【深掘り】バリュー優勢?グロース優勢?VG倍率で分析
先週水曜日に最近の「NT倍率」を深掘り記事で紹介しました。
株価指数の揉みあいの中では明確な動きがないようにみえていても、日経平均株価とTOPIXのどちらが優勢かという傾向がみえることによって今後の戦略も立てやすくなるかも?という考えでまとめました。
その中でも触れたように、日経平均とTOPIXがどちらが優勢かについては、
「日経平均の構成銘柄最上位を占めるグロースが優勢か、TOPIXの構成銘柄最上位に多いバリューが優勢か」
という点が大きく左右しがちです。
そのため、逆にNT倍率でグロース、バリューの力関係をみたくなる気もしますが、構成比率の差はあれど大型株であればどちらの指数にも上位として構成されているため、あまり参考にならない部分もあります。
そこで、「グロースか、バリューか」という点に特化した見方はないかということを考え、次のVG倍率をみてみることにしました。
VG倍率については以前にも少し触れたことがありますね。
一般的に使われる言葉では無いため、改めてその定義を確認しておきましょう。
NT倍率が日経平均株価をTOPIXで割って求められる倍率であるのと同様に、VG倍率はバリュー指数をグロース指数で割って求められる倍率とします。
VG倍率 = (TOPIXバリュー指数) ÷ (TOPIXグロース指数)
では、TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数は何か。
これは上にリンクを貼った過去の(11月半ばの)週間noteにおけるコラム欄『バリュー・グロースの尺度』の中で紹介していますので、再掲しておきます。
これによりTOPIXバリュー、TOPIXグロースが定義づけられています。
さて、再び話をVG倍率に戻すと、
VG倍率 = (TOPIXバリュー指数) ÷ (TOPIXグロース指数)
として求められるものとしました。
これにより、バリュー指数がグロース指数より強ければVG倍率が上昇、逆にグロース指数が強ければVG倍率が低下します。
NT倍率と似ていますが、NT倍率でバリュー・グロースの力関係をみようとしたときに困るのは、大型グロース株が上昇した際、日経平均株価もTOPIXもともに持ち上げられるため、「(グロース・バリュー株の)構成比率がどちらが大きいか」に左右されるという点がNT倍率の値動きにとって重要なのであって、本質的にバリュー・グロースの力の差を見られるものではないという弱点があります。
もちろん、その構成比率が日経平均はグロース優位、TOPIXはバリュー優位と傾向はあるものの、例えばこの前のNT倍率に関する深掘り記事の構成比率の差を見た時にもあった通り、ソニーグループの構成比率はTOPIXの方が高くなっていますので、銘柄によってはグロースであってもTOPIXをより動かすということになります。
その点を補う意味で、VG倍率という「バリュー・グロースではっきりと分けられた指数」の強弱を計る尺度をみてみることにしました。
こちらもまたやや弱点といえる点があります。
それは、TOPIXバリュー指数・TOPIXグロース指数を動かしやすい銘柄がやはりそれぞれあるということ。
例えば、バリュー指数では銀行株の影響が大きいため、株価全体が下がっても銀行株だけは強いという相場ではバリュー指数がやたらと底堅い動きをします。
これは2022年末~2023年の日銀会合においてサプライズ的な政策修正となった際に見られた動きとして経験があります。
この場合は「銀行株・保険株が強かった」のであって、「バリュー優勢」と言っていいのか怪しいですね。
このように、バリュー・グロースそれぞれの中での強弱感にも左右される面があることには注意です。
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