読書感想/『赤いモレスキンの女』アントワーヌ・ローラン
「モレスキン」がタイトルに使われてることに惹かれて、手に取りました。
モレスキンといえば、厚手のしっかりしたカバーの高級ノートブック。何か大切なものを書き留めておきたくなるような、そんなノートブックです。
私は文房具好きなので、このタイトルに一目惚れしました。
訳者あとがきとか読んでいる限り、有名な作家さんなんでしょうか・・・?アントワーヌ・ローラン。
私は全く知らず、とにかくタイトルに惹かれた、ただそれだけです。
物語は・・・
この裏表紙がとても分かりやすいのでこちらで紹介を簡略させていただきます。
この紹介もなんとも惹かれるんですよね。
フランスっぽいですよね。おしゃれですよねぇ・・・。
読んだ感想ですが、この紹介文に嘘偽りなし。素敵なお話でした。
女性の落としたハンドバッグの中の赤いモレスキンには、彼女が身近な人にも話したことがないような、
私的な、自分の中でだけ大切にしていたような想いや言葉が記されている。
以下、少しだけ抜書き。
誰にも明かさない自分だけが知っていること「だけ」を、
どこのだれかも分からない、全く知らない誰かに、知られる。
これを書いた人が、どんな身なりで、何をしていて、何歳で、そういった表立ったことは、全く分からないのに、心の奥底だけを知ってしまう。
なのに、あるいは、だからこそ、惹かれ合う。
そんなお話。
男側と女側の2つの視点で交互に描かれていて、
舞台で芝居にしたら、とてもすてきなストリートプレイになりそうだなと思いました。
登場人物の男性が小さな本屋を経営しているため、
作中には、実際にある本のタイトルや作家名が頻繁に登場します。
ほんとうにさらっとタイトルが出てくるだけなのですが、どれもこれも読みたくなってしまう。
私が一番気に入っているのは、女性の飼っている黒い猫、ベルフェゴールの存在。
このベルフェゴールが、彼女と彼を繋ぐ共通項になっていくのが、とても愛らしいのです。
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