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蜂蜜
蜜を集めている蜂は、針を持たないのだと、
そう得意げに彼は教えてくれた。
私にとって、そんな事は何も意味を持たず、
まして蜂に針が有ろうと無かろうと近づくことはない。
私はその蜂が必死に集めた蜂蜜が好きではない。
あの、ヌッと甘い、いかにもという感じが
好きではないのだ。
「まるであなたの様ね」
絶望した。私はそうなのであろうか。
母の言葉は、優しかった。
私は母に彼のことを話した。
蜂の話も。
少しして、彼は別の女性と結婚した。
私は蜂であった。
ヌッと甘い、その蜜をずっと集めていた。
目もくれず。針を持たぬ、私。
いつもの紅茶に、
砂糖に代えてたっぷり蜂蜜を入れてみた。
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