【実践済】若手(研修医)がコスパ・タイパよく成長する方法、その3。ローテートでは、適切な目標設定により心身を安定させ、成長を最大化しよう。
今回は研修医の先生がいろんな科を回る時の心構えについてお話ししたいと思います。
結論から言いますと、
しっかりと目標設定をする
ということです。
なぜなら、効率良く成長するには、
自分の能力を少し上回るタスクをこなし続ける
ことが大事で、そのためにはちゃんと目標設定することが必須だからです。
何となくではダメです。
指導医側からすると、
「この研修医の先生はどんなことに興味があるのだろうか?どれくらい熱意があるのだろうか?」
ということは知っておくと、研修医の先生に対して接しやすくなります。
今度自分の科にやってくる研修医の先生が、自科志望の先生であれば、熱心に教えようと思うし、逆にそうでなければある程度のレベルや、研修目標を達成できる程度にしておこうかなと思います(お互いのために)
病院あるあるトークで、
「先生は何科志望なの?」
という話はほぼ毎日どこかで話されている内容かと思いますが、
例えば、内科系か?外科医か?マイナーか?
「◯◯科と△△科で迷っている」
など、おおまかな方向性だけでもわかっていると、こちらもその研修医の先生にどのように研修の時間を使ってもらおうかと考えやすくなります。
私の体験談
私の体験談で言いますと、
脳神経外科を回ってきた研修医の先生に対しては、
内科志望であれば、内科系当直で困らないように頭部CTの読影、神経所見の取り方、脳卒中などの神経救急の対応方法を中心に関わってもらうようにしています。
外科系志望においては、同様に当直で困らないよう頭部外傷の対応方法、集中治療で用いる薬剤の使用方法、気管挿管、人工呼吸器、縫合処置、中心静脈カテーテルなどが多いです。
くも膜下出血の管理では中心静脈カテーテルを患者さんに留置して、中心静脈圧をモニターしながら水分管理を行ったり、複数の点滴を投与しますので、実は抗がん剤で中心静脈カテーテルを留置することが多い血液内科の次?くらいにこの処置は多い科かもしれませんね。
リハビリ科志望の先生も実は2年目の選択で志願して来てくれることも多いので、その時は相談しながら学びたい内容を確認しますが、そういう先生は急性期にどんなことを脳外科でやるのか、それ自体を知りたい先生も少なくないのであんまり細かいこと気にせず指導しても、それなりに満足してくださいます。
とはいえ、おすすめは主治医の面談に入ることです。
リハビリ科を標榜すると、基本的には急性期の治療を終えた患者さんを受け持つことになるので、我々脳外科医がリハ医の先生にバトンタッチする前に患者さんにどのように説明するのか、なんとなくでも見てもらえると良いかなって思います。
逆にこの機会を逃すと、3年目以降はあまりこういった経験はできません。
自分の志望科でないと科を回る時
さて、次に自分の志望科でない科を回る時はどうしたら良いかという話をします、
正直、素直になんでも見ておこうよ!
と言いたいところですが。
今思うと、初期研修の間って、本当いろんな先生と関われて楽しい期間でした。
3年目以降は、あの時の大切さを認識できておらず、10年もたつと、当時の初期研修の知識は完全に昔のものとなりますし、初期研修時代にもっと他の科のことやっとけばよかったなーって後悔することも少なくありません。
ただ、それでもなんとか自分の志望科につなげたい、という人は当時の初期研修時代の私のやり方をご紹介します。
◯循環器科
・心筋梗塞のカテではなく、不整脈のアブレーションで中心静脈穿刺を経験したい(脳外科の処置で必要だから)
・心不全の輸液管理、利尿剤などを学びたい(脳外科の患者管理で必要だから」
◯呼吸器内科
・肺炎治療、気管支鏡、胸部画像の読影
(いずれも脳外科患者管理に必要だから)
◯内分泌内科
・糖尿病患者の輸液管理、インスリン管理、下垂体疾患の患者管理など
◯形成外科
・外科当直時の小外科、傷の管理を学びたい
…など、常に
自分が3年目に進む脳外科に必要なことを勉強したい
なんて、生意気な態度で研修していました。
このように書きつつも、やはり当時の自分は生意気だなって思いますが、志望科以外でもモチベーションを維持するためにはそうせざるを得なかったのかなとも思います。
ちゃんとした教え方を知っている上司も少ない?
回ってくる研修医が何を求めて、何が必要か、研修し始めまでに、ちゃんと目標設定を手伝ってくれる上級医は少ないですから。
実は教える側も、どのように若手を指導すればいいかわかってない人は多いです。
初期研修はテストがあるわけではありません。
なかなか自分の成長を実感できず、成功体験も積むことが少なければ、自己肯定感も得られにくいと思います。
それでも、しっかりと目標設定をしましょう。
それをこなしていれば、成長していると実感できます。
メンタルを保たやすくなります。
スポーツにおいても体調が悪いとちゃんとパフォーマンスは発揮されませんし、それは日々の臨床も同様です。
心身共に安定し、自己のパフォーマンスを最大化するようしっかり寝て、目標に向かって頑張りましょう。
ちなみに、3年目以降もこういったことは継続が望ましいです。
だって…専門研修ですからね。
目標設定は上の学年になるほど、若手のように「◯◯の手技を経験する」など具体的な内容にならず、抽象化しやすいですが、それでも継続的な目標設定、そしてそれをこなし続ける姿勢が大事だと感じています。
本日はこの辺で。
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