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三光丸クスリ資料館

リタイア生活を株式投資で楽しむモト3の妄想エッセイ

妻の「行ってみたい」に誘われて、奈良盆地の南の端の方にある「三光丸クスリ資料館」を訪れた。

「三光丸」という名前はどこかで見たような感じだが、確かな記憶はなかった。もちろん使ったこともなかった。子供の頃、私の実家では胃腸の調子が悪い時はいつも「正露丸」だった。

20年ぐらい前に、もう忘れてしまったが何かの縁で「陀羅尼助丸」を使うようになった。自分の体質には合っていると実感していた。陀羅尼助丸も三光丸と同じように奈良県の和漢薬だ。こんなちょっとした親近感を持ちながら資料館を訪問した。

三光丸クスリ資料館はまず玄関が立派。建物も歴史の重みを感じさせる作りになっている。何度もリニューアルを繰り返したようで、綺麗でわかり易い展示になっていた。

三光丸は700年前から同じレシピで調合されているらしい。昔の道具が置いてあり、実際に手に取って材料を細かく粉にしたり、薬袋を作ったりできる。

今回の訪問で印象深かった点をいくつか紹介したいと思う。受付から資料館まで案内して頂いた館長さんによると「この会社は7百年間三光丸しか作っていない」と謙遜して仰っていたが、これは逆に凄いことだ。

三光丸の商品力が如何に卓越しているかの証明に他ならない。京都の老舗でも、店の歴史は300年とか400年ぐらいが多いらしい。三光丸は700年である。経営の秘密は何だろうかと興味が湧く。

資料館の隣が三光丸の製造工場らしい。だが、なぜこんな少し不便な場所に資料館や工場が建てられているのだろう? 私の様な浅はかな感覚では、近代化の際に広い国道に面した場所に引っ越した方が便利だと考えてしまう。

私は車を運転して資料館へ行ったが、到着する数キロ手前から狭い道の連続だった。車一台しか通れない道では、前方に対向車を発見したらすぐに停車し、対抗可能な場所を探さなければならない。

私の場合、4回ほど対向車に出会ったが、相手は地元の方らしく道を譲ってくれる方が多かった。運転の下手な私にはストレスを感じるアクセスだが、三光丸には歴史や伝統を守るための大切な聖地なんだろうと想像する。

資料館に置いてあった持ち帰り自由の印刷物も面白かった。
「18歳と81歳の違い」
・道路を爆走するのが18歳、逆走するのが81歳
・心がもろいのが18歳、骨がもろいのが81歳
・恋に溺れるのが18歳、風呂でおぼれるのが81歳
・・・・
「つもり違い10か条」
・高いつもりで低いのが教養
・低いつもりで高いのが気位
・深いつもりで浅いのが知識
・・・・
なんだか自分のことを見透かされているようだった。資料館の見学が終って記入したアンケート用紙を返しに行くと、レトロな袋に入ったお土産を頂いた。見学も無料なのに。帰りがけに三光丸1箱を購入した。試してみたいという気になった。

世の中にはこんな会社があるんだ、と私には新しい発見だった。企業を評価するのに単純なフィルターやテンプレートで見てはいけないのだ。この体験を株式投資に生かさなくては!と思った一日だった。
<了>


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