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「肩が痛い、上がらない」をどう診て、どう判断・治療するか。[頸椎症?腱板?]専門医の話。

脳神経外科・脊椎外科メモシリーズ始めます。
今回は肩が痛い、肩が上がらない場合にどういう病気が考えられるか、そして治療はどうするかという話をします。

医療関係ではない方は、我々医師がどのように考えて処方をしたり、説明しているか、逆の立場から感じられる投稿だと思います。今まさに肩の症状でお悩みの方に寄り添える内容であれば幸いです。

さて、よくある二大疾患は頸椎症と腱板の病気です。
どちらも薬や注射、リハビリ、手術と治療は多彩です。

時間のない研修医の先生、非専門医の先生はフローチャートだけでもご覧ください。

明日からの診療か変わる、患者を診る世界が変わる、そんな投稿を目指します。

『肩が痛い、上がらない』診断フローチャート

①肩以外にも症状がある → 脳梗塞など全身評価

②症状は肩だけ
外傷あり → 骨折等をレントゲンで評価
外傷ない場合、上腕骨二頭筋の筋力低下、肩甲部痛は?
  ある→ 頸椎MRI(頸椎疾患)
  ない→ 肩MRI

※頸椎疾患の肩の痛みは肩甲骨の内側の痛みが特徴的です。

さらに余談

A)頸椎症の場合

麻痺がなく疼痛だけなら、カラー固定、プレガバリン25-50mg 分1寝る前、ミロガバリン2.5-5mg 分1寝る前辺りを処方。ノイロトロピン 4錠分2を追加しても良い。
麻痺がある場合、ごく軽度や微妙な左右差くらいだったら、上記内服とカラー固定で、2-3週間毎フォロー。それよりも麻痺が強ければ脊椎外科へ紹介。麻痺は半年放置すると、手術でも改善は難しいので、保存療法で2-3ヶ月改善しなければやはり脊椎外科へ紹介
その他、痛みが強くて内服やブロック治療でも効果乏しければ、経皮的内視鏡での低侵襲手術(PECF)もあるので困ったらすぐ専門医へ相談でよい。

ちなみに手術では、疼痛は治りやすいが麻痺の改善には3-12ヶ月程度必要。近位筋に比べ遠位筋の方が改善しにくい。

B)腱板断裂の場合

3ヶ月以上保存療法でも治らない、スポーツ復帰希望あれば専門医へ
ただし、診断後すぐに紹介してもよい。(手術の利益やリハビリなども含めて総合的に判断が必要になるため)

余談の余談:頸椎症性神経根症に対する私の処方。

ミロガバリン 5mg1錠分1 寝る前 で開始し、10mg分2 朝・寝る前、その後は最大30mgまで増量。
ノイロトロピン4錠分2や、麻黄附子細辛湯 6カプセル分2、桂枝加朮附湯 3包分3、桂枝茯苓丸 3包分3などを重ねることも少なくありません。

神経根ブロック、星状神経節ブロックも適宜行います。

実際この病気では、手術しないで6-9割の患者さんは治ります。なのでいかに治るまで痛みを最小化できるか、ということを意識して対応しています。

参考になれば幸いです。

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※好評なら、他の主訴もやります。

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