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マーケティング3分解説_②文脈設計とネーミング

前回の記事について

前回の記事を読んで頂いた方どうもありがとうございました。
引き続き不定期ではありますが、1ミリでも何かの気づきをご提供できれば幸いです。

前回はざっくり振り返ると自社の強みが活きるテリトリーを規定しましょうという内容でした。(※今回の内容を直接読みたい方は本題の所まで飛ばして頂ければ幸いです)

具体的には①使用用途②デモグラでブランドのテリトリーを切るという話でしたが、記事を読んでくださった方から「商材によって切る軸(使用用途orデモグラ)は決まっているのか?」との質問を頂きました。

もしかすると同じ疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんが、結論どちらでも切れると思います。

試しに化粧水やクリームで考えてみましょう。①使用用途で切ると「毎日の寝る前3分習慣」のような訴求になります。一方②デモグラで切ると「30代からのエイジングケア」などでしょうか。

ドモホルリンクルなんて②の代表格ですよね。

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逆に30代からのイメージが強すぎていつまでも若くいたい女性には抵抗もあるかもしれませんが。

ちょっと話はそれますが、それを打破したのはSKⅡです。長年桃井かおりさんを使ってましたが、綾瀬はるかさんや有村架純さんに切り替えて年齢層をグッと落としてきましたよね。

特にリニューアル後に行ったすっぴん素肌プロジェクトは圧巻でした。「有村架純と付き合わなくても有村架純のすっぴん見れるんだ。SKⅡありがとう...」と思ったのを覚えてます。

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まあこの辺の話は長くなるのでまた今度書きたいと思います。

本題(弱みを強みに変える)

さて今回は前回と真逆で商品やサービスの弱みについてです。

ブランドには少なからず消費者からのネガティブな声が存在します。それを1つ1つ潰していくことも物作りの姿勢としては素晴らしいことです。しかし、"ブランドの弱みはそのままで売れる方法を考える”のもマーケティングの醍醐味だと思います。

いきなりですが、みなさんとんねるずは好きですか?(みなさんという問いかけはややこしいですね。すいません笑)

僕は大好きで「とんねるずのみなさんのおかげでした」を毎週見てました。その中でも「きたな美味い店」というコーナーが特に好きでした。

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具体的にはとんねるずが豪華ゲストと一緒に店構えや内装はめちゃくちゃ汚いが、とにかく美味い料理を出す店を巡るというコーナーです。

SNS全盛の時代に店が汚いなんて一般的に考えれば大きな弱みですよね。

でも見方を変えれば"ボロボロになるまで地元の人に愛されている"ともとれますし、"それくらい長年愛されているなら不味い訳がない!"とも理解できます。

そんな紙一重な部分を切り取った「きたな美味い店」のコーナーが秀逸で大好きでした。

実際にこのコーナーが放送されてから僕の中で汚いお店に対する認識が「入りたくないな...」→「もしかしたら凄い料理を出してくるかも...!」に変わりました。同じものでも消費者のそれに対する認識は変えられることを示す好例だと思います。

じゃあどうやってそのような認識の変化を起こすのか?それがこのnoteの主題です。

弱みを強みに変えられる2つのヒント

前置きが長くなりましたが、個人的には「①文脈設計」「②ネーミング」の2点が重要だと思っています。軽く例を使って説明させてください。

①文脈設計
もしあなたがウォーターサーバーの営業マンならどう商品を買ってもらいますか?「水を飲むのは凄く健康にいいですよ。特にうちは南アルプスの天然水なのでお子様からお年寄りまでゴクゴク飲めます!1台いかがですか?」みたいな具合でしょうか?

当然それもいいと思います。では次の売り方はどうでしょう?

「知ってましたか?人の体って実は70%以上水分で出来てるんです。ある調査によると水分の摂取量とその人が感じる幸福感には相関関係も見つかってるみたいなんですよ。だから沢山水を飲むことは健康に重要なんですね。うちのウォーターサーバーは南アルプスの天然水なのでお子様からお年寄りまでゴクゴク飲めます!1台いかがですか?」

胡散臭さはおいといて、後者の方が体内の水分量や幸福度との関係の話を挟むだけでウォーターサーバーという製品そのものが際立ってると思います。これが文脈設計です。

ブランドの弱みを強みに変えるのもこれと同じで、なぜその弱みが実は重要なのかを理解させられる文脈設計が肝要です。
②ネーミング
いつからでしょうか。スパゲティをパスタと呼び始めたのは。同じ小麦粉で作った麺なのに後者の方がなんかオシャレです。また、「出会い系」と言うとドン引きされるけど「マッチングアプリ」と言うとなんか許されるのもなんでしょうかねあれ笑

つまり言い方一つで人間の認知ってすごく変わっちゃうんですよね。

一番身近な例はKFCでしょうか。僕はKFC大好きですが、唯一の弱みは”手がベトベトになること”だと思ってます。

でもKFCのキャッチフレーズ知ってますか?

Finger Lickin’ Good(指を舐めちゃうぐらい最高)

なんとなく手がベトベトになるのもポジティブな感じがします。このように弱みもネーミング次第で強みへと変えられると思います。

ではここから、上記の2つ(①文脈設計と②ネーミング)を上手く使ってブランドの弱みに見える部分を強みに変えたケースを見ていきましょう。

ケース(肌ラボ)

「肌にいいコト肌ラボ♬」のCMでお馴染みの肌ラボです。

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あまり知られてませんが販売元は化粧品会社ではなくロート製薬という製薬会社です。

発売当時の市場には化粧品メーカーの製品が多く、どこも「肌への浸透感」を訴求していました。

しかし、製薬会社ならではの手法で開発された「肌ラボ」は粒子の大きなヒアルロン酸を使用している為、肌への浸透感は少なく、むしろ肌がベタベタになります。

当時のトレンドと逆行しており、シェアも厳しかったそうです。

では、この状況でどうすれば”肌がベタベタになる”という弱みを強みとして認識させられるでしょうか?ヒントはもちろん「文脈設計」と「ネーミング」です。












肌ラボが辿り着いた答えは「このベタつきこそが保湿された証拠」(=文脈設計)、「手に頬がくっついて離れなくなるほどの”もちもち肌”」(=ネーミング)というコミュニケーションでした。

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①文脈設計
同じベタベタの化粧水でも「このベタベタは保湿を生んでる証拠なんですよ」と言われるだけで一気にポジティブなイメージになりませんか?

このアイデアは肌ラボを使っている消費者の方へのインタビューから着想を得たそうですが、非常に説得力のある文脈設計だと思います。

②ネーミング
これも「ベトベト」を「もちもち肌」と言い換えるだけで、一気に「避けるべきもの」から「目指すべきもの」に変わった感じがします。

最近でもASMRなどを通じて一貫して肌のもちもち感を伝えています。

このようなコミュニケーションを始めた結果、肌ラボは今ではみんなが知る大人気商品に。日本のみならずアジア圏でも販売されるブランドへと成長を遂げました。

まとめ

今回はかなり長い記事になってしまったので一旦ここで切ります(笑)

今日紹介した文脈設計とネーミングの他にも弱みを強みに変える方法は沢山存在すると思います。ただ根底に共通しているのは「商品は同じでも消費者のそれに対する認知・記憶を変える」ことです。

この記事の例のように、売るものはなかなか変えられなくても人の認知は変えられる可能性はあります。そして僕はそのヒントが文脈設計とネーミングにあると思ってます。

そこを理解して頂ければこの記事を書いて良かったです!本当に読んで頂きありがとうございました!

最後にもう1つ番外編を記載します!

番外編

海外のセブンイレブンとか行くと、自動ドアの横とかでこんなフローズンドリンク売ってるのみたことないですか?

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Slurpeeという商品ですが、消費者へのアンケートでは「冷たすぎて頭が痛い!」という声が多かったようです。

そこでセブンイレブンはどうしたでしょうか?もちろん、フローズンドリンクの温度を上げたとかそういうことではありません。

応えはシンプルで「Brain Freeze(脳を凍らせるくらいの冷たさ)」というキャッチフレーズと共に売り出したのです。

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肌ラボの例と同じで頭が冷たくなることに寧ろ挑戦したくなりませんか?笑

このように言い方1つで消費者の認知は結構変えられる可能性があります。

最後はSlurpeeのBrain Freezeを体現したかのような可愛い写真でお別れです。読んで頂きありがとうございました!

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