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ブレずにやり続ける熱血さを見習いたい 書評「稲盛と永守 京都発カリスマ経営の本質」

京セラと日本電産


京都発で、日本を代表する企業になった京セラと日本電産。どちらも稀代の経営者が1代で築き上げた、元はベンチャー企業。
トップの経営哲学を知るのは現代のスタートアップに生きる人にも有用かと思って取り上げてみたい。

もともと稲盛氏は仏教、思想に基づくご発言が多く、永守氏は
とにかくできるまでやれ! 一番以外はビリと同じ!
といったモーレツ経営のイメージが強かった。永守氏と稲盛氏の考えにはちょっと距離があったが、最近は縮まっていて、永守氏も稲盛氏が言われるような哲学的なところの重要性を受け入れている。

稲盛氏と永守氏の共通点

共通点を抜き出すと以下のようなところか。どちらも元は技術者で製造業を立ち上げ、顧客の無理難題な注文を取り、なんとか応えようとトップ自らが試行錯誤し、工夫して技術力を高めてきた、という点で、誰もが真似できるわけではない点には注意が必要である。
しかしながら、欧米の経営コンセプトに安易に流されず、自らの信ずるところを行く、というのは見習うべき点。

  • 志、大義からの出発

  • 長期目標を立てるとともに短期的に結果を出すことにこだわり続ける

  • 人の心に火をつける。人の能力は未来進行形で取らえる

  • 自ら未来を切り拓く力。教科書的な戦略や流行りの戦略には、一切耳を貸さない。むしろ常識の裏をかくこと、ぶれずに自らの信念を貫くこと

  • 空間をつなぐ力。製品市場も地域市場も局所線にとらわれず、大局的に捉えて判断を下す。

  • 時間軸に対する柔軟な感性。市場の大きな波をとらえる先見力と、市場の変化を迅速にとらえる動体視力の良さ。

「苦労するのは生きている証拠。災難に遭うのは過去につくった業が消えるときです。業が消えるのですから喜ぶべきです。」
「社員一人ひとりの性格や個性を見極め、どういう叱り方をすれば彼らの心のなかに眠っている闘争心や負けん気に火をつけることができるかを考えている。」
「叱ったときには、最低でも三倍はアフターケアをすることにしている。そのために褒め言葉にあふれた手紙を送る。」
「企業が従業員を家族のメンバーとしてどこまでケアできるかが問われる。」
「会議や現場などの経営のあらゆる場面において、正しい判断の仕方や問題の解決方法をリーダーが指導、教育し、それを繰り返すことにより、メンバーとの間でフィロソフィーを共有化し、経営者としての意識を高めていくことが最も大切である」
「マイクロマネジメントと社員に責任を与えることのバランスが大事」
「十人十色、百人百様の性格や個性を持つ部下を思い通りに動かそうと思えば、それは『人の心』を知ることに尽きる」
「既存事業の深掘りと新規事業の探索を別々にやると失敗する。既存事業の周りを掘り尽くす(ずらす)ことで、その企業ならではのイノベーションのアイデアが生まれ、新たな事業がすくすくと育っていく。」
「会社の経営を究極まで突き詰めていくと、実に単純明快なことが導き出されます。それは、原理原則に従って、当たり前のことを当たり前にやっていくことで、これ以上でもなければ、これ以下でもありません。「継続は力なり」という言葉がありますが、一才の妥協や譲歩を許さず、誰にでも分かっている当たり前のことを、淡々と持続させていくこと以外に成功する極意も秘訣も存在しません。」

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