マガジンのカバー画像

あじしめコラム

9
最初のやつが意外と読まれたことに味を占め、だいたい週一で連載しているコラムです。コメントやスキ、フォローをいただけると大いに喜びます。
運営しているクリエイター

2018年6月の記事一覧

受容される悪役、拒絶される悪役

物語に不可欠な登場人物とは誰だろうか。主人公、ヒロイン、親友。その他諸々あるだろうが、その誰もがいなくても物語は成立する。常に三人称で進む群像劇や、ヒロイン不在のむさ苦……硬派な物語、孤独な主人公の苦悩を書いた内省的な物語などなど。案外なんとかなるものだ。 では、物語に不可欠な登場人物とは? ……それは悪役である。彼らは物語になくてはならない変化を持ち込む。何も変化しない物語をあなたは想像できるだろうか? おそらくそれは難しいだろう。それはひどく退屈で、面白みがなく、記憶に

死人が出る物語は安直か

死者が出る作品に対し、「安直」や「レベルが低い」といった批判を目にすることがある。誰かが死ぬことはショックで当然であり、それで読者を感動させたところで大したことではない、という主張だ。しかし、本当にそうだろうか? ニュースでは毎日のように誰かの死が報じられている。不謹慎かもしれないが、それで感動したりショックを受けたりするだろうか? 見ず知らずの他人の死は「そうなんだ」と受け流してしまうことが多くないだろうか。 それはニュースで伝えられたのが単なる事実に過ぎないからだ。事

自分を疑う習慣

【前回を読む】 自分を信じることは大切なことだ。というか、信じられなければやっていられない。自分を信じられないとき、つまり自信がないときの行動はいつも不安がつきまとう。行動の主体はいつだって自分だ。その自分が信じられないということは、全ての行動が信じられないことと同じだからだ。 しかし自分を簡単に信じすぎると、また問題が生じてくる。支持を得ていると思ったら、いつの間にか見切りをつけられていたり。友達とはしゃいでいると思ったら、相手は本気で嫌がっていたり。そういう失敗は誰も