(仮)猫である僕を日本全国の旅に連れていってくれてありがとう第2話「3つの楽しみ」
ぼくには最近、楽しみな事が3つあるんだ。
その1つが、ぼくが昔によく通っていたコンビニというお店にジュンと一緒に散歩しに行くこと。昔、まだぼくが野良だった頃、このお店の人間がよく食べ物をくれたのだけれど、それが溜まらなくぼくは好きだったんだよね。ジュンとヨメに飼われてからは遠のいていたんだけど、まさかこんな形でまた来れるとは思わなかったよね。
そうそう、ジュンとヨメというのはね、ぼくが彼らに名付けた愛称さ。ぼくに「フア」と名付けてくれたんだから、ぼくだって彼らを愛称で呼びたいからね。
家を出てからジュンと並ぶように歩く。彼の方が大きいからぼくが見る視界とは異なるけども、同じ風景を見ることに違いはないから、なんだか彼と共感するようで嬉しくなるよね。
やがて目の前にコンビニが見えてくると、ぼくはコンビニの前でお留守番さ。ぼくがコンビニのドアの前でお留守番していることに最初はジュンがビックリしていたけどね。
そんなにビックリするような事なのかなぁ~、ぼくはただジュンに迷惑をかけたくないから当然の事をしているだけなんだけどね。でもね、それを褒めてくれるジュン、それだけでね、ぼくは凄く嬉しくなっちゃうんだ。
時にはコンビニで手に入れた美味しい食べ物を貰えるし、一緒に散歩も出来るし、褒められるしで、良いことだらけ。だから、コンビニへの散歩が楽しみで仕方ないんだよね。
まぁ、でもね……一度ぐらいはコンビニの中に入ってみたいという気持ちもあるのが本音だけどね。だってさ、中には一体何があるのか凄く気になるからねぇ。
それでね、もう1つの楽しみというのが夜なんだ。
この家に来て、ジュンとヨメと少しずつ仲良くなることが出来たことで、ぼく自身も最近は感情を素直に出せるようになってきたのだと思う。
だから、ぼくはね、ぼくの感情を思う存分に出して甘えることにしたんだよ?
それはね、ジュンとヨメと一緒に寝ることさ!
2人が寝る布団の間にぼくも一緒に入り込んで、2人の温もりを感じながら最高の気持ちよさの中で寝るんだけどね、もうね、それはそれは心地よくて幸せなんだよね。
この時だけは、ぼくはジュンとヨメの子供になった気分になるんだ。そう、ジュンがお父さんでヨメがお母さん……だからこそ、きっとぼくは普段以上に感情を出して甘えちゃうんだろうね。
フフフ、3つめの楽しみってなんだと思う?
ぼくはね、野良だった頃から色々な場所に行くのが好きだったんだよね。だって、そこはぼくが知らない場所でさ、ぼくが見たこともない風景、ぼくが知らなかったことをいっぱい知れるってことなんだよ?
ぼくはね、いつも何かしらの刺激を求めているんだ。見知らぬ場所に行くとね、そんなぼくの刺激を満たしてくれる「何か」が必ずあるものなんだよね。
その「何か」は場所によって異なるけど、ぼく自身を成長させてくれるような気がするんだ。
それと同時に、ぼくは自由に好きに、ぼくが望む生き方をしていいんだって思えるんだ。
だから、見知らぬ場所に行く事は、ぼくにとって1つの生き甲斐でもあるんだよね。でも、ぼくは猫だからさ、どうしても行ける範囲に限界があったんだよね。
でもでもね、聞いてよ!
ある日、ぼくが家でまったりしている時にね、衝撃的な事をジュンが言っているのが聞こえたんだ。
それはね、ぼくを連れて「東北」という場所に旅に行くってさ!
東北ってなんだろ? それは、ぼくには分からないけども、旅に行くって言葉は分かるよ。どこか遠くへ行くんでしょ? そこは間違いなく、ぼくが知らない場所で、猫のぼくには絶対に行けなかった場所なんでしょ?
うぅぅぅ~、楽しみ過ぎるよー!
どんな場所なんだろ? どんな素敵な風景が見れるのだろ?
そんな楽しい想像に浸かっていると、睡魔が襲ってきてぼくの瞼(まぶた)が勝手に閉じて意識が薄れていったのだけど、1つだけ気がかりがあったんだよね。
ぼく、大丈夫かなぁ~?
あー、駄目だ。もう、この睡魔には勝てないから、考えるのを止めてぼくは寝ることにしたんだ。そして、ジュンの言葉を最後に、ぼくは完全に眠りについた。
「じゃ、明日から東北へ向かうか? ブログに書いとくわ! えーと、今日の日付は2018年4月4日やな」