る義務があるのだ。

 ならばなぜ、車道のど真ん中を我が物顔で走る自転車乗りが多いのか?


 これは個人的な見解だが、おそらく、中途半端な知識で『複数車線がある=自転車は第一車線の真ん中を走ってもよい』と誤解しているか、もしくはそもそもキープレフトのことを知らない阿呆か、または法律や他人の迷惑なんて関係ないと考える社会不適合者なのだろう。

 じゃあどうするべきなの?

 実のところ、この義務についてはキープレフトに関わる規定なので、罰則はない。キープレフトとはあくまで「遅い乗り物から順に左から走ることで、交通を円滑にしようぜ」っていう精神に則るものであり、キープレフトの概念が日本で導入された経緯なども関係している。長くなるので詳細は割愛する。
 しかし「罰則がなければやってもいい」わけじゃないのは、小学生でも分かることだろう。義務は義務なのだ。それにこの義務を破っただけでは罰則はないが、これを破って事故を起こした場合は、義務を怠った責任が当然に追及されることになる。
 つまり「ルールなんか知ったこっちゃねえ! 人に迷惑かけても関係ねえ! 怒られた時のことは考えねえ!」という、破滅的な思考の人以外は、おとなしく義務を果たすべきであろう。

 そもそも道交法は『安全で円滑な交通のため』定められたもの。

 道交法の一番最初、第一条にはこう書かれている。
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

 ちょっと聞きかじった程度の知識で道交法をハックした気になるのは勝手だが、上記の理念からして、「全く交通の流れに乗れない乗り物」が「車線を塞ぐ」行為が許されるわけがないのだ。「追いつかれた車両の義務」は自転車には課されないが、だからといって交通を妨げていいわけではない。突発的な故障によって高速道路の車線上で停車してしまったような場合でも、通行を妨げたという理由で違反切符を切られるのだ。他者の円滑な通行を妨げるというのは罪なのである。

道路上での基本は『譲り合いの精神』だ。

 教習所でも「優先道路や本線通行時の優先などの『明らかに自分が優先な状況』であっても、自分が譲った方が安全な場合は交通の安全・円滑のためには譲るべきであり、法的には自分が優先だからと突っ張る行為はトラブルの元になるからやめようね!」と教わるものだ。

 これは個人的な思想に過ぎないが、そういった譲り合いの精神が未熟なものは、公道を走るべきではない。不特定多数の人間に危険を及ぼす可能性があるからだ。
 つまり、まともな理性を持つ大人だと自分で思うなら、警察ですら把握できていない「車両通行帯であること」を勝手に信じて、自転車で車道のど真ん中を平気な顔で走行し円滑な交通を妨げ、後続車からクラクションを鳴らされたら中指を立てたりその動画をyoutubeにアップするような馬鹿丸出しの行為は即刻止めて、おとなしく常に車道の左側端を走るべきではないだろうか。
 それが嫌なら、自分が走る道全てについて、どこが車両通行帯なのか調べればよかろう。

 もうちょっと大人な言い方をすれば……


法律を振りかざしてぎゃーぎゃー騒いで喧嘩をして、自分もストレスを溜めるより、実際自分より走行性能の高い後続車に対しては気を遣って進路を譲り(もしくは後続車を妨げないように最初からスペースを確保しておいて)お互いに「すまんな」「ええんやで」の精神で譲り合った方がよくね???
ってことです。

以上! ご安全に!

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