スタートアップを長いキャリアのどこに組み込むか

一社で60歳まで耐えればいい、ではすまない時代

Life Shift, Work Shiftでも言われているように、60歳で定年引退する時代ではなくなりました。一社でずっと働く、というのもますます減っていくでしょう。早期退職の推奨は毎日のようにニュースで見ます。日本人は大人になってから勉強しないとよく言われますが、これでは社会人として35くらいまでに学んだことをベースに、管理側に周り、終盤は落ちる能力をなんとか経験でカバーする、といった人生になります。これでは生産性も低いですし、何より楽しくありません。金のために働いている感じです。

ですから社内での異動や留学、転職などを組み合わせてキャリアをどう構築していくか、が大事なわけです。転職はうまくやるとやはり一番学びが多いです。実業なので実践的ですし、同じ業界の複数社を経験するとそのやり方の相違から、いいやり方の理解が深まります。ワインを飲むときに2本並べて飲み比べるとそれぞれをより深く理解できるのと同じです。

スタートアップなんて危なっかしい?

こうした中で、スタートアップは多くの方の転職の選択肢にまだ入っていないのではないでしょうか。

スタートアップのイメージとしては、

・仕事がきつい・休みが取れない
・給与が低い
・経営が安定していない。事業がうまくいかなくて立ち行かなくなるリスクがある
・制度面が色々できていない

などでしょうか。そこから慎重な方にとってはリスクが大きすぎる、となるのでは。

大企業にも新規事業を開拓する部門はもちろんありますが、ベンチャーでしかできないこともあります。今ぶいぶい言わせているGAFAなんかも元はベンチャーです。

そんなにベンチャーはリスクが高いのでしょうか。まだそんなに一般的でなく、身近に経験者がいなかったりすることから、誤解が多く存在しているのではと思います。

そこまでリスクはないでしょ

ベンチャーへの資金流入は年々増えていて、年間6000億円程度です。資金調達しやすい環境になっています。資金調達や補助金などベンチャー支援も年々強化されていますし、万が一いきづまっても、別のベンチャーに転職する道も、大手企業に戻る道ももちろんあります。ベンチャー経験者は新規事業立ち上げなど重宝されるのは容易に想像されます。

大企業もノーリスクでない

逆に、大手企業で全力を出し切らずに、比較的限られた業務のみ行うのも、環境変化に対するリスクかなと思います。盛者必衰、今いい企業や業種が10年後、20年後もよかったことは少ないです。だからここにいれば大丈夫、といった発想がすごくリスクで、実力をつけることが最もリスク低減につながります。

この点で、どちらがリスクが高い、低い、というのはそんなになくなっているのではと思います。では大事になってくるのは、マーケットバリューが高まるのはどっちか、ということです。

外からの評価

これもどちらが、というわけではないのですが、市場からの評価を高めるには、2つの視点があります。
①成長している、もしくは成長が期待されている業界、業種での経験を積むこと
②ある程度の専門性の軸を1つ作り、その軸を増やしていくこと

です。

新しいことに初めに取り組むのは大体アカデミアやアカデミア発のベンチャーで、これはいけるな、となったら大手企業も入ってくるのがお決まりのパターンです。大手企業が本気でやる気になったときに、既に何年も経験を持っていれば、めちゃくちゃ有利です。この成長領域での経験というのが、いずれ活きます。

ベンチャーではステージがどんどん進むし、多様な経験、増えていくポジションができます。大手企業だと業務範囲が狭くなりすぎていて、経験の幅が狭くなりがちです。T字型キャリアがいいと言われます。横棒が業界や職種の広くて浅い知識・経験で、縦棒が深く掘った専門性。業界のことを知っているのは当たり前で、専門軸が1つだけでいいのか?という問題があります。足が日本だとπ字、と言われたりするようです。この足が多いほど、会社に依存せず、職種も縛られず、その時々でやりたいと思う仕事を選ぶという生き方ができるのではと思います。

いつやるか?今でしょ

人間誰しも今日が一番若いので、大きな環境変化を伴う転職は、実は早い方がいいです。とはいえ、ある程度実力がついてないとベンチャーも雇ってくれません。

今大企業にいらっしゃる前提で、タイプ別にお話しします。

1. 今の大企業でバリバリやっている、評価されている、という方

今のお仕事の職務範囲は狭くないですか? 新規性・成長性のある事業でしょうか、ラーニングカーブが寝てきていないでしょうか、自分主導でやる、決める、autonomyはありますでしょうか。

株でもそうで、一番高い時はまだまだ上がる気がして、売ろうとは思わないが、知らぬ前に天井に達して下がり始めるものです。今が一番高く売れるかもしれません。ベンチャーも含めた社外の評価を知るためにエージェントにコンタクトしてキャリアのブレストをし、興味がある企業のカジュアル面談をしてみては。

2. 今は大企業でそこそこ、効率よく働いているという方 

こういう方は、環境が変わったときに、今の会社から絶対に残ってほしいと言われるのか、年齢にかかわらずリスクがあると思っています。T字からπ字、さらに専門軸を増やすといったスキル構築ができていますでしょうか。また、どういうインダストリーで何を経験しているかというのが大事ですので、伸びている、もしくはこれから伸びてくる業界に経験をシフトされては。

1, 2 共通ですが、調整だったり、その会社の人を良く知っている、というのが重要になってきているかと思います。会社でしか通用しないスキルであることに不安、物足りなさがあるような方にはピッタリです。playing managerとして経験をフルに生かしていただけますし、ご本人の市場価値ももうひと伸びします。教え上手、親身になって相談いただくのが上手な方は重宝されると思います。

3. 今の職場で自信が持てない方

なんとかベンチャーに入ることを考えましょう。そのためには何か1つ、即戦力としてアピールする専門性をはっきりさせたいですね。しっかり具体的な事例で話ができるように準備しましょう。面接でしっかり受け答えをするには、STARというフレームワークが有効です。

STARフレームワーク

Situation: どういう状況だったかを簡潔に。
Task:会社として何をやらねばならなかったか
Action:自分は何をしたのか
(よく主語がわからない話をする方が多いです。チームでやることも大事ですがあなたのアピールなのであなたが何を行動したか、それがどういう影響を与えたかが大事です)
Results:仕事は結果を出すためにやるものですので、当然話の結論としてどうなったか、がないと困ります。

このフレームワークで、自分の強み(転職したい会社の職種で求められていること)を具体的なエピソードで語れるように、しかも複数のエピソードを語れるように準備しておきましょう。もちろん嘘はつっこんで質問されるとすぐバレますので、実績を作りましょう。

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