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[子育てx科学] 子育て視点で読む「日本人の9割が知らない遺伝の真実」 〜行動遺伝学〜

「日本人の9割が知らない遺伝の真実」を読んで、行動遺伝学の知見を子育てに活かしたい!という視点から要点を纏めた。
結論として大事なことは、【子育てで、親は子供の適性探しをするのが最重要】ということ!そして、転職や職種替えを恐れずチャレンジし続ける親でありたいと思った。

行動遺伝学の本がめちゃくちゃ面白かった!
知能と性格は遺伝の影響が5割で家庭内教育の影響はほぼ無いという絶望感。なんなら幼児教育も短期的影響しかない。
ならば【子育てでは子供の適性探しをするのが最重要】親は適性を活かしに転職もいいなも思った。

以下長文備忘録↓

【知能】知能検査は多数あるが、能力には大きく2種の考え方。 知能には8つの分野があるという【多重知能理論】、頭の良さのベース能力がありその装飾として特殊知能があるという【一般知能理論】。行動遺伝学的には後者が支持されるが、対立するものではなく両者関わる程度問題。

【IQ】知能検査で測れる能力が知能とも定義できる。どんな能力も社会的に認知されて初めて能力と定義される。 IQは脳全体と関わるが特に脳の前頭葉と頭頂葉の結びつきが関係。離れた両部分が同期して働く程IQが高い。脳の異なる部分のネットワークこそが知能の本質と言えるかもしれない。

【性格】性格のビッグ5 OCEAN=経験へのOpenness(好奇心)、Conscientiousness(勤勉さ)、Extroversion(外向性)、Agreeableness(協調性)、Neuroticism(情緒不安定性)。 好奇心以外はIQとの相関ほぼない。 BIS/BASモデルは、行動抑制と活性化の2つの仕組みが全てに関わる。BISはセロトニンBASはドーパミン

【一般性格因子】=GFPは「外向的、心が安定、知的好奇心、協調性、真面目」な性格を1つの値で表し、社会的適応性と相関ある。この因子は遺伝率が高い! GFPは単純な足し合わせでない非相加的遺伝効果あり=良い悪いがはっきりした性質でなく、一見悪くても特殊な条件にら有利の可能性あり。

【行動遺伝学】遺伝子100%同じ一卵性双生児と、50%同じ二卵性双生児の比較を、日本でも18年間1万組追跡調査。指紋数や体重、学力やIQ、うつや自閉症、反社会的行動は、遺伝的に似る(相関係数が高い)傾向。特に指紋や体重は遺伝の影響が顕著だが、少しの差異は家庭外(非共有環境)の影響。

【遺伝の影響】性格のビッグ5は3-5割が遺伝、残りは非共有環境。 認知能力や学業成績は5割以上遺伝し年齢が上がるにつれ遺伝影響が増す。家庭内(共有環境)の影響もある。
→遺伝の影響は5割程度あるが、それ以外は、性格は外の影響、学業は家庭内の影響を受けると考えて良さそう。

【ルーズさは学業成績と相関あり】家庭内外の影響に何があるか判別は困難だが、CHAOS=部屋の散らかりや時間のルーズさは、学業成績への影響を与えていそうだと唯一明らかな値!!因果関係は不明だが相関関係は確か。
→子育てで、ものの整理整頓や時間厳守は、守っておいて損はなさそう!!

【才能分野と遺伝】音楽、スポーツ、数学、執筆は遺伝の寄与率8割。ただし外国語の才能だけは共有環境(家庭内)の影響が現れる。 他に精神疾患や発達障害、ADHDなどは8割遺伝、逆にアルコールや喫煙など物質依存は共有環境(家庭内)の影響濃い。
→外国語以外、親の子育ての仕方は成長にほぼ影響しない!

【親と同じ特徴の子供が生まれることは極めて稀】 非相加的遺伝やポリジーンの複雑さから「遺伝は遺伝しない」と言える。遺伝子が異なれば異なる適応の仕方になる。 IQは7割遺伝、学力は5-6割遺伝。さらに学力は2-3割、家庭内の共有環境の影響。しかし求められる能力や適応すべき環境は多岐。

【才能は、生まれ持った遺伝と家庭外の環境から】親の音楽やスポーツ教育など家庭内の共有環境は、子供がそれを好きになるかには関わらないが、親が本を読む姿を見せるのは多少影響がある程度。 自分はこれが好き、これができるという感覚は遺伝的、それが環境に出会った時に才能が発現する可能性。

【家柄より遺伝】収入は遺伝の影響が2-4割、家庭の収入が高ければアクセスできる環境の種類が増え、そのため才能が発揮できる可能性。才能や知能は歳をとるごとに遺伝的影響が増す。 また遺伝は後から進化する=同じ遺伝情報でも異なる形質になる「エピジェネティクス」な変化の研究も始まっている。

【親や学校や教師の影響はほぼ無い】 基本的に子供への影響は遺伝と家庭外環境が主なのは前述の通り。 学習動機に対し教師の影響は2-4%程度、良い先生に出会って化ける確率は限りなく低いが遺伝と環境の交互作用を期待。
→親が注力すべき子育ては、子供が何に向いているか見つける手助け!

【幼児の早期教育の影響は限定的】 就学前学習習慣は「成長後犯罪を犯さず勤勉に仕事する」事には影響あり、ただし長期的持続は遺伝の影響のが大きい。 幼児期の知的英才教育はエリートになる事に関与しないが、成人後「まじめに生きる」ことへは関係。ただし21世紀は足枷となる日本的素養かも。

【思春期以降の家庭外環境が大事】心的形質の多くは遺伝と非共有環境(家庭外)によって決まる。 友達関係はまさに非共有環境。
→幼少期は、早期教育に拘らず子供が夢中な事があればそれ中心に手助けを。
→ 特に思春期以降は、友達から出会う世界や刺激、また本や夢中になれる事などの外の環境が大事

【個性は12歳から】12歳までは子供を大人にする教育、その後は社会に適応させる教育。12-20歳で知能の遺伝率が増加、その人らしさの芽生え。この時期に出会う外の環境の作用で、遺伝的形質が才能として発現するかも。
→本物のプロに出会わせることは重要

【社会のキッザニア化】 遺伝的素質を活かせる場所を探し続けられる社会が理想。得意が見つからないなら、100人以下の小規模コミュニティでさまざまな仕事をやってみて、適正を見出す。
→んー、もっと気軽に転職やjob changeしようかな!


以上、2022年5月読了。元ツイはこちら。


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