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新感覚!解決しないミステリー小説 ロンドの旅Part1ロンドの旅 Chap2プサンの事件

3.撞着

 にっき

 うん。興味深いね。
 遺留品は警察から戻ってきたのでしょうか。

 はい。旦那様が最期まで持っていたバッグとその中身は、そのままこのデスクに置いてあります。

 それでは、中を拝見させていただきたいのですが。

 大丈夫です。奥様の許可は得ていますし、旦那様からは御社に全面的に協力するよう言われていますので。ですけど、大変失礼ながら、私は事件コンサルタントというご職業を初めて知りました。あのご主人様がとても信頼されていて、正直驚きましたわ。自分で申し上げるのもお恥ずかしいですが、私以上に信頼を得ている存在がおられるなんて。

 ふふ。親会社が聞いたら喜びそうです。あくまで我々は子会社の人間でして…ただし引き受けたお仕事はきちんと完遂しますので、ご安心ください。それではバッグを失礼しますね。

いつものように、自分の立場を具体的に述べた。少女がサッと手を出し調査を始めると、外周を隈なく確認し、中に入っているものを取り出した。

 これが日記ね。

他には、スマホ、新聞、万年筆、ハンカチ、財布、カギがあった。それは本革のカバーに覆われたB5サイズのバインダーノートで、とても分厚かった。仕事のメモ帳兼簡単な日記として使っていたようで、2年分の出来事が1日1ページずつ毎日記されていた。遺体が発見された17日は見開き右側のページ、最後に自宅から出掛ける姿を見た16日は左側のページ、その裏のページには15日という具合である。

 ふむ…ここが事件前から遺体発見までが記された箇所のようですね。ご主人はこの時期毎年よく登山をされていたのですか?

 はい。ご主人様はお一人でソウルの山を登られるのがお好きでした。お時間ができたときはよく行かれていましたよ。

 では、今年も去年も、その前の年も行かれていたんですね。

 そうですが、それが犯人への手がかりになるってことですか?

日記には以下のように記されていた。

(見開き左ページ)
14日晴れ
今晩の会食で来期の主要な人事がすべて確定した。ソウルの会場へ向かう途中の虹は美しかった。

(見開き右ページ)
15日雨
朝からひどい雨で一日中降り続いていた。少し肌寒い。

(見開き左ページ)
16日晴れ
今日はいつものソウルの山を登り、良い運動になった。天気も良く心地よかった。

(見開き右ページ)
17日
[以降白紙]

 にじ
 虹!

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