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ウシガエル
その夏ぼくは二十七歳で
ガールフレンドが三人いた
一人は夫がいて
あとの二人はぼくの好みじゃなかった
好みじゃない二人のうちの一人の
アパートは田んぼの隣にあった
クーラーのない部屋の窓の外で
夜はウシガエルが鳴いた
肌を合わせながら
彼女は
ぼくの名前を呼び
好きと言った
それはたぶん
嘘ではなかったけれど
本当でもなかった
その夜
ぼくはシーツを汚してしまい
彼女は本気で怒った
ぼくはずっと笑いながら
謝っていた
窓の外では
ウシガエルが鳴き続けていた
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