読書感想メモ① 『あつあつを召し上がれ』

『あつあつを召し上がれ』(著:小川糸) 新潮文庫

あつあつを召し上がれ (新潮文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4101383413/ref=cm_sw_r_other_apa_i_WUBdFb0145EXR

を、読みました。久しぶりに活字をしっかり読むので短めの短編集にしました。おもしろかったです。

人生の節目や人間関係を主軸にその人たちにとっては特別な普通の料理で彩ったお話が7編。


ここからお話の内容(あらすじあり/ネタバレなし)

「バーバのかき氷」
バーバが食べたいものを孫(主人公)が買いに行くお話。
立場上、この手のお話を読むと解像度が高くて切なくなるお話でした。主人公の気持ちもママの気持ちもわかってしまいましたが、誰に共感してもしんどいです。

「親父のぶたばら飯」
恋人の地元・横浜で「中華街で一番汚い店」に行くお話。
この2人が食べている時の描写がめちゃくちゃおいしそうなんですよ。「最後は、あまりにおなかが苦しくて、スカートのボタンがはちきれそうになってしまう」くらいいっぱい食べるのは、中華の醍醐味ではないでしょうか。

「さよなら松茸」
10年は一緒に暮らした恋人と、最後の旅行に行く話。
美味しいものは美味しいし良いものは良いものでそこは変わらないはずなのに、人間は変わる。色んな感情が綯い交ぜになって切なくなるお話でした。

「こーちゃんのおみそ汁」
結婚して家を出ていく娘が、1人親である父親と母親の思い出を通して向き合うお話。
娘の結婚間近の父と娘の構図のお話が大好きなんですよ。幸せになって欲しい気持ちと少しの寂しさがありますよね。

「いとしのハートコロリット」
老夫婦が思い出のパーラーに足を運び、思い出の食事を食べるお話。

みんな読んで。以上。

「ポルクの晩餐」
「豚」と呼ばれる男の愛人を飼い、その愛人と心中しようとする男性の話。
短編集のその他の話と雰囲気の全く違うお話。最期くらいは一緒に美味しいものを食べてロマンティックに死にましょう?これから死ぬというのになんと明るくて耽美なことか。

「季節外れのきりたんぽ」
父親の四十九日に母と娘で父親の好物であったきりたんぽをつくり、父について語り合うお話。
美味しい料理をみんなで食べることの幸せとなくなってしまってから気づく大切さを表現してました。ここまでのお話を順番に読んで短編集の最後として後味の良いお話です。

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