見出し画像

読書の記録(36)『よるの美容院』 市川朔久子 講談社

手にしたきっかけ

こども新聞か何かで紹介されていて、気になった。市の図書館へリクエストを出した。司書になるまで児童書を読むことが少なかったので、気になった本はできるだけ読むようにしている。

心に残ったところ

まゆ子はあることをきっかけに人前でうまくはなせなくなってしまう。そんなまゆ子はひるま美容院のナオコ先生と暮らすうちに、自分の声を取り戻していく。

学校や家以外に安心して過ごせる場所があるっていいなあと思う。家族や友達とうまく行かなくなった時に、子どもは行き場が限られてしまうから。まるごと受け止めてくれる人や、信頼できる人や、心を開いて話せる人がいれば、なおのこと。昔はたくさんあった気がするけど、子育てをしていて、そういった場所が本当にないなあと思う。

自分は傷ついた、ショックを受けた、と思っていなくても、心を削られていることってある。じわじわきたり、一気にきたり。人生経験が少ない幼い子なら、自分がそういう状態にあるということに気がついていない場合もあるんじゃないだろうか。それが身体的な症状で出てしまうことってあると思う。まゆ子が声を出せなくなったように。

そんな時に、周りの大人ができることって何があるんだろう。時間をかけて、その子の力を信じて待つしかない気がする。大人は自分が乗り越えてきた体験があるから、すぐ近道を示したくなる。自分の体験を引き合いに出して頑張らせたり、早く集団に戻そうとしてしまう。けれど、本人もなぜ自分がそうなったか言語化できていないなら、ただ待つ以外にない気がした。あなたのことを気にかけてますよ、というサインは送りながら。

まとめ

こんなふうに思ったり、noteに書くのは簡単だけど、実際に自分がそんな場面に遭遇したら気長に待てるだろうか。
自分の子どもだったら?と自問自答する。



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?