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新作をつくりながら振り返る15年

こんにちは望月桜です。

梶浦由記さん30周年ライブに急遽行ってきて(友人に感謝しかない…)、こころが洗われるとともにいろいろなことが走馬灯のように蘇り、2024年を迎えるにあたり気持ちをあらたにすることもできた素晴らしいライブでした。

梶浦由記さんの音楽について語りだすと10万字を超えてしまうのでここでは自重しますが、去年はレコード大賞も受賞されみなさまご存知だと思います。日本の誇る偉大な作曲家です。

私の半生は梶浦さんの音楽とともにありました。

とくに漫画家になってからの15年間(ちょうど梶浦由記さんの30周年の半分です!)、創作のかたわらにはずっと梶浦由記さんの音楽がありました。

今日とくに思い出していたのは以前一番漫画家を「辞めたかった時」。
SAO(ソードアートオンライン)のサントラ5CDをエンドレスで流しながら10日くらいまともに寝ずにネームをしつづけていた時です。

あの時はもうつらすぎて細かいことが記憶から飛んでいるんですが、SAOの曲を聴くといまでも「たいへんだったなあ…」と思い出します。あの時漫画を辞めなくてよかった。

思い返せば嬉しい時よりも辛い時に支えてもらっていました。「ヒストリア」のサントラは主にネーム中に、作画になると「.hack」やKalafinaをずっと聴いていました。
限界が近づくと映画やドキュメンタリー番組などの動画が見られなくなるので音楽を聴きますが、ネーム中などは日本語、英語など「意味のある歌詞」のものが聞けないので、梶浦由記さんの造語歌詞のサントラがありがたいのです。

音楽は不思議なほど記憶と結びつきます。

今日はくしくも連載がすべて完結し来年発表する新作をつくっている最中に、自分の漫画家としての15年間を梶浦由記さんの音楽を通じて振り返る機会をいただけた、運命的なタイミングでのライブになりました。

連載貧乏でお金がなさすぎてライブに行けなかった頃、友人がチケットを奢ってくれて、必ず自力で来れるようになろうと誓った日のこと、

はじめて地方まで遠征する余裕ができてライブのために仕事道具を持って全国飛び回ったこと、

忙しすぎて描く以外なにもできなかったときも、

描くのがつらすぎてやめたいとなったときも、

精神を病んで水も飲めなくなり生命の危機を感じたときも、

また頑張ろうと立ち上がった日のことも、

逃げた日も奮い立った日も諦めた日も悔しい日も消えたい日も喜びの日も

15年間のだいじなものをすべて。

素晴らしい音楽を生で体に浴びることで引き出してもらいました。しまいこんでいたあのときの感情たち。

ふだんは仕舞い込んでいていいのですが、今日はこのタイミングで全部ひっぱりだしてよかったです。必要な作業でした。

月曜日の打ち合わせには、この気持ちをもっていきたいな、という感情も引き出してこれました。
作品に落とし込むピースも不思議といくつも生まれました。

そしてまだあと15年、わたしも30年目指して描きたいです。
まだ見ぬ道を手探りで進むことは怖いけど悪くはないと、今までの15年を振り返って思います。

一歩先も見えずに怯えるしかなかった昔の自分を思い出してなつかしくなりました。

今は三歩くらいは見えるようになったかな。三歩だけ。
一歩は編集さん、もう一歩は読者さんです。

今までの15年は、良くも悪くも自分のために描いていました。これからの15年は、自分以外のために描いていきたいと思います。

来年は新作3本!の予定です。

楽しんでいただけるようがんばります!



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