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23/12/04 (月)「パウエル議長発言の"通過"を好感?」寄り前情報


要点まとめ

  • パウエル議長は利下げに関して"時期尚早"として語らず

  • 一方、現在の引き締め水準を制約的であるとする見解

  • ISM製造業景気指数の弱さもあり、米長期金利は下落

  • 一方NYダウは年初来高値更新

  • 前日に続いてハイテク株より景気敏感系など幅広い業種が買われる

パウエル議長発言の"通過"を好感?

米国株主要三指数の値動き:

金曜日の米国市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言が注目されました。
結果としてパウエル議長は利上げの終了を決定づけたり、利下げについて語るのは"premature(時期尚早)"としながらも、現在の金利水準はかなり制約的であるとし、今月のFOMCの金利据え置きがより確実視される📌形となりました。
米長期金利は低下していき、主要三指数は揃って上昇して終え、NYダウは約1円11カ月ぶりの36000ドル回復となりました。
一方、前日と同様に今年の相場を牽引してきた超大型のハイテク株の一部(Microsoft、NVIDIA、Alphabet、Metaなど)は相場に反して強弱の差がありながらも下落しており、NASDAQ総合よりもNYダウの方が上昇率が高くなりました📌

-- パウエル議長発言 --

金曜日のパウエル議長の発言は、来週に控えるFOMCを前に、Fed(米国中央銀行制度)高官らが金融政策に関する発言をFOMC終了まで制限されるブラックアウト期間に入る前の最後の示唆として注目されました。
先週はFRBのウォラー理事が利下げに関する言及をした一方、逆にボウマン理事は従来通り追加利上げの必要性に触れ、Fed高官らの間で意見の差がはっきりと出ただけに、パウエル議長がどちらによった発言をするのかが注目点の一つでした。

結果として利下げに関しては"時期尚早"として、何らかのヒントを与えるような発言は一切しませんでしたが、行き過ぎた市場の反応に対して牽制するような発言をしがちなだけに、パウエル議長の今回の姿勢は意外なものではありませんでした
むしろ市場は「現在の金利水準はかなり制約的である」とする発言に反応した形となり、既にFedWatchで見る限り9割以上織り込まれている来週のFOMCでの金利据え置き予想が、雇用統計やCPI(消費者物価指数)の発表を前により確実視させる形となりました。

ISM製造業景気指数が市場予想よりも悪かったこともあり、米長期金利も低下する一方で、米国株主要三指数は揃って上昇📌
結果として利下げ期待に対するパウエル議長の牽制発言があったにも関わらず、市場は楽観視を強める動きとなる不思議な反応📌となりました。

-- 資産の分散? --

NYダウが年初来高値を更新をする中、今年の相場を牽引してきたハイテク株はそれに比べるとやや弱い2日間となっていました。
そんな中で、ラッセル2000は2.9%高と大幅反発したり、後述の業種別指数をみても、ハイテク系以外の幅広い業種が買われる形に。

また、債券利回りの低下から"債券買い"が進んでいる様子がみえたり、金先物価格がNY証券取引所で買われているのをみると、"ハイテク株"や"ドル"といった資産が色んな別の資産に分散しているような動きにもみえます。

"ハイテク株"の動向は日本株としては上昇を牽引している半導体関連、"ドル"に関しては為替の動向と言った面でそれぞれ気になる要素ですので、この動きが月末月初におけるリバランス的なものなのか、それとも継続するのかが気になるところ📌です。

S&P500業種別指数などの動き:

S&P500業種別指数は11業種中10業種上昇となりました。
長期金利の低下基調が続く中、不動産セクターはこれで7営業日続伸。
一般消費財セクターではTeslaが下落、Amazonは0.6%高となっていましたが、それ以上に消費関連銘柄が非常に堅調となっており、時価総額の大きいAmazon、Tesla以外の銘柄の堅調さで指数が押し上げられる珍しい形📌となっています。
下位のセクターをみると、最近軟調なAlphabetとMetaが下落し、ほかもまちまちだったため、指数は小幅下落。
情報技術セクターも、まちまちではありもののMicrosoftの下げが重しになりました。

ヘルスケアセクターでは、Pfizerが5%の下落となっており重しに。
Pfizerは今年の6月頃に安全性を気にし、開発していた肥満症治療薬候補で1日1回投与のLotiglipronの開発を中止し、自社開発で1日2回投与のDanuglipronの開発を進める決定をしましたが、今回はそのDanuglipronでも副作用の問題により中止することに。
創薬業界の中ではGLP-1受容体作動薬が今年は非常に話題になっていますが、期待の大きさの反面、参入の難しさも感じさせる形となりました。

その他の主な動き:

-- その他指数 --
米長期金利は下落。より短期の2年債利回りなども低下しました。
小型株指数のラッセル2000が2.9%高と大きく上昇。

-- 欧州株 --
欧州株は軒並み堅調で、STOXX600は1%上昇。
3日続伸となりました。

-- 為替(ドル円) --
金曜日は148円を挟んだ値動きを日中にしていたドル円ですが、夜には146円後半へと円高方向に📌動きました。
パウエル議長発言やISM製造業景気指数の弱さによって、米長期金利が下落した流れを受けたような動きとなっています。


今日の注目ポイント

-- 本日の日本市場 --

本日の日本市場のポイントとして、
①バリュー・グロースの差
②為替

の2つを挙げます。

どちらも先週の金曜日と同じポイントとなっています。
ドル円が円高方向へ進んだり、NYダウが大きく上昇する中で超大型ハイテク株の一部はそれより相対的に弱かったりと共通点が多かったためです。
ただし、米長期金利は木曜日の米国市場では反発しましたが、金曜日は下落。
小型株指数であるラッセル2000は大きく上昇したりといった動きがあったため、金曜日に軟調だった新興市場の反発があるのかが気になるところです。

また、IPOラッシュとされるほど上場数が増えるのは12日からですが、今月最初の国内新規IPOが1社あります。

-- 今晩の米国市場 --

今晩の注目点は先週金曜日の流れが変わるかどうか。
相場を牽引してきたいわゆるMagnificent Seven (Alphabet, Apple, Meta, Amazon, Microsoft, NVIDIA, Tesla)の動きがやや鈍い中で相場全体としては堅調という日が2営業日続きました。
ただ、景気指数などはあまり強い内容ではなく、この流れが年末まで続くのかは不透明。
今週に関しては雇用指標が多くあるため、その内容と反応に注目です。


指数・今後の重要イベント

終値
Dow 30  : 36,245.50 ( +0.82% )
S&P 500 : 4,594.63 ( +0.58% )
NASDAQ: 14,305.03 ( +0.55% )


イベント

2023年12月第2週(メジャーSQ週)
12/05 (火):10月JOLTS雇用動態調査
12/05 (火):米11月ISM非製造業景気指数
12/06 (水):米11月ADP雇用統計
12/08 (金):米11月雇用統計
12/08 (金):米12月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値

2023年12月第3週
12/12 (火):米11月消費者物価指数
12/12 (火):FOMC(~12/13 日本時間14日早朝にパウエル議長会見予定) 
12/13 (水):米11月卸売物価指数
12/14 (木):ECB理事会
12/14 (木):英国金融政策委員会
12/14 (木):米11月小売売上高
12/15 (金):米11月鉱工業生産
12/15 (金): 米12月PMI 速報値

2023年12月第4週
12/18 (月):日銀金融政策決定会合(~12/19 19日に会見予定)
12/19 (火):米11月住宅着工件数
12/20 (水): 米12月消費者信頼感指数
12/20 (水):米11月中古住宅販売件数
12/21 (木):米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
12/22 (金):日本11月全国消費者物価指数
12/22 (金):米11月耐久財受注 速報値
12/22 (金):米11月新築住宅販売件数
12/22 (金):米11月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

2023年12月第5週
12/25 (月):クリスマス 米休場
12/27 (水):配当・株主優待 権利付き最終日

2024年1月第1週
01/01 (月): 元日/新年 日米休場
01/02 (火): 日本休場
01/03 (水): 日米休場
01/03 (水): 11月JOLTS雇用動態調査
01/03 (水): 米12月ISM製造業景気指数
01/03 (水): FOMC議事要旨公表
01/04 (木): 米12月ADP雇用統計
01/05 (金): 米12月ISM非製造業景気指数
01/05 (金): 米12月雇用統計

2024年1月第2週(SQ週)
01/08 (月): 成人の日 日本休場
01/11 (木): 米12月消費者物価指数
01/12 (金): 米12月卸売物価指数

2024年1月第3週
01/15 (月): 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」開示企業一覧表公表
01/15 (月): キング牧師記念日 米休場
01/17 (水): 米12月小売売上高
01/17 (水): 米12月鉱工業生産
01/17 (水): ベージュブック公表
01/18 (木): 米12月住宅着工件数
01/19 (金): 日本12月全国消費者物価指数
01/19 (金): 米1月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値
01/19 (金): 米12月中古住宅販売件数

2024年1月第4週
01/22 (月): 日銀金融政策決定会合(~1/23 23日に会見予定)
01/25 (木): ECB理事会
01/25 (木): 米12月耐久財受注 速報値
01/25 (木): 米12月新築住宅販売件数
01/26 (金): 米12月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

2024年1月第5週/2月第1週
01/29 (月): 配当・株主優待 権利付き最終日
01/30 (火): 12月JOLTS雇用動態調査
01/30 (火): FOMC(~1/31 日本時間1日早朝にパウエル議長会見予定) 
01/31 (水): 米1月ADP雇用統計
02/01 (木): 英国金融政策委員会
02/01 (木): 米1月ISM製造業景気指数
02/02 (金): 米1月雇用統計

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