中野成樹+フランケンズ『ちがう形』を見た人間のまどろみ
2024年5月23日19時の回、Bプログラムを観劇させていただきました。も~~~個人的新感覚。ナカフラ大好きになりました。なんか、ずーっとすっとぼけてて、100分間2355を見てるみたいな。おもしろくて、ゆったりしてて、ぬくくて。もっとずっと見てたかった。
なんか、言語化するためのnoteなのに、この作品に関してはマジで言葉にできない感覚が大きすぎて困ってます。なんだろう、もう観てとしか言いようがない…。
以下、ネタバレを含みます。
上演の順番としては、『8ビート』『キックバック』『寝台特急“君のいるところ号“』でした。
『8ビート』
『8ビート』は、なんていうか前説パフォーマンス。でもそこで、ナカフラ初めての私はすごく丁寧に見方を教えてもらえたというか、ぬるっと観てていいんだな~と思えたというか。
「Bプログラムは余裕があります。」「子供が出てくる回があります。子供が出てくる回は余裕が全部持っていかれますが愛情はいっぱいです。」「オムライスの話は聞かなくていいです。」
ふふふと、肩の力を抜けました。
全編通してそうですが、みなさん無駄な力が一切入ってない感じが、ほんとうに心地よかったです。すごい…。
『キックバック』
『キックバック』 『キックバック』は、お姉さんが大優勝してました。わかる、そうしたくなるよね、行動に移せた方が絶対いいよ、だって後悔するもん…。怒りの瞬発力があるのっていいことだって…。
最初、椅子と机と飲み物が出てきて、二人座って、一言喋ってまた物を動かし始めたときはびっくりしました。でもだんだんわかる。ほんとは座ってるけど、芝居は立ってするよ。その形式で、会話してるってことだよ~。ってことが。
そういう理解が、浸透するように私の中にやってくる。こんなことある?
なんか、ずっとバチ持ってるし。
最終的にはバチもスネア?もお姉さんが使うから、笑った。
あんなに感情がみんなのなかで動いているはずなのに、ずっとゆったりしてたのも面白かった。新感覚でした。不自然とかじゃなくて。みんな、言葉をかみしめるように喋っている。いや、噛みしめると力んでるな。ゆーっくり、ところてんを、均等に、スムーズに、押し出す、みたいな?
『寝台特急“君のいるところ号“』
Bプログラムを観ることにした決め手は、この作品でした。5回目の代表作は、初めてその団体を観るなら観るべきだろうと。私の判断は正解でしたね。
本当に、こればっかりは、ぜひ観てほしいと思いました。
異化効果って、ちょっとパワー技というか、べりっと没入から引きはがされる感じがずっとあって。それはそれで好きだし、そのべりっとに面白さを感じられる瀧口ではあるのですが。
この作品は、異化効果というには丁寧で、かわいくて、親切。大事なお茶碗が割れちゃって、金継ぎして使うくらいの年季と愛おしさが、その手つきに表れていたように感じます。
これがナカフラか…。
美術も、個人的にはここで真価を発揮するというか。椅子のメタリックで直線的な、シャープな印象が、より芝居のぬくもりを浮き上がらせるというか。電車の外の風景が、スペーシーになっても、おかしくないっていうか。シンプルきれいだし。
蛍光灯のが照明で入ってくるのも、最近だと『リア王』で観たんですが、空間の広さが違うからか、印象は違いました。クールな印象はどっちにもあったんですが、『リア王』はより生々しく人を照らし、今回はフィクションを包んでいたように見えました。
翻訳もちっとも違和感なく。しみじみ。さよならを告げるシーンは、わが町感を感じて、海外戯曲感がないわけじゃないんですけど、なんていうのか…。それが浮いてないといいますか…。きっとこんなことはこれまでいろんな方が述べまくっているはずなので。それを私も感じましたよ、ということです。
なるほど、これがナカフラか…。
全編通して、演劇にしかできないことをやっていたように思います。トップス大きすぎない?って思っちゃうくらい、お茶の間感もありつつ、でもふっと宇宙にも意識を飛ばすときもあって。
あと、音楽すごくよかったです。音合わせの芝居、好きです。レールがガタついてるのをみんなでちょっとずつ直すのとか、がんばれ!って思ってました笑。
あ、あと最後、二人の間の赤い糸を結んでいるの、フライヤーのやつだ~!と思ってニコニコしちゃいました。
はあ、観てよかったです!子供がいる回も行きたかったなあ。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
瀧口さくら
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