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読書の記録(52)『プラナリア』山本文緒 文藝春秋

手にしたきっかけ

先日『アカペラ』を読んだ。『プラナリア』は以前に読んだと思っていた。『プラナリア』ってどんな話だったけ?と思ったら、全く思い出せない。読んだのに忘れているのか、読んだ気になって読んでなかったのか気になりだした。

心に残ったところ

『プラナリア』『ネイキッド』『どこかではないここ』『囚われ人のジレンマ』『あいあるあした』の5つの短編からなる。『アカペラ』や『自転しながら公転する』よりは、より普通の人の生活が描かれている感じがした。

山本文緒さんの本を読んでいるとこの『普通』という感覚がわからなくなってくる。一見『普通』なんだけど、ちょっと『普通』とずれているというか、『普通』って何?と考えてしまう。

我が道を行くというか、理解されない登場人物がたちが魅力的に見える。それぞれの人生をジタバタしながら歩いている感じが、読んでいて伝わってくる。それが面白い。上手くいかないことってあるよね~、学生時代の友人に似た人がいた気がするなあ、と書かれている人たちの毎日に共感したり、自分ならここまではできないなと思ったり、心を動かされる。

印象に残った小道具は『どこかではないここ』の防犯用ベル。学校から子どもに配られたり、ランドセルにつけていたりはよくするけれど、実際に使う場面に遭遇したことはないし、あまり想像したこともなかった。もしかして、この場面を書くためにこのお話ができたのか!?と思うぐらい、私の中では新鮮な驚きだった。

一つ一つのお話が興味深くて、何回も読みたくなった。一つどれかを選ぼうかと思ったけれど、どれも印象的で選べなかった。久しぶりにそんな本と出会った。

まとめ

奥付を見ると、初版は2000年10月30日、とある。私は2000年に静岡で中学校の教員になった。この年は仕事に関する本は読んでいたけれど、自分の楽しみとして本を読む時間はあまりなかったように思う。

この本の表紙や題名はすごく見覚えがある。もしかしたら図書館で借りたけれど、読む時間がなくてそのまま返却してしまったのかもしれない。

『恋愛中毒』も『あなたには帰る家がある』もなんとなく話は知っているけれど、ドラマになったものを何回か観ただけかもしれない気がしてきた。本でじっくり読み味わってみたいと思った。


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