朝礼と乾杯は元気良く
社会人一年目。
当時、僕はアパレルショップ店員だった。
一部上場、全国転勤有り、早ければ一年で店長職。経験が積めそうで入社した。
厳密には服の小売業で、製造卸のアパレルとは違うのだが一般通念上アパレルとする。
社会人一年目は、とにかくお店に行った。社宅から徒歩5分ということもあり休みの日も行った結果、1年で丸1日店にいないのは3日とかそんなもんだった。
その甲斐あってか、新店舗の副店長に入社7ヶ月ほどで就くことになった。ちなみに店長は、入社歴3年の新任店長。
新店舗の立ち上げはスタッフ教育、一からの売り場作り、オープンセールの準備とてんてこ舞いであった。
その上新業態の店舗だったので、社長などもよく視察に来る。そういったこともありサブスーパーバイザー(以下SSV)が常に店にいた。
通常SSVは巡店するので、朝礼からいる機会は少ない。まして副店長の朝礼はあまり見ない。
このSSVがとにかく人に厳しい。ただ、それ以上に自分に厳しい。夜中3時に業務メールがお店に届いているなんてザラで完全ワーカホリック。尊敬と畏れを抱かれる人であった。
緊張もありつつ朝礼をして、言われたのが、
「お前の朝礼はダメだな。ちょっと、そこでしばらく挨拶の練習しろ。」
連日、遅くまで仕事+ヘルプ店長含めた飲み会で家に帰るのも2,3日に1回。店の準備もしたいし、そんなことやってる場合じゃないというのが本音である。
しかし、命令は絶対である。30分ほどフロアに向かって挨拶をしていると…
SSV「ちょっとはマシになったな。いいか、朝礼は大事だ。昨日までの進捗の確認、今日の目標、そのためのそれぞれの役割、それを伝えなきゃならない。」
そんなのはやってる。しかしその後が本題だった。
SSV「そして、全員が楽しく仕事をできるようにしなきゃならない。辛そうだったら、フォローしあえる空気を作らなきゃならない。そうして初めて全員がビジョンを共有して目標に向かって走れるんだ。10分程度だが、1日が決まる10分だ。お前の朝礼はどうだったんだ?」
・・・・・・
ただ伝えるだけで、全員の顔を見ていなかった。忙しさで声も出てなかった。笑顔もなかった。これじゃモチベーションはあがらない。
SSV「この間の飲み会での乾杯の時の方が元気だったぞ。お前は元気だけが取り柄なんだ。忘れるなよ。」
そう言ってSSVは笑った。
僕は器用なタイプではない。以降もまだまだ役割分担や伝え方でダメ出しをされたが、最低でも元気だけは出すようにした。
沢山の助けもあり、オープン初日の売り上げはその新業態のお店で最高の売上を出すことができた。
現在は、アパレル販売を転職をしてデスクワークになったが、今でも当番制の朝礼では褒められる。
朝礼というと、朝から面倒そうだったり、把握していることをまた伝えるだけとか、何だかブラックっぽいだとかそんなイメージも抱きがちだが、一日の仕事のスタートを切る重要な場だと思う。
今後も、楽しい飲み会が始まる乾杯のように、声も高らかに行っていきたい。
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