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24/05/16 (木)「米主要三指数揃って過去最高値更新」寄り前情報

要点まとめ

  • 米4月小売売上高が予想より弱く、CPIは予想通りの鈍化

  • これを受けて米長期金利は低下

  • 金利に敏感なセクターを中心に堅調となり、主要三指数過去最高値

  • ドル円は円高方向に進んだ

米主要三指数揃って過去最高値更新

米国株主要三指数の値動き:

昨晩の米国市場では注目の経済指標である4月小売売上高と4月CPI(消費者物価指数)が発表されました。
小売売上高は市場予想より弱く、CPIは市場予想並みの鈍化となり、これを受けて年内2回の利下げ期待が強まる形で反応。
米長期金利も低下したことを好感するように、ハイテク株を中心に全体的な堅調さがみられました。

昨日の夕方noteにて注目ポイントとした点を振り返っていきましょう。

-- 物価と景気のバランスが肝心 --

昨晩の米国市場で非常に注目されたのは4月小売売上高と4月CPI(消費者物価指数)でした。

米国の今年発表された経済指標のヘッドライン的に発表される数字では強いものが多く、"高金利環境でありながら景気は強い"という受け止め方が今後の利下げを遅らせる要因にもなりました。
しかし内訳で見れば消費動向にもどこか陰りがみえたり、最新の経済指標(ISMによる景気指数や雇用統計など)では減速感もみえただけに、弱さが予想された今回の小売売上高。

取り消し線は改定前、ここでのコアは"excl. motor vehicle & parts & gasoline stations"

結果として、まず過去2ヶ月分が下方修正され、今回発表の4月分も前回から横ばいという市場予想を下回る内容となりました。

これにより、景気が底堅いという見方を今後も続けられるかについては疑う余地がやや出てきた中、物価が鈍化していなければ"スタグフレーション(物価上昇と景気減速の同時進行)"が懸念されやすくなります。
それに対し、今回発表された4月CPIでは市場予想通りに前年同月比が鈍化。
依然として"shelter index (住居費)"が強いことが押し上げ要因となるも、全体としては鈍化項目はそれなりに多く、利下げ期待が強まる形で市場は反応しました。

これにより米長期金利は4月上旬以来の水準まで低下。
市場への警戒心も低くなり、VIX(ボラティリティ・インデックス)は明日の米国のオプションSQ日を前にしているという状況下でも波乱を起こさずに低下しました。📌

米国主要株価指数も揃って上げ幅を拡大していく動きとなり、前日に3月末につけた過去最高値を先んじて更新したNASDAQ総合は高値更新。
さらに同時期に過去最高値をつけていたNYダウ、S&P500も過去最高値を更新📌しました。

S&P500業種別指数などの動き:

S&P500業種別指数は11業種中10業種上昇となりました。

米長期金利が4月上旬以来の水準に低下したことを受けて半導体株を中心にハイテク株がかなり堅調となり、情報技術セクターが大きく上昇。
金利に敏感な不動産、公益事業セクターなども堅調。
ヘルスケアセクターでもEli Lillyなど時価総額の大きいところを含め全体的に堅調。

一方で騰落率下位をみると、Amazon、Teslaは下落していたため一般消費財の指数はほぼ横ばい。
小売売上高が予想より弱かったこともあってか、消費関連や生活必需品セクター内は下げも目立つまちまち感となりました。

その他の主な動き:

-- その他指数 --
金利に敏感なセクターが堅調だったように、小型株指数のラッセル2000も1.1%上昇。過去最高値は元々遠いものの、3月末につけた年初来高値まではあと0.7%ほど。

米長期金利(10年物国債利回り)は4.35%程度まで低下。
4月上旬以来の水準となり、4月末に今年のピークをつけて以降、今月は低下傾向が継続しています。

-- 欧州株 --
欧州株も堅調で、STOXX600は連騰を継続。

-- 為替(ドル円) --
ドル円は市場予想通りに鈍化したCPI、予想より弱い小売売上高などを受け、円高方向に反応。
投機的にすぐに戻す動きが一旦みられたものの、昨晩のうちはそれも続かずに再び円高方向への動きへと変わり、154円台半ばで朝📌を迎えています。
前日よりは2円程円高方向に進みました。


今日の注目ポイント

-- 本日の日本市場 --

本日の日本市場のポイントとして、
①ハイテク中心の値動き期待
②為替動向への反応

の2つを挙げます。

欧米で過去最高値更新が相次ぐ中、上値の重さに押し返される展開が続いている日本株。
この反応さについて、"今年のこれまでの動きが強すぎた"という見方もできますし、実際に現時点の日経平均株価、TOPIXのここまでの前年比上昇率はS&P500のそれを未だに上回っています
しかしそれもあと4%程の差になってきていますので、このままいけば日本株の出遅れも意識されやすくなります。

今日は前日のメガバンク決算などを受けた個別の動きなども注目されますが、それ以外にはやはり前日のハイテク株の動きが牽引してくれることを期待したくなります。
一方、気になるのは前日の日中よりも円高方向にだいぶ動いたこと。📌
最近は円安を好感する株式相場と必ずしもなっていないだけに、円高になっても嫌気しないと良いのですが、実際はどうなるか。自動車関連など円安メリット系の動きに注目。

-- 今晩の米国市場 --

今晩の注目はいくつかある景気指標のほかに、取引時間開始前のWalmartの決算と、取引時間後のApplied Materialsの決算。
明日金曜日は材料が少ないため、過去最高値を更新した勢いを残せるかがポイントになりそうです。


指数・今後の重要イベント

終値
Dow 30 : 39,908.00 ( +0.88% )
S&P 500 : 5,308.15 ( +1.17% )
NASDAQ: 16,742.39 ( +1.40% )


イベント
(誤字、表記ミスがたまにあるため、必ず自身でもご確認を)

2024年5月第3週
05/16 (木): 米4月鉱工業生産
05/16 (木): 米4月住宅着工件数
05/16 (木): 米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数

2024年5月第4週
05/22 (水): 米4月中古住宅販売件数
05/22 (水): FOMC議事要旨公表
05/23 (木): 米4月新築住宅販売件数
05/23 (木): 欧米5月PMI 速報値
05/24 (金): 日本4月全国消費者物価指数
05/24 (金): 米4月耐久財受注 速報値

2024年5月第5週
05/27 (月): メモリアルデー 米休場
05/28 (火): 米5月消費者信頼感指数
05/29 (水): 配当・株主優待 権利付き最終日
05/29 (水): ベージュブック公表
05/30 (木): 米実質GDP(改定値) Q1
05/31 (金): 日本5月東京都区部消費者物価指数 速報値
05/31 (金): 米4月個人所得・個人支出・PCEデフレーター
05/31 (金): MSCI定期見直し実施前日(リバランス発生見込み) 

2024年6月第1週
06/03 (月): 米5月ISM製造業景気指数
06/04 (火): 4月JOLTS雇用動態調査
06/05 (水): 日本4月分毎月勤労統計調査 速報
06/05 (水): 米5月ADP雇用統計
06/05 (水): 米5月ISM非製造業景気指数
06/06 (木): ECB理事会
06/07 (金): 日本4月分家計調査
06/07 (金): 米5月雇用統計

2024年6月第2週(メジャーSQ週)
06/10 (月): 景気ウォッチャー調査 5月調査
06/11 (火): FOMC(~06/12 日本時間13日早朝にパウエル議長会見予定) 
06/12 (水): 米5月消費者物価指数
06/13 (木): 米5月卸売物価指数
06/13 (木): 日銀金融政策決定会合(~06/14 14日に会見予定)
06/14 (金): 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値

2024年6月第3週
06/18 (火): 米5月小売売上高
06/18 (火): 米5月鉱工業生産
06/19 (水): ジューンティーンスデー 米休場
06/20 (木): 米5月住宅着工件数
06/20 (木): 米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
06/20 (木): 英国金融政策委員会
06/21 (金): 日本5月全国消費者物価指数
06/21 (金): 米5月中古住宅販売件数

2024年6月第4週
06/25 (火): 米6月消費者信頼感指数
06/26 (水): 米5月新築住宅販売件数
06/26 (水): 配当・株主優待 権利付き最終日
06/27 (木): 米5月耐久財受注 速報値
06/27 (木): 米実質GDP(確報値) Q1
06/28 (金): 日本6月東京都区部消費者物価指数 速報値
06/28 (金): 米5月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

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