米国で若者のテレビ離れは本当に起きているのか?
今朝、「Z世代は短尺動画と同じくらいテレビを見ている」というタイトルの記事が配信されて来た。
ところが、記事を読んでみると、「91%のZ世代がほぼ毎日スマホを使う。66%がほぼ毎日テレビを観る。10人中6人が自室にテレビがあると回答」
と書いてあります。
91%と66%を比べて「同程度」というのも乱暴ですし、設問自体が「観るか、観ないか?」であり、どのくらいの時間観ているのか?には触れていません。
結論も、「Z世代はスマホの画面以外を見ない訳でも、テレビを全く見ない訳でもない。マーケターは、異なるプラットフォームに対し、様々なコンテンツフォーマットでアプローチする必要がある」
もちろん、結論には異論ありませんが、相当、結論ありきの文章であるなと思った次第です。
恐らく、この手の議論で大切なのが、「テレビとは何か?」という点。テレビという機材(ハード)の話をしているのか、テレビ放送(地上波)というソフトの話をしているのか。
米国の場合、地上波とケーブルテレビが共存する時代が長く続き、その後、ストリーミングサービスとスマートテレビの普及で、従来のテレビという機材で視聴することのできるオプションが、一気に拡大しました。
2020年9月に私が渡米し、前任者から譲り受けたテレビは、リモコン1つで地上波、Netflix、YouTube等が視聴可能。更に言うと、音声入力も可能で、「NBC」「ABC」「Netflix」とリモコンに語り掛ければ、画面が切り替わります。(私の発音が悪く、切り替わらないことはありますが:笑)
視聴者からすると、「テレビ」か「ネット」かという意識はなく、自分の前にテレビがあれば、テレビという箱を使って、観たいものを観る。そこには、地上波もケーブルもストリーミングも共存しています。
結局、テレビであるかどうかにこだわっているのは、放送事業者サイド。地上波はスポンサーからの広告収入で成り立っているので、広告付きの地上波放送を観てもらわないと困るという事情。
では、放送事業者は、どの様に対応していくのか?
NBC Peacockの様に、自らネット放送に進出し、収益化を図るというのが1つの解決策。
もうひとつは、今、Netflixで話題の「金魚妻」の様に、フジテレビの番組制作ノウハウを活かして、ストリーミング配信業者(Netflix)と共同制作を行い、収益を分配するという方法。
スポンサーは、従来の様なスポット広告を入れられなくなるので、プロダクトプレースメント(作品の中で商品を登場させる形での広告)という形に移行していく。
金魚妻でも、屋上で花火を見上げながら、さくら(篠原涼子)とはると(岩田剛典)が金麦を飲むシーンが印象的で、金麦が飲みたくなりました。
今回は、「テレビ離れとは?」というテーマを掘り下げてみましたというお話でした。
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