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原付2025年問題:原チャリの終わりと新しい移動のはじまり。

バイクの保有台数は1000万台で横ばい。

日本国内においては人口減少と同じくバイクは減少傾向にありますが、実は保有台数というのはあまり変わっていません。現在、保有台数としては1000万台強で横ばいを続けています。ホンダとヤマハが50ccのバイクを製造しないというニュースがありましたが、おそらくスズキもこれに追随するでしょう。しかし、これは50ccのバイクが完全に消えるわけではなく、125ccのバイクの性能を原チャリ、つまり原付一種として販売を続けるため、いわゆる原付一種はなくなりません。

世の中でバイクの話題になるのはほとんど大型バイクや小型二輪が多く、原付一種についての話題は少ないです。しかし、保有台数1000万台のうち約430万台が原チャリといわれる原付一種なので、半分弱がほぼ原付の話です。原付一種と原付二種を含めると630万台となり、バイク全体の約60%が原付なのです。そして、走行距離で見ると原付一種や原付二種の方が日常や通勤・通学・ビジネスで使われるため、走行距離も多く、部品の流通も多いのです。

注:原付第一種および原付第二種は、2006年より4月1日現在の課税対象台数で、総務省の調査による。 資料:国土交通省、総務省


原チャリの車齢(バイクの所有期間)高齢化による補修部品需要は上昇

これが私たちカスタムジャパンの主力マーケットですが、実は原チャリというのは二輪車保有台数のうち半分ほどを占めており、タイヤやバッテリー、補修部品などの消耗品としては相当なボリュームがございます。

50ccの原付バイクが生産終了ではなく、125㏄の50㏄モデルで販売継続。

原動機付自転車(原付)の世界に大きな変化が訪れています。排気量50cc以下の原付きバイクの生産が、来年で終了することが決まりました。これは新たな排ガス規制により、小排気量エンジンの生産が技術的および経済的に困難になるためです。この動きに伴い、警察庁は125cc以下のバイクでも、最高出力を現在の50cc原付きバイク程度に抑えたものであれば、原付き免許で乗れるようにする方針を固めました。

総排気量50cc以下の原付きバイクは、2025年11月から始まる新たな排ガス規制の適用対象となり、技術や費用の面から今後は新たな生産、販売が困難になる見通しです。これを受け、警察庁は有識者検討会を設置して検討を重ね、21日までに報告書が取りまとめられました。その中で、125cc以下で最高出力を原付きバイク程度に抑えたものを原付きバイクと同じ車両区分とし、原付き免許で乗れるようにすることが適当、と結論付けられました。

新しい基準のバイクについては、不正改造を防ぐ構造にするほか、ナンバープレートの色を現在の50cc以下と同じ白色にし、見た目で見分けがつくようにする方針です。警察庁は今後、道路交通法の施行規則を改正する予定です。

現在、50ccの一種原付を販売している日本メーカーは、ホンダ、ヤマハ発動機(以下ヤマハ)、スズキの3社。カワサキモータース(以下カワサキ)はもう一種原付を販売していません。このうちホンダとヤマハは協力体制を組んでいて、ヤマハの販売する一種原付はホンダ熊本工場製造のOEMです。つまりホンダが生産を終了するということは、ヤマハも販売を終了するということです。おそらくスズキも同様に製造を終了するかとおもいます。

排気量50ccの新車が買える時代の終わりです。この件には市場の問題も関係しています。東南アジアも欧州も小型二輪車は125ccが主流になっています。一種原付という免許制度と共に、50ccが残っているのは日本ぐらいかと思います。もしくは、南米やアフリカで免許不要のモペットとしては未だに流通しています。

50ccの原付販売台数は原付ブーム真っ最中の1980年には197万8426台もありましたが、それが2022年には13万1340台にまで縮小しています)。50ccエンジンに現在の排ガス対策を対応しても、キャタライザーなどの部品コストや開発コストが大きく、投資の回収が難しいのです。しかし、世界で流通している125ccエンジンに統一すれば、大きな需要のある海外市場と合わせてコストを回収できるのです。

原付バイクの思い出を買うなら今なのかも。

バイクショップにとって、原付が無くなるのは大きな問題です。メーカーからの割り当て台数も決まっているため、実際にはかなり困難な状況になるようです。50ccの新車販売がなくなることで、大体として125ccをパワーダウンした新しい原付が販売される見込みですが、価格が高くなる可能性があります。その結果、今後は中古バイクや50ccの古い原付バイクを修理して乗るという流れになり、車齢がかなり長くなることが予想されます。これに伴い、部品の流通は増加するでしょう。
ちなみにこのトレンドを見越して、個人的にはノーマルエンジン6Vモンキーを増車しました。原付のレア車両は某ブランド時計と同様にインフレ率を超えた価格となり高騰していくと予想されます。

初めて購入したバイク。RZ50のエンジン搭載で速かった原チャリです。

懐かしの原付一覧はこちら。

さらに、50ccの原付の代わりとなる電動モビリティについても、現在の混沌とした状態から整理整頓されていく方向に進むでしょう。今はまさに変革の時期であり、カスタムジャパンは「乗る人を作る」というビジョンのもと、この部分について経営としてチャレンジしていきます。まだ現状は混沌としていますが、啓蒙活動を続けながら推進していくつもりです。

6世帯当たりに1台バイクというの日本のマーケット

1月に発表された2023年の全排気量保有台数推定値(二輪車新聞社調べ)は1034万5318台。2022年は1031万0955台となっているため、推定値での比較ではあるが、前年比100.3%と、ほぼ横ばいです。また、2022年の保有台数は、同じく前年比100.2%となっており、3年連続で数値に大きな変化はありません。

この保有台数をもとに、総務省が公開している「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の“世帯数”を用いて、全国の世帯普及率(二輪車1台を保有している世帯の割合)を算出してみた。すると、2023年は17.2%で、約6世帯当たりに1台バイクがあるということが分かった。

原チャリ製造終了と次世代モビリティー領域での混乱

原付の生産終了に関するこの変化は、国内のバイク市場に大きな影響を及ぼします。バイク利用者やバイクショップにも少なからず影響を与えることになります。特に、50ccの原付バイクは、通勤・通学やビジネスでの使用が多いため、その代替手段としての選択肢が求められます。
にも少なからず影響を与えることになります。特に、50ccの原付バイクは、通勤・通学やビジネスでの使用が多いため、その代替手段としての選択肢が求められます。
このような問題解決の一環として次世代モビリティの普及が進む中、昨年7月に道路交通法改正で新設された「特定小型原動機付自転車」と「特例特定小型原動機付自転車」という新カテゴリーにより、法制度の混乱が生じています。これらの新カテゴリーは、16歳以上で免許不要、ヘルメット装着は努力規定であり、速度制限や走行場所に関する規定がありますが、一般にはあまり理解されていません。

特定小型原動機付自転車は、動力が定格出力0.60キロワット以下の電動モーターであり、オートマであることが条件です。また、速度は時速20km以上出せないようになっており、車道の左端を走行することが求められます。歩道は基本的に走れませんが、「歩道走行可」の標識がある場合は例外です。この部分が非常にわかりにくくなっています。

一方、特例特定小型原動機付自転車は、最高時速6km以下で、電動車椅子と同じ扱いです。このカテゴリーでは、自転車が走行可能な歩道を走ることができます。同一車体が「最高速度表示灯」というグリーンライトを装着することで、特定小型原動機付自転車と特例特定小型原動機付自転車を切り替えることが可能です。

しかし、これらの新しい区分が導入された結果、利用者が混乱し、法制度に対する理解が不足していることが問題となっています。特定小型原動機付自転車は、免許不要でシャアリングされているため、利用者が十分な講習や試験を受けずに使用することが多くなります。

このため、利用者はしばしば、自転車と同じ感覚で時速20kmまで出せる状態で歩道を走行したり、従来の原付と同じ感覚で車道の中央を走行したりすることがあり、自動車のドライバーとの間でトラブルが生じやすくなっているように感じます。この点は啓蒙活動を強化して、新たな移動手段についての理解を深めていく必要があります。

https://montsame.mn/jp/read/341794


将来的には、特定小型原動機付自転車における次世代モビリティー領域が普及し、法制度も整備されることで、路上の混乱が解消されることが期待されます。今はまさに混沌とした変革の時期であり、カスタムジャパンは #ノル人をツクルる  というビジョンのもと、車齢が高くなるバイクパーツの安定供給と新しい領域での啓蒙活動を同時継続させながら業界に貢献していく所存です。
どうぞよろしくお願いいたします。


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