ふたつ折の物語(落)
あの子のまなざしがわたしをなだめた
わたしに語りかけた
生きる意味を与えてくれるものがなくても
生き続けるだろうという確信
純白のワンピース
黒いアイライン
つんと上を向いた乳房
太ももの付け根にあるほくろ
古びた段ボールと呑気なあくび
炭の欠片をひとつ選んで先を削る
バラ色の雲が徐々に丸く描かれていく
あらゆることが無用
痩せた膝を抱く
次々に呑み込んでゆく夜に
すべてが溢れ闇が歌う
うるさい蛙と酔っ払い
窓を開けて眺めている
青い闇、二つ折りにされていた夜が開かれる
なごやかなようで気まずい思い出
なんだったのかわたしには分からない
追熟が足りなかったすもも
どれくらい待つものかわたしには分からない
今ならいける
落ちれる
落ち方の、さいごは
まっさかさまか滑走系
旋回系かきりもみ飛行
アイスクリームが床にぽとんと落ちる
それはいや
今なら前にでれる
一歩二歩..
あの光と闇、反射、エレガントに
アイス•フロートのような浮遊で
わたしのページはわたしの手で閉じる
上昇したり下降したり
浮かんだり沈んだり
白とベージュと桃色を混ぜたバラ色へ
買ったばかりのヒールを履くこと
履き続ける前にヒールが折れるということ
確信から落ちれる
つぎはわたしのばん
どこにキスをするものが正しいのか
分からないまま
「水の底から太陽をみてみたかったな..」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?