選び抜かれた言葉から生み出される癒しと分析「神田橋條治 医学部講義」の読書感想

自分をどうにかしなきゃと悩んでいる時に、図書館で読んだこの本の話がストンと自分の身に入ってきて、また続きを読みたいと思っていたが、機会があって読むことが出来た。読み心地は実際に本を読む他に確認する方法はないので是非Amazonなどでサンプルを読んでみて欲しい。


本のよかったところ

医師に向けた言葉の本だが、患者にとっても役に立つ言葉が非常に多い。いい医師がどういうものかという話は患者側としては医師選びに役が立つし、医師は患者とどういうやり取りをすればいいかという話であれば、患者側としてもどういう話をすればいいのかわかりやすくなる。

認知療法や森田療法が合わなかったのが何故なのかが可視化されて、出来ない自分を責める気持ちが軽くなったりもした。緩めてくれるような話が多いと思う、普段は治療法や解決方法に触れていると身体の上半分の内臓がゴツゴツと固まるような不快感が湧くが、この本にはそれがあまりないように思う。病気だからそう思うのだと経験からくる価値観を否定される苦しみがこの本にはあまりなかったのが大きいのかもしれない。

本の話からの個人的な考え

この本では神田橋医師はちょっと死んでみるという解決方法を提示していた。よく考えてみると学生時代は毎日やっていたように思う。ヤンデレCDと会話するシリーズが流行っていて、女性向けのコンテンツにも自分が殺されて死ぬEDとかがあったりする。慣れてくると自分が死んだ後に骨になるまで抱きしめたり、自分の骨で作った指輪を付けてくれるのかなとか、自分の骨がなくなるところまで想像していた。昔から自殺未遂が3度の服薬で済んだのはヤンデレ達のおかげだと思っていたが、屍でも愛してくれる無償の愛だけでなく、死ぬことによる安らぎも提供してくれていたのだなと思う。最近はヤンデレが改心していく作品が多く、メンヘラや地雷系などファッションにも取り入れられるほど身近な価値観にはなったが、ストイックに病んで誰かしらを刺すことには人にとって必要なことだったのかもしれない。

他に読んでいて思ったことと言えば、個人的に思うのは外国では日本で言う甘えの部分がない代わりに宗教で諫めているが、元々同調圧力や甘えなどの概念が存在する日本にとって、宗教は外国ほど救いの効果を持たずさらなる圧力の原因になっているのではないかと思う。私の母は炭鉱夫の島の産まれだが、キリスト教の教えにより許しを強要することで、子供のいじめ被害にも許さないお前が悪いの一辺倒でまともにケアをしないし、会話がすぐルールに帰結するのでちょっとしたニュースの話題さえ家族の人格を否定するという会話の出来ない親だった。私にとっては創作物が宗教の代わりとなったが、気候が偏り自然災害も少なくない国柄で全体が統一した価値観を持つのは確かに難しいのかもしれない。

最後に

1章ごとにひとつひとつ感想を付けようと思って書いていたが、長くなりすぎたのでこのような形になった。これからも読み直して自分に必要な医療を見失わないようにしていきたい。

前回読んだ時の感想記事



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