前置詞の秘密!使い分けで差をつける英語力(2)
今日は昨日に続いて前置詞をとりあげます。題して「不幸を表現する『on』!」。日常会話でよく使われるのにあまり説明されない用法をご紹介します。
早速問題です。次の英文の意味は?
My wife died on me.
これ実は、
「妻が私を残して死んでしまった」
ということなんです。
ポイントはこの前置詞onです。「損害や被害、不利益」を表しています。
onは、中心となる意味が「接触」でした。
そこから「on + 人」で、「人に触れる」という行為は触れられた人にとってはいい面(プラス面)と、嫌な面(マイナス面)がでてきますね。このように意味が拡張していき、後者から「不快感や迷惑を表すon」が生まれたわけです。
My wife walked out on me.
これはどうでしょう?
そう、walk out + on meから「妻が自分を見捨てて、家を出てしまった」ということです。昨今こういう男性諸氏も多いのでは。この例からもわかるように「残して、置いてきぼりにして」という含みが感じられます。
My girlfriend hung up on me.
これはどうでしょう?
そう、hang upは「電話を切る」ですから、「彼女に一方的に電話を切られた」ということです。自分だけ受話器を握り締めたまま、相手にガチャとやられたというニュアンス。onが効果的に使われているため、こういういった意味合いが出てきます。
いかがでしょう。損害や被害、不利益を表すonの感覚がつかめてきましたでしょうか。ではもう一丁。
My buddies all ran out on me.
これは?
そう、run out + on meとうことから「仲間が皆、自分を置き去りにして逃げ去って行った」ということです。onの「接触」は、グッと押し付けて固定する感覚もあるので、圧力によって行きたいのに行かせてもらえない、自分だけ置いてきぼりの感じが伝わってきます。悲しいじゃあーりませんか。
追い討ちをかけるようにもう一丁。
My daughter shut the door on me.
これはいかがでしょう?
だいぶ、想像できるようになったのでは。
これは「娘が自分を部屋の中に残して、目の前でドアをビシャと音がするぐらい強く閉めた」ということです。
年頃の娘さんを持つお父さんはこういう経験をした諸氏も多いはず。
とまー前置詞onには、不快な思いをさせられた被害者意識を表す用法があるんです。この用法は意外と日常会話に出てきますよ。知ってると表現の幅が広がります。
ぜひご自身の運用知に加えてみてはいかがでしょう。