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VOL.20 異能の始まりは3歳のときに母が与えた図鑑だった

孫正義育英財団を知っていますか? 2016年、高い志と異能を持つ若者が才能を開花できる環境を提供し、未来を創る人材を支援することを目的として設立された財団です。

先日、財団生2人に話しを聞きました。そのうちの一人、春山侑輝くんは、小学2年生で財団生に選ばれました。

侑輝くんは、3歳の頃から微生物・寄生虫など、肉眼では見えないミクロの世界に興味を持ってから探究を続けています。

将来は生物学者になりたいという侑輝くんが、微生物に興味をもった最初のきっかけは、3歳のとき『大昔の生き物』という図鑑を買ってもらったことでした。図鑑で、原始生物の成り立ちについて読んだことから、古生物の世界の虜になっていきます。

図鑑を読み進むうちに、目に見えないミクロの世界があることを知り、興味の対象は、微生物や寄生虫などに広がっていきました。さらに、4歳で『人体の図鑑』という本を読み、山中伸弥さんの研究について知り、免疫学やウイルスにも興味を持ち始めます。

「これからは微生物の種類や働きについてもっと勉強して、新しい発見をしていきたい」と言う侑輝くん。財団生に選ばれてからは、免疫系や微生物の種類や働きに興味を持ち、原生物学会に所属して寄生性の微生物について研究をつづけています。

そんな侑輝くんは、赤ちゃんの頃から本を読んでもらうのが大好きでした。異能が開くきっかけとなった図鑑ですが、実は「何度も読んでと要求されるので、図鑑なら時間が持つかなと思って買い与えた」とお母さん。ミクロの生物に興味をもった侑輝くんの「もっと知りたい!」という探究心を満たすために、図書館に通っては関連のある本を借りてくる毎日。1ページでも魅力的な図表や写真があれば、子ども用にこだわらず専門書でも与えていたそうです。

繰り返し読んでもらっているうちに、教えなくても自然に自分で読めるようになっていきました。集中すると何時間も読んでいて、午前中に借りてきた50冊の本を夕方には読み終えていたこともあったそうです。

 しかし、大好きな微生物や免疫についても、お友達には話さなかったそうです。子ども心に、そういう話をしても浮いてしまうことを感じていたのでしょう。また、小学校は、先生が本の中に書いてあることを説明するだけでおもしろくなくて不登校気味。お母さんも、その頃が精神的に一番辛かったと言います。

そんなある日友人から財団のことを教えてもらって応募。選考会で、初めて自分が興味をもっていることを話せて、それをおもしろいねと聞いてくれる人に出会えて、嬉しかったと侑輝くん。今は、自分の好きなことを思い切り探求すると同時に、年齢を超えて様々な分野を探究している人たちと話しができて、興味の幅も広がっています。

 連載〜「自分のやりた」がある子はどう育ったのか〜に登場してくださった分身ロボットを開発した吉藤オリイさんも3年半の不登校を経験していますが、「大人は子どもに教育してやるという意識ではなく、子どものすることに、いいリアクションを返してあげてほしい」と言います。良いリアクションをもらえれば、子どもたちは「もっと頑張ろう!」という気持ちになるからです。子どもが興味をもったことに良いリアクションをすること、それが、子どもの能力を開く一番の栄養なのかもしれません。

 

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3年半の不登校を経て世界規模の科学大会で栄冠に輝き、孤独を解消する分身ロボを開発|「自分のやりたい!」がある子はどう育ったのか
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